何も知らないと言うことは時として非常にいいこともある。
楽譜屋を始めてしまった私はどの楽譜がどの出版社から出ているか。
そんなことを何も知らなかった。
お客様から“これを探して”と言われれば、言われたものは全て楽譜として存在すると思っていた。
見つからないのは私が無知なため。
だから見つからないなんて事は絶対に避けなければならない、と。
言われたものはとにかく探す。探す。探す。捜し物の毎日が続いた。(やっていることは今でも同じか・・・)
定番、珍しい物、貴重な物、それらの違いさえ知らなかった。
でもそれが今となっては我々の大きな財産になっている。
何も知らなくて良かった。なまじ知っていたら、きっとそこまで調べないで即、
問い合せを却下してしまっていただろう。