山に登る・降りる | 風の通り道

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 去年は、大根と柿のなますをよく作った。人参とは違った触感と甘みで、夫も楽しめたと思う。柿は季節もので、あっという間に市場から姿を消した。何事も旬があるということだ。

 

 学生の頃、行事で山に登らされた。どんな山も、頂上まで登ったらあとは降りるだけだ。宝塚歌劇団も、トップスターになったら、先にあるのは退団である。今はどうだろう。少し前は、トップお披露目公演が退団公演というケースもあった。

 数は少ないが、トップを降りた後専科に移った人もいる。退団・専科への移籍、どちらにも共通しているのは「次の者に道を譲る」ということ。

 

 山から、いつ降りるのか。周りから「そろそろ」と言われるようでは、頂上にいすぎなのである。明確に何歳、と決められているのでなければ、引き際は自分で決めなければならない。

 求められているうちが花だと思う。

 

 夫もあと数年で、会社から引退する。病を抱えながらも、無事に下山した夫をどう祝い、労おうと、ふと考える日々だ。