一つの別れ | 風の通り道

風の通り道

主にエッセイを発表します

 

「お会いできるの、明日が最後かもしれません」

 いつも行くカフェの、スタッフの方。

「当分、シフトが入っていないんですよねえ」

 我が家は、春に引っ越しがほぼほぼ決定している。京都・奈良・兵庫・和歌山。一番遠くて、徳島まで足を延ばした。コロナと夫の病気で、半分くらいしか楽しめなかったとはいえ、6年もお世話になった。

 彼とは、まだ数回しか会っていない。それでも、もう会えないかもしれないと思うと、しんみりするものがある。

 

 スーパーに行くと、ニベアの青缶が売っていた。缶が可愛いと、つい買ってしまう。

 一本のマフラーで、二人がつながっているデザインだ。

 カフェのスタッフさんから、SNSを教えて頂いていた。

 なんだ、ちゃんと繋がれるではないか。

 

 店を後にする時、写真を取り合った。

 

 明日も会えそうな感じで、軽く手を振って別れた。

 

 大丈夫。コーヒーがあれば、いつかまた、会えるから。

 

 良い夢を。