ことり / 小川洋子 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。




こんにちは!
次男の通う作業所で
コロナ陽性者が数名出たため
この2週間自宅待機でした
息子は検査結果が陰性だったので
慌てずに済みましたが、、、
周囲には感染した方のお話がチラホラ
いつ感染してもおかしくない様相です
なるべくなら罹りたくないな〜

そんな状況でしたので
読書が捗りました





小鳥の鳴き声を理解し
独自の言葉しか話さない兄と
兄の言葉を唯一理解する弟
兄弟ふたりの慎ましやかな暮らしと
兄が亡くなった後の弟の人生が
描かれています



『 ことり 』小川洋子著


弟は「小鳥の小父さん」と呼ばれ
幼稚園の鳥小屋の掃除を日課とし
会社のゲストハウスの管理人として
静かに働いています
兄は「ポーポー語」しか話さず
幼稚園の鳥小屋で鳥を眺め
弟の昼休みに自宅で一緒に昼食をとります
毎日同じことを同じように繰り返す日々

小鳥の言葉を理解出来る兄を
小鳥の小父さんは尊敬し
兄とふたりで暮らす毎日に
不満を抱くことはありません
長く一緒に生きてきた兄が亡くなった後
幼稚園の鳥小屋が撤去されても
幼児誘拐犯と疑われても
子供の時から通っている薬局の有り様が
微妙に変わってしまっても
小鳥の小父さんは少し痛みを感じつつも
不満を抱かず
小鳥の鳴き声に耳を澄ませ
ひっそり生きていきます
最後は傷ついたメジロを保護して
立派に育て上げ
安らかなときを迎えます



小川洋子さんが描いた兄弟は
「取り繕えない人たち」だとか

タイプは違えど
取り繕えない人、である息子を
育てている身には
物語に温かさを感じながらも
なんとも言えない心境になりました
読者を傷つけるような描写はないのですが
読む角度を変えると
結構怖いお話にもなります

小鳥との愛ある暮らし、と
兄弟の一生をストレートに受け止めれば
静かな淡々とした彼らの生き方には
優しさと慈愛が溢れていて
気持ちが凪いでいくようです