年明け早々
すごーーーーーく良い作品に出逢えて
悦に入ってます
昨年後半から
宇江佐作品にどっぷりハマってますが
こちらの短編集、抜群に良かったです
第21回吉川英治文学新人賞受賞作
『 深川恋物語 』宇江佐真理著
◆下駄屋おけい
蔵持ちの大店の一人娘、おけいは
向かいの下駄屋の長男、巳之吉に
幼い頃から恋心を抱いています
お金を持ち逃げして行方知れずになった
巳之吉を想い続けますが
ついに別の下駄屋へ嫁ぐことに、、、
おけいを可愛がる
下駄職人の無口な彦七が大活躍で
じんわり感動のラスト!
↑電車内で夢中になって読んでいたため
降りる駅を間違えてしまい
目的地が遠くなりました ドジ過ぎです 泣
◆がたくり橋は渡らない
花火師の信次は水茶屋勤めのおてると
将来所帯を持つ約束をしていましたが
お金に行き詰まったおてるは
年上の商家の隠居の世話になることに、、、
おてるを刺して自分も死ぬ覚悟の信次に
声をかけてきたのは
彼女の家の隣に住む餝職人とその妻
人の良い夫婦の昔話を聞くうちに
信次は目が覚めます
◆凧、凧、揚がれ
子供が大好きな凧師の末松は
近所の子供達に凧作りを教えています
末松の次男が勤める米問屋のお嬢さんで
体の弱いおゆいちゃんは
どうしても凧を作りたい一心で
末松のところへ通い出します
西瓜の形をした凧を揚げたい、と願いますが
彼女の夢は叶うのか、、、
涙涙でした
◆さびしい水音
大工の佐吉と
絵を描くことが生き甲斐のお新夫婦
彼女の絵が評判となり
お金が入るようになると
夫婦の形がだんだんおかしくなっていきます
嫉妬と誤解とお金の問題で
描けなくなっていくお新
男の狭量だけを責めることも出来ず、、、
お新の地味な色気も相当な破壊力
このお話は特に好みでした
◆仙台堀
乾物問屋「魚仙」の手代をしている
真面目で奥手の久助
久助が出入りしている料理屋「紀ノ川」の
長男与平と妹のおりつ
体が弱く嫁にいけない魚仙の娘、お葉
お互いの気持ちがうまく交わらず
誰もが一方通行です
それにしても与平、許すまじ!
久助の誠実さが際立ち
彼の清潔さが救いでした
◆狐拳
深川の芸者あがりで
大店の後妻におさまったおりんは
旦那竹次郎の連れ子、新助の色街通いに
頭を痛めています
入れ揚げている振袖新造の小扇を
息子の嫁にと身請けしましたが
結婚話はなかなか進みません
おりんは小扇と会い、話を切り出しますが
思いも寄らぬ悪態をつかれ絶句し気絶
事の真相は驚愕の事実でした!
竹次郎、漢っぷりが良過ぎーーー
人情風俗の描写は頭抜けていて
下町のにおいや湿気や風や音が
立ち昇るように伝わってきます
どのお話もストーリーが練られていて
ただの人情話とは一味も二味も違いました
髪結い伊三次シリーズが大好きで
傑作と思っていますが
こちらの作品は更に上をいく!?
極上の一冊でした
余談☆
稀勢の里、引退
長い間本当にお疲れ様でした
真面目一本槍の相撲人生
きっと良い親方になるんでしょうね