鯖 / 赤松利市 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。






爽やかな秋晴れ
湿気も無く気持ち良い〜♫です


何冊か読了しました
新潮社の中瀬ゆかりさんが
絶対おすすめとテレビで仰っていたので
即購入して早速読んでみました

62歳の新人作家さん
第1回大薮春彦新人賞受賞者、
捨身の初長編と謳ってます
まさに春彦的展開でした


『 鯖 』赤松利市著


日本海に浮かぶ孤島で
一本釣りを生業にする5人の漁師達
紀州の雜賀崎出身の彼らは
類まれな釣技だけが武器

効率の悪い一本釣りで日銭を稼ぎ
食べていくのがやっとの暮らし
そんな中
彼らの釣り上げる魚に価値を見出した
ある企業が
大きな商売の話を持ちかけます

孤島で喧嘩しながらも
地味に静かに暮らしてきた
5人の漁師達の生活は激変

されど
うまい話にはご用心!
ジェットコースター並みのスピードで
事は最悪の方向へ進んでいき、、、


登場人物の癖が強すぎました

主人公のシンイチ35歳
同情出来ないほどの醜男です
対人恐怖症で特に女性が苦手

船頭の権座65歳
釣技も操船も一流ですが引退を模索中

寅吉66歳
小便漏らしの大きな老漁師
過去に泣かした女性は数知れず

留蔵56歳
浮気した女房に一家心中され
精神を病んでいる陰湿な性格

南風次55歳
気が短く怪力で喧嘩っ早い無頼
ヤクザを何人も病院送りにしたことが自慢

一本釣りだけしていれば
こんな展開にならなかったはず
身の程をわきまえず
欲をかくと痛い目にあうのでしょうか
容姿のコンプレックスを抱えつつも
出来ることを日々淡々とこなしていた
シンイチが
新しい商売に関わるうちに
間違った自信を持ち始め
大いなる勘違いに突き進む姿は
人間の愚かさ丸出しで
気持ち悪かったです

後半は
大薮春彦作品そのまんまといっても
過言ではないような。。
春彦本が何冊もある我が家
どうしても比べてしまいます
赤松さんの文章、似てたなー
単行本としては少し割高な印象でした

読了本、パチリ