太陽の棘 / 原田マハ | 我が家の本棚

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お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。





昨年末から
バレエ教室の本好きマダムと
面白かった作品を貸借りしています

絵画好きなMさんは原田マハさん贔屓
『楽園のカンヴァス』話で盛り上がり
こちらの本も薦めて下さいました

戦争直後の沖縄の史実に基づいて作られた
珠玉の物語です


『 太陽の棘 』原田マハ著


1948年
在アメリカ陸軍の従軍医として
沖縄へ派遣されたエド

画家を志した過去もあるほど
美術を愛する彼が
戦後間もない荒れ果てた土地で
奇跡のような出来事に遭遇します


ニシムイ・アートビレッジ


エドが偶然見つけたその場所は
東京美術学校出身の優れた画家達が
思う存分描くために作った村

主催者のタイラとすぐに意気投合したエド
タイラや仲間達の作品をひと目で気に入り
非番のたびにニシムイへ出向き
最低限の道具しか持たない日本の画家達に
絵の具やカンヴァスを差し入れ
自らも描き始めます

敵国同士であった彼らの垣根を
あっさり取り払ってくれた絵画

エドがアメリカに呼び戻されるまでの
ほんの2年の間に
一生分の友情を築き上げた彼らの
熱い想いがひしひしと伝わってきて
マハさんが作り上げた物語だけでなく
本当の歴史を知りたいと痛烈に感じました

戦後の沖縄が舞台ですので
美しい友情だけが描かれているわけでは
ありません

ただ、エドの視点で綴られているため
直視出来ないような具体的な表現や
悲惨さをこれでもかと浮き彫りした表現は
あまりありませんでした
でも辛い箇所はいくつか越えねばならず…
歴史と向き合う時、避けては通れませんね

こちらの本の表紙は
タイラのモデル、玉那覇正吉氏が
エドのモデルであるスタインバーグ氏を
描いたものです
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いつかまた沖縄へ行くことがあったら
ニシムイのことをちゃんと調べて
訪れたいと思います