永い言い訳 / 西川美和 | 我が家の本棚

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大好きな読書について書いてます。
お酒や音楽、趣味のバレエ、鉛筆デッサン、ナンタケットバスケット関連話も時々。







読み終わった本が数冊…
どれも面白かったですが
そちらはすっ飛ばして
胸が震えた一冊を⬇︎



昨日読了したこちらの本は
頭一つ抜きん出てました

いやぁ、ちょっとまいったなぁ…
なんだか良かったわぁ…
すごく好みに合ってたなぁ…
んん…いい話だった…
下半期ベスト3入り確定…

誰も聞いてないのに
ひとりでブツブツ言ってましたら
主人が「そんなに面白かったの?
だったら読もうかな」

「いやいや、全然パパは好みじゃないよ。
読んでもいいけど止めておいたら?」と
即答してしまいました 
彼の趣味は大体分かってますので
読んで変なこと言われたら腹が立つはず
読まんでいい


映画監督の西川美和さんの小説
昨年だったか直木賞候補になった作品
映画の公開も間近なようです
「ゆれる」「ディア・ドクター」を
こえるかも!



『 永い言い訳 』西川美和著


(公式サイトよりあらすじ抜粋)

人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)は、妻が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。その時不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、妻の親友の遺族―トラック運転手の夫・陽一とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。保育園に通う灯(あかり)と、妹の世話のため中学受験を諦めようとしていた兄の真平。子どもを持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝き出すのだが・・・





不慮の事故で亡くなった夏子との
夫婦関係はとっくの昔に冷めきっていたと
信じて疑わない幸夫

真正面から向き合うことのなかった
妻のことを、自分は何も知らなかったと
ようやく気づく幸夫

気づいても涙は流れず
表面だけは悲嘆に暮れる夫を演じる幸夫

彼は
妻と一緒に亡くなった   ゆき   の遺族と
関わるようになり
少しずつ変化していくのですが
悪い癖が出てしまいます

大事な人との関係を
みずから台無しにしてしまう、という
天邪鬼な、幼稚な、悪癖

妻との関係を自分の身勝手さで
台無しにしてしまったと気づいた幸夫は
もう踏み外したくない!
もうこんな自分はおしまいにする!と
過去の自分と決別します


ゆきの遺族
旦那さんの陽一と子供達  真平くんと灯ちゃん
彼らは幸夫と共に歩んでくれます
彼らもまた幸夫に救われていたのです


西川美和さんが描く世界
「あのひとが居るから、くじけるわけには
いかんのだ、と思える「あのひと」が、
誰にとっても必要だ。生きていくために、
想うことの出来る存在が。
他者の無いところに人生なんて存在しない。
人生は、他者だ。」



ラストが本当に良くて(涙)

人間誰しも踏み外したり間違えたり
気付けなかったり傷つけたり。
だからこそ
反省するし謝るし
優しくなりたいと思ったりします。
全部他者がいればこそ

誰かのために生きる

これ、まっとう出来たらかなり幸せ



すごーく素敵な作品でした
ありがとう、西川さん!