峰不二子という女 | HANDLERのブログ

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こんにちはHandlerです。

ようやく梅雨らしくなってきました。
西の方では降雨による被害が甚大で、床上浸水による被害が出ています。
東北の津波の被災とこれは違うようで何も違わないですよね…
手厚い支援があることを祈ります。

水害とはとても恐ろしい物だと改めて実感します。




深刻な話から話を切り替えるはエネルギーが入ります…しょぼん


さて表題の『峰不二子という女
やっと待ち望んだアニメが放映されたと喜んでましたら、あっという間に終えてしまいました。
楽しい時間は瞬く間に通り過ぎてしまう物です……

LUPIN the thirdのスピンオフなのでしょうか、僕には詳しいことはわかりませんが、この方向性で他のキャラクターもお願いしたい物です。
声は沢城みゆきさんに変わっていたんですね。知りませんでした…しかし僕は沢城みゆきさんが好きです恋の矢

加えて特筆したいのはOPテーマで朗読(今風に言えばLAP feat)がなんと!!橋本一子さんとはΣ
僕が小学生~中学生の頃YMOに熱を上げていた頃を思い出します…
当時は歌謡曲?も聞かずにYMOでした。橋本一子さんを知ったのはその後でしたか。

うん懐かしすぎる。

いやいや、アニメのOPを何度も聞き返すって、この歳になってありませんでした。
もう声でやられて…不二子でやられて…
2クール目無いですかね…



だいぶ脱線してしまいました。
話をお仕事の方向へ修正。

つい先だって、あるお客様から特大バナーのお見積がありました。
某スニーカーの広告になる予定でした。
その図案構成に「人」が刺繍されると言うことで、どの程度の表現が出来るのか、なかなか口で説明が出来ず、やきもきしてました。

これじゃいかんと思いまして、サンプルは作って置いた方が良いね!!
ってことで、その題材を吟味していたところ、この峰不二子に白羽の矢を立てたというわけです。
一言に人の顔といっても、イラストと写真ではやはり見栄えに難がありまして、それを刺繍で表現するとなると、まぁ「似てない」顔になるわけです。
そういう意味で題材では「皆が良く知る顔」が重要になってきます。
あの顔がこう出来るのか…とイメージしやすいのです。


今回はまずそのイラストを刺繍で表現するとどうなるかというサンプルです。
題材にする峰不二子イラストは、峰不二子という女公式HPより、Intoroductionの背景から引用しました。
気にしていた著作権の問題ですが、僕の調べる限りでは「私的利用と非営利目的と非デジタルコピー」から、今回の使用範囲内ではそれに抵触しないようです。
その観点からできるだけこのブログからも、オリジナル画像の引用も避けるため、気なる方は公式HPよりご覧になってみて下さい。



1.レイアウトの作成

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まずはA3印刷で配色バランスの確認と、チェーン刺繍をする場合の版として成立しているか、吟味します。
普通はこの手のお仕事では、お客様が元絵すべてを作ってくださって、僕が刺繍用にトレースし直します。この手直しが大変です。柄が混み合い大きくなればなるほど大変さは増します。

データはイラストレータデータで、パス化されたデータが好ましいです。
このデータが正確になればなるほど、出来上がる刺繍の手ぶれ誤差が減ります。
アメカジ業界で言えば?「味が無くなる」訳ですが。

通常はA3サイズまでの刺繍範囲であれば、このままシルクスクリーンに焼き込みます。
型付けも正確性が高くなり、より良い状態で刺繍が出来ます。
使用したタイトルなどのロゴは、好ましい(僕の作業性良好な)元絵が入手できず、家で録画した放送から抽出しました。
特殊fontなのですべてパス化作業です。
オリジナルにある物をそのまま作っても、ただのコピーでオリジナリティーが無いので、StoryのKeyになっているフクロウをfeat。
実際のメンフクロウ画像をPhotoshopにて色調補正で、二階調化編集した物を添付です。
不二子イラストとの調和が取れるように思います。

不二子はこのフクロウの虜となっているわけですが、フクロウの中でも特にメンフクロウはインパクト大きすぎです爆弾
もっともっと小さく配置しても良かったか?と今も悩みます…これでも小さくしたのだけど。





しかし今回はW1200mm×H900mmという特大サイズ。
印刷も出来ないしシルクも用意がありません。(業者発注で対応できますが、高額)
なので全て手書きします。






2.トレースを拡大し実寸画を作る
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A3用紙を9枚使用。雑誌と比べるとサイズがわかりやすいと思います。
まず全ての用紙を連結します。
普段お仕事でレーザーコピー機をお使いになる方は、沢山いらっしゃると思います。
拡大コピーはあまり使わない方はビックリかも知れませんが、このコピーは『ズレ』ます。
コピー機の性能を信じ切っている人だった僕は、この手の作業をする以前では謎でした。
僕の推察では印刷時の給紙の際に、たわんで給紙されたり、多少の曲げ角度がついたりと、用紙を正確に水平垂直にしても隣同士合わなくなる。そう結論づけています。
詳しい方いらっしゃったら教えてください。

端は上下だけ合わせればよいのですが、真ん中列は上下左右の柄連結になるため、ここで合わなければ同じ画を幾度か印刷掛けます。無駄の多い不毛な作業に思えます…
仕上がりに影響しない程度のズレは、バランスを見て修正してしまいます。
企業ロゴやマークでは、ズレが許されません。
よって柄が出来るだけ用紙分割されないように、1枚の中で印刷を完結できるようにコマ取りします。


ここまでの作業でおよそ5時間かかりました。
fontなどを利用できたりしますと、大幅に時間の短縮が出来ます。込み入った柄でもその辺で手間暇が省けることがあります。コストの心配も幾分減りますね。





3.生地へ書き写し
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今回用意した生地はインディゴ染めされたシャンブレーを使用しています。
とてもいい味を出したカッコイイ生地です。
元はもっとネイビー色だったので、刺繍が目立たないため洗いを充分にかけています。
でもまだまだトーンが暗いですね…思い切ってブリーチした方が良かったかも。
色イメージは『夏のAM3:00過ぎ』だったんですけどね…(どんな色だよ)
70年代、JAZZYな感じ…(余計伝わりにくい…)

まぁ良いとして、書き写しは文字通り全てペンでなぞってゆきまして、生地へはブラックカーボン紙にて転写です。
ブラックにした理由は刺繍も黒なので、同化して仕上がりを邪魔しないようにするためです。
なので生地色に対してよく見えません。
この辺は作業効率を下げることになるので、ある程度視認性が高い方が好ましいです。
またカーボンはクリーニングでもなかなか落ちにくく、ペン入れははみ出さないように注意です。
他には『チャコシート』なるものが売られています。
これは繊細な写しを必要としない場合に有効です。チャコ素材はカーボンに比べて粒子が粗く、大味な印象で転写されます。チャコ特有の『払って落ちる』剥離性は、長い時間揉まれたりしますと、落ちて消えてしまうことがあるため、この手の図案には不向きです。
シルクスクリーンによる型付けは、また別の材料で捺染します。それはまたの機会に詳しく。


書き写しは3:30かかりました。なすったつもりでも、筆圧が低く生地に写ってない、なすった部分がカーボン紙から外れていて、書いても写ってないなど……気を遣う作業で骨が折れます。
指にも力が入り軽い腱鞘炎ですショック!(トホホ)





今回はここまでです。
次回はいよいよ縫いです。
仕上げまで一気にやります。興味のある方はまた次回に。