モース警部シリーズの長編第3作。殺された聴覚障害者。[???]
ニコラス・クイン:海外学力検定試験委員会の審議員
トム・バートレット:同事務局長
フィリップ・オグルビー:同事務局長代理
モニカ・ハイト:同審議員
ドナルド・マーチン:同
クリストファー・ループ:同委員
ジョージ・ブランド:元審議員
チャールズ・ノークス:同管理人
アーメッド・デュバル:アルジャマラ首長国の族長
リチャード・バートレット:トムの息子
エバンズ夫人:クインの家政婦
フランク・グリーナウェイ:クインの隣人
ジョイス・グリーナウェイ:同
ジャーディン夫人:アパートの家主
マーガレット・フリーマン:クインの秘書
ストレンジ:主任警視
ルイス:部長刑事
モース警部:主任警部
事務局長のトム・バートレットと委員のクリストファー・ループがお互いに反目し合っているのは、海外学力検定試験委員会の誰の目にも明らかに見えた。だからループがクインを推したのは、あるいはバートレットに対する当て付けだったのかもしれない。そんな経緯はともかく、耳に障害を抱えるニコラス・クインが新たな審議員として選出された。
クインは電話対応などには不安を抱えるものの、己の能力には自信を持っており、やる気に満ち溢れ、彼の前途は洋々に思えた。
来訪したアルジャマラ首長国の一団とのお別れパーティーの席で、クインはしばしの休息を取っていた。少し酒を飲み過ぎたせいだろう。まだ多くの人々が語り合っている。クインは彼らの口元を眺めた。たとえそれが小さな囁きであったとしても、読唇術で読み取った言葉は、彼の頭の中では大声で叫んでいるのと同様に“聞き取れる”。これは彼の密かな楽しみだった。
11月25日、火曜日。ニコラス・クインは自宅で死んでいた。毒物によるものだった。月曜に職場に現れなかった彼の様子を見に来た同僚が死体を発見した。そのときに死後72から120時間が経過していたと、後に判断された。モース警部はとりあえずその中間、94時間が死後経過時間、死亡時刻を金曜日の正午前後と推定した。
しかし関係者の証言を集めるに連れ、次第に死亡推定時刻がどんどん後ろにずれ込んでしまい、クインがいつ殺されたのか、モースは断定しかねるのだった。そしてなぜクインが殺されたのかということも、依然として謎だった。
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
モースが仮説から推論を導き出し、その誤りが判明して新たな推論を構築するパターンは当然今回も不変。一般(あくまでもミステリ・ファンの中での一般)的にはこのシリーズは最初の2作が代表的な作品で、(本作を含む)それ以降の作品の評価はやや低め。
コリン・デクスターの作品は元々特異な強い個性を持つスタイルゆえ、マンネリズムを避けるのは却って難しいだろう。初期2作では筆の勢いに自然に任せて書けば良かったのが、そろそろ意図的に変化を付けようとしたり、作品のクオリティ以外の部分まで考えざるを得なくなってきたのかもしれない。(高い評価を得た絵師がキャラクターのパターンを使い果たし、無理矢理に変化を付け、魅力のないキャラを描くようになるのと同様か)
また、このシリーズは“解決編”が複数存在するような構成なので、最後の解決が最も素晴らしいとは限らず、やや尻すぼみとなりがち。それが目立つようになってきたのだろうか。
本作の中心となっている謎は、クインがいつ殺されたのかということ。関係者の証言を集めていくうちに死亡推定時刻がどんどん後ろにずれ込んでしまうが、モースは自身の(乱暴な)推定に事実を合わせるがごとく証言を崩してゆき、ついに真の死亡時刻を暴く。しかし結局のところ、それによって容疑者がさほど絞られたわけではなく(裁判の材料としては重要だろうが)、せいぜい委員会内部の人物と限定された程度のものでしかない気も…。
ある人物を逮捕させたモースは、それまでさほど気に懸けていなかった点に唐突に重要な事実を見出し、誤った推理を最終結論とする難から危うく逃れたのであった。
[プレリュード] 海外学力検定試験委員会の新たな審議員の選考。バートレット事務局長はニコラス・クインの聴力に難があることを問題視するが、ループ委員の演説が決め手となり、投票によってクインが選出される。
[なぜ? 1] 委員会メンバーによる夕食会の後、クインがモニカの部屋を訪れるが、彼女は留守。「3時に帰ります」というメモが机の上に置かれている。委員会におけるバートレットの方針は、外出は自由だが、その居場所を彼にわかるようにしておかねばならない。
[2] クインは面と向かっての会話は読唇術でなんとかなるが、電話は苦手。マーチンとモニカは男女の関係。しかし妻帯者であるマーチンの誘いに対してモニカは距離を取り始めている。
[3] アルジャマラ首長国の一団は委員会とのお別れパーティーを開く。クインは酒を飲み過ぎたのか気分が悪くなり、離れた所でアルジャマラの族長・アーメッドと委員会のメンバーが話す姿をぼんやりと眺めている。
[4] 11月21日(金曜日)の12時、委員会のオフィスで防火訓練が行われた。全員が寒い戸外に15分間立たされた。オグルビー、バートレットの部屋に侵入し、何かを捜す。バートレット、それに気づいていたが口には出さず。何か取られるようなものの心当たりがない。
[5] 11月25日(火曜日)、クインが自宅アパートにて死体となっている。毒殺。死後数日。クインが委員会に現れなかったため、様子を見に来たマーチンが発見した。部屋の屑籠にA・エバンズからクイン宛てのメモが捨てられている。6時過ぎにまた掃除に来るという内容。
[6] モース、クインの部屋を調査するが、特にこれというものは見当たらず。衣装掛けのグリーンのアノラックに気づく。
[7] モース、委員会メンバーを尋問。
[8] クインのオフィスの捜索。アルジャマラ教育省の公用書簡紙にタイプされた手紙。消印は今年の3月3日。クインの前任者であるG・ブランド宛となっている。内容は夏期試験問題の発送に関するもの。文中に20日の金曜日という日付があるが、今年の3月から7月のいずれの月にもそんな日付はあり得ない。
[いつ? 9] モース、クインの秘書・マーガレットを尋問。金曜日の10時45分頃にクインと会い、口述筆記を行なっている。午後には彼に会っていないが、グリーンのアノラックが椅子の背に掛かっているのは見た。彼女のイニシャルM・F宛の短い置き手紙もあった。ルイス、委員会の紙屑ゴミを調べるが、その置き手紙は見つからず。防火訓練についての全職員への通達で、クイン宛のものが見つかった。11月21日(金曜日)の12時に火災警報が鳴りいかなる理由があろうとも建物の中に留まらず、駐車場に集合せよとの内容。モース、管理人・ノークスを尋問。モースはクイン殺害日時を金曜日の昼頃と推測していたが、ノークスは午後5時10分前頃に彼が車で帰って行く姿を見たという。
[10] エバンズ夫人の証言。金曜日の午後4時頃にクインの部屋に彼女は置き手紙。午後6時15分に再訪。クインの部屋には彼から彼女宛ての置き手紙。「E夫人 ちょっと買い物に――すぐ帰ります。N・Q」
[11] モース、マーチンを尋問。彼とモニカは金曜日の午後1時10分にオフィスを出て彼女の家に行き、午後4時15分前に彼はそこを出た。モース、オグルビーを尋問。彼は午後3時30分からずっとオフィスにいたと答えたが、午後4時15分から5時までそこに誰もいなかったという、ループとノークスの証言と合わない。
[12] クインの所持品の中に映画の切符の半券。座席番号は93550。モース、それについて映画館に尋ねると、先週にも似たようなことを電話で尋ねた男がいたという。
[13] クインの下宿先は共同電話を使用している。
[14] モース、ループの疑わしい点を挙げる。第一に彼は石油系の会社に在籍していたことがあり、有力者たちと繋がりがあり、大きな利益を生む不正行為に関わっていたかもしれない。(ブランドが何かの不正行為に関与していることはほぼ明らか) 第二に彼は化学者であり、毒物の知識を持っている。第三に問題の日時であろう21日(金曜日)の午後4時半頃にタイミング良く委員会のオフィスにやって来て、審議員の各部屋を覗いて回るというのも不自然。第四に彼とバートレットとの間に奇妙な敵意が存在し、その衝突がクインの処遇を巡って起きたというのも興味深い。第五に彼とクインはお互いにその教育を同じ地域で受けており、旧知の仲であったかもしれない。モース、ループを尋問。ループの21日の行動についての証明に本人も協力するが、立証されず。
[15] モニカとマーチンは21日に映画館にいたことを認める。クインもそこにいたことには気づかなかったという。
[16] モース、オグルビーが映画館にいたのか、追及するも不発。
[17] モース、妙な点を挙げる。a)クインのテーブルが隙間風の吹き込む位置に置かれている。b)マッチの燃えさしが部屋にもクインのポケットにも見当たらない。c)バターが充分にあるのに、さらに買い増ししている。d)E夫人宛の手紙は漠然としている。それらから導き出される推測は21日の夕方にガスを点け、バターを買い、置き手紙を残したのはクイン以外の人物ではないかということ。クインは自力で帰宅しなかったのではないか。モース、グリーナウェイ夫人から話を訊く。金曜日の午後5時5分にクインの車が自宅車庫に入るのを見た。共同電話で彼が別の男と話すのを聞いた。盗み聞きするつもりではなかったため、内容はほとんどわからず。モース、筆跡鑑定の結果を知る。エバンズ夫人宛の置き手紙はクインの筆跡。
[18] モース、クインの電話の相手としてバートレットを追及するが不発。
[19] バートレット宅のモースのもとに、オグルビー殺害の一報。火かき棒による撲殺。発見者はモニカ。所持している鍵を使って彼の家に入った。バートレットが電話の件について答える。試験問題漏洩の犯人としてバートレットをクインは名指ししたという。オグルビーの所持品から映画の切符の半券が見つかる。手帳にはクインの切符の半券を書き写した図が書かれている。
[20] モース、入院中のモニカと面会。誰かが映画館に入るところを見なかったか尋ねるも、彼女は否定する。
[21] モース、マーチンを尋問。モニカとともに映画館へ行ったことを隠し、彼女の家にいたと偽った理由を追及。彼は彼女の言う通りにしただけで、その理由はわからないという。
[いかにして? 22] アルジャマラの学校の答案の採点。5名中4名は不合格点。1名はほぼ満点に近い出来。ブラント、クイン殺害の知らせを受け取る。
[23] オグルビーは血液の病気でせいぜいあと1年半の命だった。バートレットの息子は精神分裂病。
[24] ループを逮捕。
[25] モース、ループに推理を披露。ループ、反論する。モース、ループを釈放する。
[26] ディクソン刑事、男を尾行。
[27] モースが暗号を解読。クインとオグルビー殺害の容疑者が逮捕される。
[28] モース、推理を披露。
[29] モース、聴覚障害者のクラスを見学。pやbやmで始まる単語は判別が困難であることを知る。建物から出る時刻の合図のベルが鳴る。教師は何の反応も示さずに出席簿に印を付けている。バートレット、モースに電話するが、不在。
[30] 会議室に委員会の面々が集合。モースの独演会。犯人として一人の人物が指摘される。
[31] モース、ルイスに説明。
[誰か? 32] モース、委員会の書簡用紙にある審議員の名前を何気なく見て、あることに気づく。ルイスにその名前を読ませる。
[エピローグ] 試験の不正が暴かれた。
ニコラス・クイン:海外学力検定試験委員会の審議員
トム・バートレット:同事務局長
フィリップ・オグルビー:同事務局長代理
モニカ・ハイト:同審議員
ドナルド・マーチン:同
クリストファー・ループ:同委員
ジョージ・ブランド:元審議員
チャールズ・ノークス:同管理人
アーメッド・デュバル:アルジャマラ首長国の族長
リチャード・バートレット:トムの息子
エバンズ夫人:クインの家政婦
フランク・グリーナウェイ:クインの隣人
ジョイス・グリーナウェイ:同
ジャーディン夫人:アパートの家主
マーガレット・フリーマン:クインの秘書
ストレンジ:主任警視
ルイス:部長刑事
モース警部:主任警部
事務局長のトム・バートレットと委員のクリストファー・ループがお互いに反目し合っているのは、海外学力検定試験委員会の誰の目にも明らかに見えた。だからループがクインを推したのは、あるいはバートレットに対する当て付けだったのかもしれない。そんな経緯はともかく、耳に障害を抱えるニコラス・クインが新たな審議員として選出された。
クインは電話対応などには不安を抱えるものの、己の能力には自信を持っており、やる気に満ち溢れ、彼の前途は洋々に思えた。
来訪したアルジャマラ首長国の一団とのお別れパーティーの席で、クインはしばしの休息を取っていた。少し酒を飲み過ぎたせいだろう。まだ多くの人々が語り合っている。クインは彼らの口元を眺めた。たとえそれが小さな囁きであったとしても、読唇術で読み取った言葉は、彼の頭の中では大声で叫んでいるのと同様に“聞き取れる”。これは彼の密かな楽しみだった。
11月25日、火曜日。ニコラス・クインは自宅で死んでいた。毒物によるものだった。月曜に職場に現れなかった彼の様子を見に来た同僚が死体を発見した。そのときに死後72から120時間が経過していたと、後に判断された。モース警部はとりあえずその中間、94時間が死後経過時間、死亡時刻を金曜日の正午前後と推定した。
しかし関係者の証言を集めるに連れ、次第に死亡推定時刻がどんどん後ろにずれ込んでしまい、クインがいつ殺されたのか、モースは断定しかねるのだった。そしてなぜクインが殺されたのかということも、依然として謎だった。
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
モースが仮説から推論を導き出し、その誤りが判明して新たな推論を構築するパターンは当然今回も不変。一般(あくまでもミステリ・ファンの中での一般)的にはこのシリーズは最初の2作が代表的な作品で、(本作を含む)それ以降の作品の評価はやや低め。
コリン・デクスターの作品は元々特異な強い個性を持つスタイルゆえ、マンネリズムを避けるのは却って難しいだろう。初期2作では筆の勢いに自然に任せて書けば良かったのが、そろそろ意図的に変化を付けようとしたり、作品のクオリティ以外の部分まで考えざるを得なくなってきたのかもしれない。(高い評価を得た絵師がキャラクターのパターンを使い果たし、無理矢理に変化を付け、魅力のないキャラを描くようになるのと同様か)
また、このシリーズは“解決編”が複数存在するような構成なので、最後の解決が最も素晴らしいとは限らず、やや尻すぼみとなりがち。それが目立つようになってきたのだろうか。
本作の中心となっている謎は、クインがいつ殺されたのかということ。関係者の証言を集めていくうちに死亡推定時刻がどんどん後ろにずれ込んでしまうが、モースは自身の(乱暴な)推定に事実を合わせるがごとく証言を崩してゆき、ついに真の死亡時刻を暴く。しかし結局のところ、それによって容疑者がさほど絞られたわけではなく(裁判の材料としては重要だろうが)、せいぜい委員会内部の人物と限定された程度のものでしかない気も…。
ある人物を逮捕させたモースは、それまでさほど気に懸けていなかった点に唐突に重要な事実を見出し、誤った推理を最終結論とする難から危うく逃れたのであった。
[プレリュード] 海外学力検定試験委員会の新たな審議員の選考。バートレット事務局長はニコラス・クインの聴力に難があることを問題視するが、ループ委員の演説が決め手となり、投票によってクインが選出される。
[なぜ? 1] 委員会メンバーによる夕食会の後、クインがモニカの部屋を訪れるが、彼女は留守。「3時に帰ります」というメモが机の上に置かれている。委員会におけるバートレットの方針は、外出は自由だが、その居場所を彼にわかるようにしておかねばならない。
[2] クインは面と向かっての会話は読唇術でなんとかなるが、電話は苦手。マーチンとモニカは男女の関係。しかし妻帯者であるマーチンの誘いに対してモニカは距離を取り始めている。
[3] アルジャマラ首長国の一団は委員会とのお別れパーティーを開く。クインは酒を飲み過ぎたのか気分が悪くなり、離れた所でアルジャマラの族長・アーメッドと委員会のメンバーが話す姿をぼんやりと眺めている。
[4] 11月21日(金曜日)の12時、委員会のオフィスで防火訓練が行われた。全員が寒い戸外に15分間立たされた。オグルビー、バートレットの部屋に侵入し、何かを捜す。バートレット、それに気づいていたが口には出さず。何か取られるようなものの心当たりがない。
[5] 11月25日(火曜日)、クインが自宅アパートにて死体となっている。毒殺。死後数日。クインが委員会に現れなかったため、様子を見に来たマーチンが発見した。部屋の屑籠にA・エバンズからクイン宛てのメモが捨てられている。6時過ぎにまた掃除に来るという内容。
[6] モース、クインの部屋を調査するが、特にこれというものは見当たらず。衣装掛けのグリーンのアノラックに気づく。
[7] モース、委員会メンバーを尋問。
[8] クインのオフィスの捜索。アルジャマラ教育省の公用書簡紙にタイプされた手紙。消印は今年の3月3日。クインの前任者であるG・ブランド宛となっている。内容は夏期試験問題の発送に関するもの。文中に20日の金曜日という日付があるが、今年の3月から7月のいずれの月にもそんな日付はあり得ない。
[いつ? 9] モース、クインの秘書・マーガレットを尋問。金曜日の10時45分頃にクインと会い、口述筆記を行なっている。午後には彼に会っていないが、グリーンのアノラックが椅子の背に掛かっているのは見た。彼女のイニシャルM・F宛の短い置き手紙もあった。ルイス、委員会の紙屑ゴミを調べるが、その置き手紙は見つからず。防火訓練についての全職員への通達で、クイン宛のものが見つかった。11月21日(金曜日)の12時に火災警報が鳴りいかなる理由があろうとも建物の中に留まらず、駐車場に集合せよとの内容。モース、管理人・ノークスを尋問。モースはクイン殺害日時を金曜日の昼頃と推測していたが、ノークスは午後5時10分前頃に彼が車で帰って行く姿を見たという。
[10] エバンズ夫人の証言。金曜日の午後4時頃にクインの部屋に彼女は置き手紙。午後6時15分に再訪。クインの部屋には彼から彼女宛ての置き手紙。「E夫人 ちょっと買い物に――すぐ帰ります。N・Q」
[11] モース、マーチンを尋問。彼とモニカは金曜日の午後1時10分にオフィスを出て彼女の家に行き、午後4時15分前に彼はそこを出た。モース、オグルビーを尋問。彼は午後3時30分からずっとオフィスにいたと答えたが、午後4時15分から5時までそこに誰もいなかったという、ループとノークスの証言と合わない。
[12] クインの所持品の中に映画の切符の半券。座席番号は93550。モース、それについて映画館に尋ねると、先週にも似たようなことを電話で尋ねた男がいたという。
[13] クインの下宿先は共同電話を使用している。
[14] モース、ループの疑わしい点を挙げる。第一に彼は石油系の会社に在籍していたことがあり、有力者たちと繋がりがあり、大きな利益を生む不正行為に関わっていたかもしれない。(ブランドが何かの不正行為に関与していることはほぼ明らか) 第二に彼は化学者であり、毒物の知識を持っている。第三に問題の日時であろう21日(金曜日)の午後4時半頃にタイミング良く委員会のオフィスにやって来て、審議員の各部屋を覗いて回るというのも不自然。第四に彼とバートレットとの間に奇妙な敵意が存在し、その衝突がクインの処遇を巡って起きたというのも興味深い。第五に彼とクインはお互いにその教育を同じ地域で受けており、旧知の仲であったかもしれない。モース、ループを尋問。ループの21日の行動についての証明に本人も協力するが、立証されず。
[15] モニカとマーチンは21日に映画館にいたことを認める。クインもそこにいたことには気づかなかったという。
[16] モース、オグルビーが映画館にいたのか、追及するも不発。
[17] モース、妙な点を挙げる。a)クインのテーブルが隙間風の吹き込む位置に置かれている。b)マッチの燃えさしが部屋にもクインのポケットにも見当たらない。c)バターが充分にあるのに、さらに買い増ししている。d)E夫人宛の手紙は漠然としている。それらから導き出される推測は21日の夕方にガスを点け、バターを買い、置き手紙を残したのはクイン以外の人物ではないかということ。クインは自力で帰宅しなかったのではないか。モース、グリーナウェイ夫人から話を訊く。金曜日の午後5時5分にクインの車が自宅車庫に入るのを見た。共同電話で彼が別の男と話すのを聞いた。盗み聞きするつもりではなかったため、内容はほとんどわからず。モース、筆跡鑑定の結果を知る。エバンズ夫人宛の置き手紙はクインの筆跡。
[18] モース、クインの電話の相手としてバートレットを追及するが不発。
[19] バートレット宅のモースのもとに、オグルビー殺害の一報。火かき棒による撲殺。発見者はモニカ。所持している鍵を使って彼の家に入った。バートレットが電話の件について答える。試験問題漏洩の犯人としてバートレットをクインは名指ししたという。オグルビーの所持品から映画の切符の半券が見つかる。手帳にはクインの切符の半券を書き写した図が書かれている。
[20] モース、入院中のモニカと面会。誰かが映画館に入るところを見なかったか尋ねるも、彼女は否定する。
[21] モース、マーチンを尋問。モニカとともに映画館へ行ったことを隠し、彼女の家にいたと偽った理由を追及。彼は彼女の言う通りにしただけで、その理由はわからないという。
[いかにして? 22] アルジャマラの学校の答案の採点。5名中4名は不合格点。1名はほぼ満点に近い出来。ブラント、クイン殺害の知らせを受け取る。
[23] オグルビーは血液の病気でせいぜいあと1年半の命だった。バートレットの息子は精神分裂病。
[24] ループを逮捕。
[25] モース、ループに推理を披露。ループ、反論する。モース、ループを釈放する。
[26] ディクソン刑事、男を尾行。
[27] モースが暗号を解読。クインとオグルビー殺害の容疑者が逮捕される。
[28] モース、推理を披露。
[29] モース、聴覚障害者のクラスを見学。pやbやmで始まる単語は判別が困難であることを知る。建物から出る時刻の合図のベルが鳴る。教師は何の反応も示さずに出席簿に印を付けている。バートレット、モースに電話するが、不在。
[30] 会議室に委員会の面々が集合。モースの独演会。犯人として一人の人物が指摘される。
[31] モース、ルイスに説明。
[誰か? 32] モース、委員会の書簡用紙にある審議員の名前を何気なく見て、あることに気づく。ルイスにその名前を読ませる。
[エピローグ] 試験の不正が暴かれた。