モース警部シリーズの長編第2作。家出した少女の捜索。捜査中に少女の関係者が殺害される。推理は二転三転。(「・ω・)「にゃおー [???]
バレリー・テイラー:ロジャー・ベイコン校の女子学生
ジョージ:バレリーの父
グレース:バレリーの母
ドナルド・フィリップソン:校長
シーラ:ドナルドの妻
ミセス・ウェッブ:ドナルドの秘書
レジナルド・ベインズ:教頭
デイビッド・エイカム:フランス語の助教諭
リチャード・エインリー:主任警部
アイリーン:リチャードの妻
ジョニー・マガイア:“ペントハウス”の客引き
ジョゼフ・ゴッドベリー:横断歩道の元誘導員
イボンヌ・ベイカー:高級娼婦
ストレンジ:警視正
ルイス:部長刑事
モース警部:主任警部
バレリー・テイラーの捜索。それはまったく彼好みの事件ではなかった。
モース主任警部には死体が必要だった。だからつまらない家出人捜索など、やる気の出ようはずがない。だが彼はその事件に何か怪しげな香りを嗅ぎ取ったのか、あるいは――こちらのほうが妥当と思えるが――これは単純な家出人捜索などという退屈な作業ではないと、無意識にうちに自分に言い聞かせたのか、これはバレリー殺害事件なのだと断じるのだった。
バレリーが失踪したのは2年以上前。だが数日前に彼女からの(モースは偽物と確信していたが)手紙が届いていた。彼女の居場所は知らせずとも、その無事を知らせる内容である。消印は9月2日となっている。
ところでバレリー失踪事件については、モースには前任者がいた。その彼――エインリー――は9月1日にロンドンからの帰路にて、交通事故(この事故自体には不審はまったくない)で亡くなっている。
エインリーが死んだのは9月1日。バレリーからの手紙が送られたのは9月2日。モースはこれを単なる偶然とは見做さなかった。エインリーはバレリー失踪事件について何か重大なことを掴み、ロンドンへ行ったのではないだろうか?
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
モース警部の論理の迷宮。仮定を重ねて推理を組み上げては壊れ、壊れてはまた複雑に組み上げる――
僕はこれは再読だが、失踪した娘を捜す話だという漠然とした記憶しか残っておらず、読み進めても内容をほとんどまったく思い出せないことがわかったw
本作はモース警部シリーズ中の最高傑作と言われることも多い代表作。…なのだが、個人的にはどうもピンと来ない。確かにモースの推理が二転三転する展開は面白いのだが、最後がなんとなく唐突で、尻すぼみで、すっきりしない。ベインズ殺害犯の指摘は付け足しみたいで、それは誰でもいいような。緻密な推理の末の、最後に残った唯一の解答という印象がない。
モースの「私にはそれが必要だ。だがわれわれには死体がない」という台詞は素晴らしい。まさにそのとおりで、やはり物語には死体があったほうが面白いんだw ところが本作は家出人捜しという題材で、そのバレリーが生きているのか死んでいるのかはっきりしない、――殺害された死体のない――もやもやしたままの状態で、長く物語が進行するのも物足りないところ。(読み終えてみると、中盤でようやく発生するベインズ殺害事件は、ストーリーを引っ張るためだけの付属品でしかないと思えなくもない)
[プレリュード] 面接からの帰路に着く男が女と知り合う。
[1] モース、家出人捜索を命じられる。「親愛なるパパとママ あたしは大丈夫よ。バレリー」 手紙の消印は9月2日(火曜日)、ロンドン、EC4。
[2] 前担当者のエインリーはロンドンへ向かう途上で交通事故死している。何か考え事でもしていたのだろう。事故の日は9月1日(月曜日)。バレリーからの手紙が送られた前日。
[3] モース、エインリーの自宅を訪れ、エインリー夫人に出迎らえる。エインリーの卓上日記の9月1日の欄を見る。「サウサンプトン・テラス42番地」
[4] キドリントンのロジャー・ベイコン総合中等学校の校長宛に、テムズ・バレイ警察から手紙が届く。ロジャー・ベイコン総合中等学校からカーナフォン市の学校に移ったデイビッド・エイカムが庭の芝を刈る前に雨が降り出す。女を部屋に引っ張り込んだ男が別の女に責められている。バレリーの父・ジョージが仕事中に娘を思い出している。連続爆破事件の容疑者が多数逮捕される。それについてのモース警部の貢献度はゼロに等しかった。
[5] モース、家出人特集の新聞記事を読む。バレリーの顔を初めて見る。
[6] モース、ルイスとともに報告書の検証。モースの神託。「もし失踪直前のバレリーが袋か何かを持っていたなら(事実そうであろうが)、彼女は死んでいるだろう」
[7] 目撃者ジョゼフ・ゴッドベリー、バレリーが左手に何か袋のようなものを下げていたことを証言。モース、バレリーのノートの入手に成功。
[8] モース、ジョニー・マガイアを尋問。バレリーの妊娠について尋ねる。
[9] モース、ドナルド・フィリップソンを尋問。
[10] バレリーの手紙の筆跡の検証。バレリーからの新たな手紙。それによると彼女は自身を捜されるのを望まない。
[11] モース、グレースを尋問。バレリーの妊娠については否定。家の中に別の誰かの気配。
[12] モース、ジョージを尋問。
[13] モース、エイカムと電話で会話。ベイズと面会。
[14] ルイス、モースの方針に不満。
[15] モース、エイカムに電話するが不在。重要なことではないので後回し。
[16] モース、数々の仮定を経てバレリーの腹の中の子の父親をフィリップソンと推理。バレリーからの2通目の手紙はモース自身が作ったものと告白。
[17] フィリップソンとベインズとの間に火花。
[18] モース、バレリー失踪事件について考えながら眠りに就く。ベインズ、予期せぬ訪問を受ける。
[19] ベインズ、背中をナイフで刺され、死んでいる。部屋の中から表紙にバレリーの名が署名されたノートが見つかる。挟まった紙にはバレリーの筆跡を練習したような痕跡。まだ新しいと思しき電話帳。記入された番号は14あった。そのうち事件と関係ありそうなものは三つ。エイカム、フィリップソン、テイラー。
[20] ジョージとフィリップソンには不完全ながら尤もらしいアリバイ。エイカムはオックスフォードでの会議に出席中と、エイカム夫人は答える。
[21] モース、酒場でのひととき。
[22] 時計の針を戻す話。
[23] トマス夫人、ベインズの家を珍しく女が訪問したことを語る。女はピンクのコートを身に着けていた。
[24] フィリップソン夫人、ベインズの家の戸口を叩いたことは認めた。しかし彼には会えず引き返した。そのとき彼女はエイカムを目撃。
[25] モース、エイカム夫人と会う。
[26] エイカム、ベイスンを訪ねたが会えなかったと語る。
[27] モース、バレリー殺しとベインズ殺しの犯人の正体を確信。
[28] ルイスの推理。テイラー夫人によるバレリー殺害説。
[29] モースの推理。ルイスの推理をさらに推し進めたもの。
[30] 生前のベインズの経済状況はかなり良好。
[31] モースの推理の補完。
[32] モース、バレリーの妊娠中絶の報告書を受け取る。彼の推理が崩れ落ちる。
[33] モース、イボンヌ・ベイカーと面会。バレリーの相手は口髭を生やしたフランス語教師らしい。マガイア、何処かへと去る。
[34] モース、エイカム宅を訪ねる。
[35] モースの推理。バレリーによるエイカム夫人成り済まし説。モース、住人の戻らぬエイカム宅に入る。
[36] エイカム夫人の帰宅。モースの推理、崩壊。
[37] モース、崩壊した自身の推理の検証。
[38] モース、イボンヌと電話で会話。
[39] モース、列車で移動。
[40] モース、イボンヌに推理を披露。
[41] フィリップソン夫人、ベインズ殺害を自供。
[42] バレリー・テイラーの独白。
[エピローグ] バレリーは未だにテイラー夫妻のもとへは戻っていない。
バレリー・テイラー:ロジャー・ベイコン校の女子学生
ジョージ:バレリーの父
グレース:バレリーの母
ドナルド・フィリップソン:校長
シーラ:ドナルドの妻
ミセス・ウェッブ:ドナルドの秘書
レジナルド・ベインズ:教頭
デイビッド・エイカム:フランス語の助教諭
リチャード・エインリー:主任警部
アイリーン:リチャードの妻
ジョニー・マガイア:“ペントハウス”の客引き
ジョゼフ・ゴッドベリー:横断歩道の元誘導員
イボンヌ・ベイカー:高級娼婦
ストレンジ:警視正
ルイス:部長刑事
モース警部:主任警部
バレリー・テイラーの捜索。それはまったく彼好みの事件ではなかった。
モース主任警部には死体が必要だった。だからつまらない家出人捜索など、やる気の出ようはずがない。だが彼はその事件に何か怪しげな香りを嗅ぎ取ったのか、あるいは――こちらのほうが妥当と思えるが――これは単純な家出人捜索などという退屈な作業ではないと、無意識にうちに自分に言い聞かせたのか、これはバレリー殺害事件なのだと断じるのだった。
バレリーが失踪したのは2年以上前。だが数日前に彼女からの(モースは偽物と確信していたが)手紙が届いていた。彼女の居場所は知らせずとも、その無事を知らせる内容である。消印は9月2日となっている。
ところでバレリー失踪事件については、モースには前任者がいた。その彼――エインリー――は9月1日にロンドンからの帰路にて、交通事故(この事故自体には不審はまったくない)で亡くなっている。
エインリーが死んだのは9月1日。バレリーからの手紙が送られたのは9月2日。モースはこれを単なる偶然とは見做さなかった。エインリーはバレリー失踪事件について何か重大なことを掴み、ロンドンへ行ったのではないだろうか?
※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。
モース警部の論理の迷宮。仮定を重ねて推理を組み上げては壊れ、壊れてはまた複雑に組み上げる――
僕はこれは再読だが、失踪した娘を捜す話だという漠然とした記憶しか残っておらず、読み進めても内容をほとんどまったく思い出せないことがわかったw
本作はモース警部シリーズ中の最高傑作と言われることも多い代表作。…なのだが、個人的にはどうもピンと来ない。確かにモースの推理が二転三転する展開は面白いのだが、最後がなんとなく唐突で、尻すぼみで、すっきりしない。ベインズ殺害犯の指摘は付け足しみたいで、それは誰でもいいような。緻密な推理の末の、最後に残った唯一の解答という印象がない。
モースの「私にはそれが必要だ。だがわれわれには死体がない」という台詞は素晴らしい。まさにそのとおりで、やはり物語には死体があったほうが面白いんだw ところが本作は家出人捜しという題材で、そのバレリーが生きているのか死んでいるのかはっきりしない、――殺害された死体のない――もやもやしたままの状態で、長く物語が進行するのも物足りないところ。(読み終えてみると、中盤でようやく発生するベインズ殺害事件は、ストーリーを引っ張るためだけの付属品でしかないと思えなくもない)
[プレリュード] 面接からの帰路に着く男が女と知り合う。
[1] モース、家出人捜索を命じられる。「親愛なるパパとママ あたしは大丈夫よ。バレリー」 手紙の消印は9月2日(火曜日)、ロンドン、EC4。
[2] 前担当者のエインリーはロンドンへ向かう途上で交通事故死している。何か考え事でもしていたのだろう。事故の日は9月1日(月曜日)。バレリーからの手紙が送られた前日。
[3] モース、エインリーの自宅を訪れ、エインリー夫人に出迎らえる。エインリーの卓上日記の9月1日の欄を見る。「サウサンプトン・テラス42番地」
[4] キドリントンのロジャー・ベイコン総合中等学校の校長宛に、テムズ・バレイ警察から手紙が届く。ロジャー・ベイコン総合中等学校からカーナフォン市の学校に移ったデイビッド・エイカムが庭の芝を刈る前に雨が降り出す。女を部屋に引っ張り込んだ男が別の女に責められている。バレリーの父・ジョージが仕事中に娘を思い出している。連続爆破事件の容疑者が多数逮捕される。それについてのモース警部の貢献度はゼロに等しかった。
[5] モース、家出人特集の新聞記事を読む。バレリーの顔を初めて見る。
[6] モース、ルイスとともに報告書の検証。モースの神託。「もし失踪直前のバレリーが袋か何かを持っていたなら(事実そうであろうが)、彼女は死んでいるだろう」
[7] 目撃者ジョゼフ・ゴッドベリー、バレリーが左手に何か袋のようなものを下げていたことを証言。モース、バレリーのノートの入手に成功。
[8] モース、ジョニー・マガイアを尋問。バレリーの妊娠について尋ねる。
[9] モース、ドナルド・フィリップソンを尋問。
[10] バレリーの手紙の筆跡の検証。バレリーからの新たな手紙。それによると彼女は自身を捜されるのを望まない。
[11] モース、グレースを尋問。バレリーの妊娠については否定。家の中に別の誰かの気配。
[12] モース、ジョージを尋問。
[13] モース、エイカムと電話で会話。ベイズと面会。
[14] ルイス、モースの方針に不満。
[15] モース、エイカムに電話するが不在。重要なことではないので後回し。
[16] モース、数々の仮定を経てバレリーの腹の中の子の父親をフィリップソンと推理。バレリーからの2通目の手紙はモース自身が作ったものと告白。
[17] フィリップソンとベインズとの間に火花。
[18] モース、バレリー失踪事件について考えながら眠りに就く。ベインズ、予期せぬ訪問を受ける。
[19] ベインズ、背中をナイフで刺され、死んでいる。部屋の中から表紙にバレリーの名が署名されたノートが見つかる。挟まった紙にはバレリーの筆跡を練習したような痕跡。まだ新しいと思しき電話帳。記入された番号は14あった。そのうち事件と関係ありそうなものは三つ。エイカム、フィリップソン、テイラー。
[20] ジョージとフィリップソンには不完全ながら尤もらしいアリバイ。エイカムはオックスフォードでの会議に出席中と、エイカム夫人は答える。
[21] モース、酒場でのひととき。
[22] 時計の針を戻す話。
[23] トマス夫人、ベインズの家を珍しく女が訪問したことを語る。女はピンクのコートを身に着けていた。
[24] フィリップソン夫人、ベインズの家の戸口を叩いたことは認めた。しかし彼には会えず引き返した。そのとき彼女はエイカムを目撃。
[25] モース、エイカム夫人と会う。
[26] エイカム、ベイスンを訪ねたが会えなかったと語る。
[27] モース、バレリー殺しとベインズ殺しの犯人の正体を確信。
[28] ルイスの推理。テイラー夫人によるバレリー殺害説。
[29] モースの推理。ルイスの推理をさらに推し進めたもの。
[30] 生前のベインズの経済状況はかなり良好。
[31] モースの推理の補完。
[32] モース、バレリーの妊娠中絶の報告書を受け取る。彼の推理が崩れ落ちる。
[33] モース、イボンヌ・ベイカーと面会。バレリーの相手は口髭を生やしたフランス語教師らしい。マガイア、何処かへと去る。
[34] モース、エイカム宅を訪ねる。
[35] モースの推理。バレリーによるエイカム夫人成り済まし説。モース、住人の戻らぬエイカム宅に入る。
[36] エイカム夫人の帰宅。モースの推理、崩壊。
[37] モース、崩壊した自身の推理の検証。
[38] モース、イボンヌと電話で会話。
[39] モース、列車で移動。
[40] モース、イボンヌに推理を披露。
[41] フィリップソン夫人、ベインズ殺害を自供。
[42] バレリー・テイラーの独白。
[エピローグ] バレリーは未だにテイラー夫妻のもとへは戻っていない。