仕事が忙しく少し間が空いてしまいましたが、
ここまで4回に渡り長野県北部の旅の記録を書いてきました。
ここまでの4回はいわば『大仏ゾーン』、
ここから先は『大仏じゃないゾーン』になってまいります。
ですが大仏好きさんもそれなりに興味ある内容だと思いますので、
できればこの先もお付き合いください。
さて、今回ご紹介したいのは道祖神(どうそじん)です。
道祖神とは端的に言えば、
外から来る悪いもの(疫病や悪霊など)の侵入を防ぐため、
村の堺などに祀られる民間信仰の神様のこと。
ただ道祖神と一言で言っても形は様々です。
長野だと安曇野周辺に特に多い、
石の仲良し道祖神が比較的知られているんじゃないでしょうか。
こんな感じです。
ラブラブで実に可愛らしい。
このラブラブの描写がちょっと生々しいものもあったりして‥
(直接的な表現は控えますが)なかなか興味深いんです。
一方、秋田県の道祖神はというと形態が異なります。
私は秋田の県南の出身なのですが、
秋田には人形道祖神という藁の神様がいらっしゃるんです。
村と村の境で睨みをきかし悪いものが入って来るのを防ぐ、
という役割ですから、かなり強そうで恐い。
こんな感じ。
写真は地元の人々から『カシマさま』と呼ばれる代表的な人形道祖神です。
大きさは4メートル近くあり、実際に目の当たりにすると威圧感がハンパない。
お寺の仁王像のようにガードマンとして地域を守る存在なんですね。
この秋田の人形道祖神に関しては以前このブログでご紹介しています。
ちょっと長いですが、こちらからご覧ください。
と、説明が長くなりましたが、
この秋田の人形道祖神のような藁の道祖神が長野北部にもいらっしゃる!
ということで、この機会に訪問してみることにしました。
はたしてどんな神様なんでしょうか。
その道祖神がいらっしゃるのは北アルプスの絶景を望む県道12号沿い。
ちなみに県道12号は『アルプス展望道路』という名もあるらしいです。
その12号沿いの芦ノ尻区広場というところ。
カーブ付近に屋根付きの展望スペースのような場所があり、
この奥がちょっとした広場になっています。
ここがいわゆる道祖神場です。
道祖神場の一角で異彩を放っているのが目的の道祖神、
芦ノ尻道祖神です。
お分かりになるでしょうか、
二十三夜塔と庚申塔が並ぶ奥に見える、不適な笑みを浮かべる大きなお顔。
『道祖神』と彫られた板碑に藁を巻き付けつくられています。
ですからそこまで大きくはない。でも存在感が凄い。
村に入ろうとする悪いものを追い払うため威嚇‥
というより、まるで鼻先であしらうような不適な笑み。
だって口角が上がってるし、鼻穴も大きく表現されていて、
鼻息を荒くニヤリとしているように見えるじゃないですか。
神様なのは承知しておりますので甚だ失礼と存じますが、
ユニークなお顔でインパクト大!です。
恐いというより面白い。
見ているとだんだん愛おしくなってくる‥そんな感じでしょうか。
芦ノ尻道祖神は正式には
藁製神面装飾道祖神(わらせいしんめんそうしょくどうそじん)と言います。
つまり藁製の神の面を装飾した石の道祖神。
そのままですね。
毎年お正月の1月7日にこの場所で道祖神祭りが行われます。
家々から持ち寄った正月飾りの藁を板碑に巻き付け、
このインパクト大なお顔がつくられるそうです。
そして役目を終えた古い神面は人々の祈りとともに燃やされるのです。
とても合理的なお祭りだと思います。
いつかお祭りの時に来てみたいものです。
冬にここまで来るのはなかなか大変そうですが。
その後この場所を離れ県道12号を北に移動していた時、
芦ノ尻道祖神のお仲間を見付け、すぐさま車を停めました。
桜の木でしょうか?
大きな木の下で休んでいるかのような‥
藁製神面装飾道祖神(わらせいしんめんそうしょくどうそじん)!!
芦ノ尻道祖神とそっくりな姿です。
ただ周囲に花が咲いているせいか、私が見慣れてきたせいか‥
なんだかさっきより可愛らしく見えるから不思議です。
妖精のようにも見えてきました。
ここが集落の北の端で、芦ノ尻道祖神のある場所が南の端ということでしょうか。
両方向から悪いものの侵入を鼻息荒く警戒しているのでしょうか。
そしてこちらの道祖神の傍には、
仲良し道祖神らしき石仏の姿もありました。
ポカポカな春の光の中、木の下に道祖神が並ぶ風景は
とても懐かしく穏やかな風景だなぁ、と思いました。
自分の故郷である秋田と似た風景だったからかもしれません。
秋田の人形道祖神は大きな木の下にあることが多いんです。
いつまでもこの民間信仰が続いていってほしいと願うばかりです。
おそらく異形であろう藁の道祖神に心が癒されたお話でした。









