『秋田の神さまめぐり』今回はわりと衝撃回かもしれません。
王道を読んでからの変化球だと思いますので、
と、つづけてお読みいただければと思います。
秋田県南部の湯沢〜横手市に点在する、
ワラでつくられた人形道祖神、カシマサマをめぐっています。
カシマサマは村境で災いを追い払う村の守り神。
ですから勇ましい風貌なのかと思いきや、
なかなか一言では語れない…様々なお姿をしていらっしゃいます。
今回はさらに個性的、独創的なカシマサマが登場します。
「その発想はなかった!」
ってなるんじゃないでしょうか。
私はなりました。
次に向かったのは、
前回の真角のカシマサマ、下今泉のカシマサマのいらっしゃる、
横手市十文字町から車で15分ほどの、
住所で言うと横手市平鹿町というところ。
この地域には比較的小ぶりなカシマサマが点在しているようです。
中でも私が衝撃を受けたのが、上中野のカシマサマです。
田園風景が広がる中、大木があり傍らに花の咲く、
ちょっとした広場のような場所。
この大木の下に上中野のカシマサマがいらっしゃいます。
『鹿嶋大明神』と大きく書かれた旗には
『無病息災 五穀豊穣』また奉納された日なども書かれています。
腰には2本の刀、わら納豆みたいな持ち物もぶら下げ、なんだかお洒落。
ですが…それよりも何よりも気になるのが、このお顔!
こちら通称、ラミネート カシマサマ!
武将?でしょうか、厳ついお顔の描かれた紙を切り抜き、
それをラミネートして頭部に巻き付けています。
その上にはリーゼント風な髪の毛が乗っかっているという…
実に独創的いや実用的?なカシマサマ!!
確かに、前回の真角のカシマサマのように、
直接ワラに墨などでお顔を書き入れた場合、
雨や雪でお顔が滲んでしまうことあるでしょう。
ラミネート加工することで、その悩みは解消されます。
そして、これも衝撃的だったのですが、
カシマサマの足元には、役目を終えた先代のカシマサマが、
まるで寝そべるように置かれていたのです!
これまでも書いてきましたが、ワラでつくられたカシマサマは、
年に1回(もしくは2回)その地域で決まったペースで作り替えられます。
この地域では、役目を終えたカシマサマは、このように土に還すのです。
神さまをそんな風に…と思われるかもしれません。
ですが、どうやらカシマサマは善か悪かが曖昧な存在のようです。
悪いものを受け止め、自分自身も悪いものと一緒に朽ちていく、
善悪を超え再生していく存在なんだそう。
これちょっと目から鱗な神さま論じゃないですか?
とある方にこの話を熱く語ったら、
「ラミネートした部分は分解しないから、土には還らないよ」
と冷静なご指摘をいただきました…
確かにそうですね。
ラミネート部分は後々回収していただきましょう。
つづいて、
この上中野のカシマサマからほど近い橋の上に、
カシマサマ史上最もキュートなカシマサマがいらっしゃる!
ということで、尊くんにご案内いただきました。
それがこちら。
必要以上にフォトジェニックに撮ってしまいましたが。
お解りでしょうか、橋のガードレールの下部分に、
わら人形っぽい小さな神さまがいることを!
体長は60センチ程度で、
おそらく人形道祖神界において最も小さな
ミニマム カシマサマ!
石塚のカシマサマです。
めちゃめちゃ可愛い!
これは…歌舞伎の隈取りでしょうか?
この前年は『忍者カシマサマ』だったらしいので、
その年ごとにテーマがあるのかもしれません。
コスプレ カシマサマとでも言いましょうか。
このカシマサマ、間違いなく愛されてますね。
制作者が楽しんでいるのが伝わってきます。
微笑ましい。
いやぁ面白いですよね、カシマサマ。
これまでに5体のカシマサマと、
1体のカシマサマをモチーフにしたオブジェをご紹介してきましたが、
この日はまだまだカシマサマめぐりをしたんですよ。
全部をご紹介したいのですが…
カシマサマだけでブログ何回分になるんだろ…終わりが見えない。
次回はダイジェストでお届けしようかな。
次回までお待ちください。