雨の日は行かないでください。仏谷の磨崖仏 | 半田カメラ/気になったら とりあえず行ってみるブログ

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フリーカメラマンで大仏写真家の半田カメラが、
「気になったら とりあえず行ってみる」
をモットーに、彷徨いつづける日々の記録です。

まだお正月感満載の今年1月4日。

私は雨でぬかるんだ山道を恐る恐る歩いていました。

しかも京都の山奥で、ひとりきり。

 

 

近くまで車で送ってもらえましたが、

悪天候の山道を一緒に来てくれる人は誰ひとりなく…

山にひとり残されました。

いや、ここまで車で連れて来てもらえただけでも有り難いんです。

私だって行きたくはないです、雨天時には。

でもこの機会を逃したら、しばらく京都には来られません。

それぐらいに会いたい磨崖仏がありました。

 

その磨崖仏というのが

仏谷 阿弥陀磨崖仏(ほとけだに あみだまがいぶつ)です。

媒体によっていろいろな名称になっていて、

大門仏谷 如来系磨崖仏というのが詳細かつ正確なのかな、と思います。

でもどうにも長いので、この先は『仏谷の磨崖仏』と呼ばせていただきますね。

 

仏谷の磨崖仏木津川市の当尾地区にあります。

当尾はたくさんの石仏(磨崖仏)があることで知られ、

『当尾の石仏』と呼ばれ石仏好きの間で有名です。

 

私としてはまる1日、いや2日かけてゆっくり散策したいところですが、

関東在住ということもあり時間をとれず…

前回は『笑い仏』を参拝したのみでタイムオーバーとなってしまいました。

 

『笑い仏』は当尾の石仏の中でも有名な石仏のひとつ。

『笑い仏』もまだブログには書けていないかも…

拙著『道ばた仏さんぽ』に掲載しておりますので、

よろしければそちらでお読みください。

 

そしてもうひとつ当尾で有名な石仏が仏谷の磨崖仏なんです。

 

仏谷の磨崖仏に最も近い駅はおそらくJR加茂駅。

駅からバスは出ているのかな…ちょっとわかりませんが、

近くまで車で行くと加茂駅から10分くらい。

徒歩だとおそらく1時間ほどかかります。

 

 

私は前述のように『加茂町北大門』のあたりまで車で連れて来てもらい、

そこから徒歩で道を登って行きました。

雨は降っているか微妙なぐらいの小雨といったところ。

そんな小雨の中をしばらく行くと、左手に仏さまが見えてきました。

 

こんな感じです。

 

わかりますか?写真中央部に磨崖仏。

 

いま歩いている山道の左手は谷になっていて、

谷の向こう側、対岸と言うんでしょうか、

その岩壁に大きな磨崖仏が刻まれているようです。

谷だから『仏谷』と言うのかな。

これは…そうとうスケールの大きい磨崖仏ですね。

 

この場所は立て看板が設置され、仏谷の磨崖仏のための展望スペースになっています。

ふつうの人はここから拝むのみで、近くに行こうとは思わないでしょう。

でも私は近くまで行きたい。

近くまで行くにはどうしたらいいの?

と、道を探してみると…

展望スペースから少し先のところに、谷に降りられる道が!

 

 

でもこれ…

雨で濡れた落ち葉がもっさり積もった下り坂。

誰が見ても、めっさ危ないでしょ。

でもここまで来たら行くしかないんだよ…

2回ぐらいの転倒は覚悟で行こう!!

 

 

と決死の覚悟で降りはじめました。

 

が、案の定、滑ります。

足を滑らしたら谷に落ちるかもしれません。

カニ歩きでゆっくり降りましょう。

もはや修行だ。

 

『足もとに御注意』

 

足元注意の手書き看板を発見。

親切な人、ありがとう。
これを書いた人も雨天時は推奨していないでしょう。
ごめんなさい。
 
途中、竹が倒れ道をふさぐなどありながらも、
お尻をつくまでの転倒はなく、
なんとか平坦な道まで降りることができました。
 
坂を降りはじめてから十数分ぐらいでしょうか、
グチャグチャなぬかるみに気をとられ足元ばかり見ていたら、
右手の竹林の向こうに大きな仏さまが唐突に登場!!
 

 

こちらが当尾で最大の石仏

仏谷 阿弥陀磨崖仏です!!

 

この迫力、伝わりますかねぇ…

大きいんです。

像高は2.5メートルほどとのことです。

 

 

説明看板によれば、

年代は不明ながら像容から鎌倉初期作と推定される、如来形坐像。

阿弥陀磨崖仏とは言うものの、手の部分が風化していて印相は読み取れず、

阿弥陀如来なのか、大日如来なのか定かではないらしいです。

ですから如来系磨崖仏というのが正確でしょう。

正直、私は何如来でもいいです。そこはロマンということで。

 

大きさとは裏腹に柔和な印象を受ける、素敵な磨崖仏。

この石仏に会いたかったんです。

 

 

仏谷の磨崖仏の最大の特徴はやはり大きさでしょう。

大きさを伝えるためには磨崖仏の近くに人が写り込まないといけません。

大自然すぎて比較対象がないんです。

でもこの場には私しかいない。

 

これはセルフタイマーするしかない!

ということで、

カメラをセット→シャッターを押す

→坂道を駆け上る→石仏近くでポーズ

→坂道を下り写真チェック

この作業を何度か繰り返しました。

 

何度も繰り返し、ゼーハー言いながら撮影した一枚がこちらです。

仏谷の磨崖仏の大きさが伝わるんじゃないでしょうか。

 

ゼーハー感が写ってなくて良かった。

 

 

こうして私の新年の冒険は終わりました。

久々にシンドかったです。

でも天気が良ければここまで大変ではないと思います。

参拝される方は天気の良い日に!

それでも足元には充分にお気を付けください。

仏谷から滑落して仏になったなんて…まったく笑えません。

 

最後に、

この日は雨が降ったり止んだりと、とても不思議な天気でした。

帰りに虹が出たので、その写真でシメます。

 

 

虹によってなんだか劇的な話のようですが、

ただ単にモノズキが雨の日に山登りした、というだけの話でした。