カワイイの許容量オーバー 福林寺跡磨崖仏 (前編) | 半田カメラ/気になったら とりあえず行ってみるブログ

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フリーカメラマンで大仏写真家の半田カメラが、
「気になったら とりあえず行ってみる」
をモットーに、彷徨いつづける日々の記録です。

滋賀県野洲市に福林寺跡磨崖仏という

磨崖仏群があることは、以前から知っていました。

もはや「磨崖仏」の説明はしません。

過去記事などお読みください『奇絶峡の大石仏』

 

福林寺跡磨崖仏は知っていたものの、

すみません、そこまで魅力的な磨崖仏だとは思ってなかったんです。

市のホームページなどで拝見した福林寺跡磨崖仏の写真は、

何て言うか…大きくもなく、とりたてて珍しい像にも見えなくて。

滋賀県には他にもたくさんの素敵な磨崖仏があるので、

(あくまで私にとって)そこまで優先順位は高くなかったわけです。

 

ところが、ある時Twitterで目にした

福林寺跡磨崖仏の写真がとんでもなく魅力的だったんです!

この写真は相互フォローしている方の投稿だったんですが、

やっぱり写真って大事だなって改めて思わされましたね。

写真ひとつでこんなに心動かされるんですから。

 

この写真により、私の中の福林寺跡磨崖仏の優先順位がごぼう抜きで上がりました。

そして2023年1月某日、私は単身、JR琵琶湖線 野洲駅に降り立っていたわけです。

 

 

野洲駅から数分歩いたところで磨崖仏の第1看板を発見しました。

『福林寺跡磨崖仏まで1.7キロ』

 

1.7キロは徒歩30分くらいの距離感。

妙光寺山磨崖仏というまた別の磨崖仏も1.9キロのところにあるようです。

こりゃあ、今日は大変な1日になりそうだ。

 

 

こんなことばかりしているにもかかわらず、

そもそも私は方向感覚があまり良い方ではありません。

「あれ、看板ないな。どっちに進めば?」

と、第3看板以降の看板を見失い、

この日も当たり前のように道に迷い、うろうろと。

 

しかも

 

 

ポツポツと雨まで降り始める始末…

 

うわぁ、ここまで来て雨とは…

でも諦めないぞ、磨崖仏に会うまでは!

いずれ雨は止む!!

という全く根拠なき自信。これ大事。

 

そうこうしていると見失っていた看板を発見!

『福林寺跡磨崖仏 見学者駐車場↑』

おお、見学者専用の駐車場があるんだ。車で来れば良かった。

駐車場があるということは、きっと磨崖仏は近いはず。

 

 

上の写真の右手に駐車場がありまして、

この道の先にある一段高くなった山手側の道路に上がります。

 

道路と平行して川が流れています。

この川を左手に見ながら道路を進んで行くと…

 

 
『福林寺跡磨崖仏 見学路入口』発見!
 
『開放厳禁』となっているのはイノシシの獣害対策のため。
見学者は扉を開けて入り、必ず閉めるのがルール
守れない人は来ちゃダメです。
 
ちなみに駅からここまで約40分かかりました。
迷いながらなので、予定より10分ほど多くかかってます。
 
 
イノシシ避けの扉を開けると、道路と平行する川を渡る橋が現れました。
その先には獣道と言っても過言ではない、草木に囲まれた細い道がつづいています。
 
イノシシ出て来ませんように…
と祈りつつ、まだ見ぬ磨崖仏を求め道を進んで行きます。
 
 
扉から60mほど進むと看板が現れます。
『福林寺跡磨崖仏まで30m』
 
福林寺跡磨崖仏の他にも周辺には磨崖仏が点在していて、
違う方向を指す『小磨崖仏群まで40m』という看板もあります。
こっちは後で行くとして、まずは福林寺跡磨崖仏へ!
 
さらに30mほど進むと現れたのがこちら、
 
 
 
福林寺跡磨崖仏!
やっと出会えました。
 
周辺に多くの磨崖仏が点在する中で、最も美しいと言われている代表的な磨崖仏。
室町初期の作とされ、如来像2体と観音立像1体が刻まれています。
 
お気づきでしょうか。
さっきまで小雨がパラついていたのに、
ここに着いてしばらくすると日が差しはじめたことを。
根拠なき自信は間違ってなかった(たまにハズすけど)。
 
そしてもうひとつ、お気づきでしょうか。
一番左に写る観音像の上部に、
切り取ろうとしたノミの跡が痛々しく残っていることを!
 
 
この観音さまを切り取って持ち帰ろうとしたんですね…
 
実は福林寺跡磨崖仏の周辺は、過去にはもっとたくさんの磨崖仏があったそうです。
静かな場所であるがゆえ、過去に多くの仏さまが持ち去りに遭い、
現在残る仏さまにもノミの跡が痛々しく残っているわけです。
悲しいですね。
磨崖仏はここにあって、巨石に刻まれているからこそ素敵だと思うのですが。
言うまでもないことですが、絶対に傷つけたりしたらダメです!
 
 
さてここで、このブログのタイトルを思い出してください。
カワイイの許容量オーバーです。
この磨崖仏も確かにカワイイですが、
正直、許容量は越えない感じしませんか?
そうです、カワイイはこの先にありました。
 
この磨崖仏から少し離れた場所にあった磨崖仏、
こちらがヤバかった。
 
 
平べったい巨石に13体の合掌するお地蔵さまがぐるっと刻まれているんです!
半ば地面に埋まりかけたこのお地蔵さまたちが、
何とも言えず可愛らしい!!
 
私がこれまで見たこの13地蔵の写真はどれも巨石を上から撮影していて。
それだと巨石の丸い形は伝わりますが、
お地蔵さまの可愛らしさが伝わり切れてなかったんです。
 
私は葉っぱまみれになりながら、這いつくばって撮影させていただきました。
 
 
明らかにカワイイですよね!
ちょっと許容量越えちゃう可愛さじゃないかと思いました。
巨石をぐるっと囲んで刻まれてる感じもカワイイですし、
お地蔵さまの像容もカワイイ。
素朴さに胸打たれますね。
葉っぱにまみれて悔いなし!という感じ。
 
 
この周辺にはまだまだカワイイ石仏、磨崖仏が溢れていました。
ご紹介したいのですが、長くなってしまったので後編につづきます。
しばしお待ちください。