梅観音との奇跡的な出会い | 半田カメラ/気になったら とりあえず行ってみるブログ

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フリーカメラマンで大仏写真家の半田カメラが、
「気になったら とりあえず行ってみる」
をモットーに、彷徨いつづける日々の記録です。

先日のブログ『奇絶峡の大石仏』に行った後のお話です。

まだ時間があったので和歌山のどこかに寄りたいな、と思いました。

 

和歌山と言えば、拙著『遥かな巨大仏 西日本の大仏たち』

に掲載させていただいた紀三井寺さんがとても良いんです。

でもあそこも階段をめちゃめちゃ登るんですよね。

山登りした後だったので、さすがにそれは翌日ツラい。

 

うーん、どうしようかと考えながら車を走らせていた、

その時です!

車窓から見える山の上に仏さまらしき姿を見付けたのです。

 

『山の上の鉄塔が大仏に見えたら病気のはじまり』

 

これは私がよく言う『大仏好きあるある』みたいなもの。

大仏というのは人々を見守るように高台に建てられることが多く、

山の上に大仏さまが建っているのはよくあることなのです。

ですから、大仏を巡っている人は無意識のうちに山の上を探してしまう

これすなわち病いのはじまり、というわけです。

 

またそんな病気的なことか(空目とも言う)。

でも私のまだ知らない大仏さまかも!

と、不安と期待を胸に安全なところに車を停め、

山の上の何者かをカメラでパシャリ。

 

 

それを拡大してみるに…

 

これは鉄塔ではない。

ぼんやりだけど人の形をしてる!

白い…おそらく立像の観音さまじゃないの!?

 

ということで、

ここからまだ観ぬ観音さま捜索がはじまりました。

 

 

皆さん、あんまりしないことだろうからご存知ないでしょう。

見えてるんだから、すぐ辿り着けるだろって思うでしょ?

これがそんなことないんですよ。

あんなに大きくって、あんなに見えてるのに、なかなか辿り着けない。

 

「あれ?この道じゃなかった」と行って引き返す、の繰り返し。

Wi-FiがガンガンだったらGoogleさんとか使って見付けられるのかもしれませんが。

そんな環境下じゃないわけです、ほとんどの場合。

 

『〜観音』という看板があったので「これか!」と行ってみたところ、

まったく関係ない神社だったりして。

でもその関係のない神社で

「お、石仏がかわいい」とかなったりして。

つまりは道に迷いながら、途中で寄り道などしつつ、小一時間ほど経過しまして…

 

やっと辿り着きました!

辿り着いてみるとそこは、お寺でも神社でもなく

 

 

公園でした。

 

「ようこそ 梅観音公園 へ」

と梅太郎くんが旗を掲げてます。

 

私の勉強不足で梅太郎くんがどなたか存じ上げないんですが、

ずっと見えていた観音さまが梅観音さまである、

ということがここでほぼ確定しました。

 

 

梅観音公園は山の上にありながら、

眼下を見渡せるよう、さらに高台に造られていて、

階段もしくはスロープで上がるバリアフリー完備の親切設計。

 

階段を上がって行くと、

 

 

手前に鳥居があります。

神さまと仏さまが同居するタイプの公園なんですね。

 

そして観音さまを取り囲むように、所狭しと石像がならんでいます。

石像はゾウやライオンなどの動物が多いですが、

中には何かのキャラクターっぽい像もあったりします。

 

 

遊具はないので子供が遊ぶ類いの公園ではなく、

展望を楽しみながらベンチでのんびりできる公園、と言った感じでしょうか。

まだできて間もないのか真新しくて奇麗です。

 

改めて梅観音さまをみてみましょう。

奇麗な観音さまです。

 

 

 

 

梅観音さまは足から上が13メートル

台座部分も合わせた像高15メートル

 

手には梅の花を持っていらっしゃいます。

と、ここまでは想定内ですが、よくよく観れば、

通常は蓮の花である観音さまの台座も梅の花になっているという…

これは梅にそうとうのコダワリがあるなと感じるわけですが、

それもそのはず。

 

 

観音さまの足元にある碑から、

「梅の産地である紀州で梅一筋に生きてきた地元の名士が、

両親への感謝と、梅産業発展の祈りを込め、この地に建造した」

というようなことが読み取れます。

 

まったくその存在を知らずに遭遇した、

というだけでも奇跡的なことだと思うのですが、

実は奇跡はもうひとつあったのです。

 

初老の男性が公園を歩いていらっしゃったので地元の方だなと思い、

「こちらの観音さまは地元の名士が建てられたんですか?」

とたずねてみたところ、

「私が建てました」

と驚きの返答が!!!

 

な、なんと建立された方と偶然にもお会いしてしまったのです!

スゴくないですか?

ご自宅は離れた所にあるようでしたから、

本当に偶然いらっしゃってたみたいなんです。

 

 

こんなチャンスはまたとない!と思い、お話をうかがいました。

 

私が話かけたこちらの男性は、

公園からも見える梅干製造会社の元社長さんでした。

(冒頭に登場した梅太郎くんは梅干館のキャラクター)

 

社長業を後任にまかせ一段落して、

ご両親との思い出があり、町を一望できるこの場所に

何かつくりたいと思ったのだそうです。

いろいろ考えたすえ、梅一筋で生きてきたのだから、

「梅観音を建てよう!」と思い立ったのです。

 

梅観音さまはお寺にある仏像とは違い

『お祀りしない観音さま』

これはお寺のご住職にも相談し、そのようにしたのだそうです。

 

 

そんなことを30分ぐらいお話していたでしょうか…

まさか大観音を建てた方と直接お話できるとは思っておらず。

梅観音さまとも、梅観音さまを建立した方とも、

偶然も偶然のスゴい出会いでした。

 

長いこと巡っていると、いろんなことがあるものですね。

出会いに感謝!素敵なお話をありがとうございました!

忘れられない出会いとなりました。