山口市最古刹のお寺 龍蔵寺(後編) | 半田カメラ/気になったら とりあえず行ってみるブログ

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フリーカメラマンで大仏写真家の半田カメラが、
「気になったら とりあえず行ってみる」
をモットーに、彷徨いつづける日々の記録です。

 

前回のブログにて、山口県山口市の最古刹と言われる、

龍蔵寺の巨大なモノふたつ、樹齢900年の大銀杏と、

高さ10メートルの大聖青不動明王さまをご紹介しました。

今回はそのつづきです。どうぞ前回より続けてお読みください。

 

後編はこのお寺にある、もうひとつの巨大なもの、

奥の院の磨崖仏(まがいぶつ)についてです。

 

入口の案内図を見た時点で「磨崖仏!これは行かなければ…!」

と思った私ですが、この日は真夏のド真ん中。

折しも30度オーバーが連日つづいていたころです。

どのくらいの山道なのか確認せず山に入るのは自殺行為に等しいのでは?

と思い、お寺の事務所にいらした方に

「奥の院まではどのくらいかかりますか?」

と質問してみました。すると、

「うーーん、片道15分くらいかなぁ」

とのお答えが。

ああ、なんだそれなら行けそうだな、とホッと胸を撫で下ろしたものの、

その後に

「ここ最近は雨も降ってないから、大丈夫だと思いますよ」

などとおっしゃる。

そ、それは雨が降ると崖的なものが崩れて道をふさぐ的なことですか?

す、少なくともここ最近は誰も奥の院に行っていないということですか??

といろいろな疑問が喉まで出かかりました…

 

でもここまで来たんですから、もちろん行くのです

後で聞いたのですが、奥の院まで行く参拝客はとても珍しいらしいです。

 

さて、前回登場した大聖青不動明王さまのすぐ左手に、

鼓の滝という三段の滝があります。

 

 

なんでもこの中段の岩窟に大仏が掘られているというんだけど…

さすがにそれは確認できなかったです。

ちょっと離れたところからマイナスイオン的なものだけ浴びました。

 

この滝の横から、奥の院へと登って行く道がありまして。

少し登ると滝の上に架かる橋に出られて、滝を上から見下ろせます。

 

 

これが滝の上に架かる橋、つづみ橋です。

まぁ、ここぐらいまでは、そんなアトラクション要素もあり、

道もそれなりに道としての体を成していますので、

ぜんぜん問題ないのですが。

やはり先に進むにつれ、道はあるようでないような…

簡単に言えば、ただの登山になっていきます。

 

 

「奥の院 磨崖仏」とか書かれた看板が時折ありまして、

それを辿りながら、ただひたすら山を登って行きます。

とにかく暑くて汗が滴り落ちます。

すぐ横を川が流れていたりして、

その水音が聞こえるのに救われる気持ちがしました。

 

 

最後に飛び石で川を越えると…

 

 

そこが奥の院!

やった!着きました!!

この看板の先が少し開けて、パッと明るくなっています。

 

これは磨崖仏あるあるだと思うんですが、

磨崖仏とは岩壁などに掘られた仏像のことですから、

その場所は仏像が掘れるくらい柔らかい壁面なわけです。

ですから、そこには岩穴があることも多く、

そこに小さな仏像があるのもよく目にする光景です。

あくまで私の経験上です。

 

ここにもありました。

 

 

一見して羅漢像と分かる物もありましたが、

そうでない(風化していてよく分からない)方が多かったかも。

 

そしてこの岩穴の上には、高さは20メートルほどあるでしょうか、

はるかに壁面がそそり立っています。

 

……

 

ん…っと、

どれが磨崖仏…??

 

 

これが超広角レンズで撮った、その場所の全貌です。

とっても分かりにくいですよね…どこが磨崖仏か分かりますか?

 

しばらく探しました。

たぶん、これだと思うんです。

 

 

蔦が這っていて分かりづらいですが、

ものすごく高いところに、うっすらと仏様らしき線が見えます。

ほら、光背っぽい雰囲気しませんか。

心の眼で見てください。

 

これは誰の手によって作られたものなのかは不明だそうです。

伝説では弘法大師によって作られた説、もあるらしいですが、

専門家によれば鎌倉時代頃のものだそうなので、それはないですね、たぶん。

 

風雨にさらされる磨崖仏の宿命ですが、今はわずかな痕跡が残るのみ。

でもこれ、残ってたらかなり美しい仏様だったんじゃないでしょうか。

あんな高いところにどうやって掘ったんでしょう…鎌倉時代に。

 

風化して蔦に覆われた、美しく謎多き磨崖仏でした。

 

さて、またここから山道を降りるわけです。

とっても良いものを観させていただきましたが、

いかんせん暑いです。汗ダクです。

山道を降りて、ぐち聞き地蔵さまにグチ聞いていただきましたよ。

 

 

「なんでこんなに暑いんですかー」って。

涼し気なお顔で聞いてくださいました。

涼しくはならないですけど、ちょっと心が軽くなった気がしました。