開運童子のブログ -7ページ目

雨のあとに虹・Part2 その70

「時間があったら五輪の施設を見て回りたいね。」

ホテルのラウンジに座って俊之は言った。

「このホテルも豪華でゆっくり見るだけでも1日を過ごせそうですね。」

久美子が言うと

「お待たせしました。」

陽子が言うと久美子の横に座った。

「今日はホテルの中で楽しんで明日から施設を見て育子さんの応援をしようよ。」

俊之が言うと

「お待たせしました。」

直子が来て言った。

「あとは立花さんだけですね。」

陽子が言うと

「すでに準備は整っていますよ。」

立花が変装したような服装で言った。

「その服装はどうしたの?」

陽子が言うと

「笹川さんから言われていますからね。」

立花は言った。

「翔ちゃんが何か言ったの?」

俊之が言うと

「笹川さんは皆さんを影から守るから私に側近としての役目を確実に果たして欲しいそうです。」

立花は言った。

「笹川さんらしい言い方ですね。」

久美子が言うと

「少し大げさではありませんか?」

陽子は言った。

「笹川さんが何か危険なものを感じたのかも知れないですよ。」

直子が言うと

「それはどういう事かしら?」

陽子は言った。

「とにかく危険な場所にはいかないように気をつける事にしようよ。」

俊之が言うと

「高村さん。」

育子が近づいて来て言った。

「育子さんはまだ自由時間なのですか?」

久美子が育子を心配して言うと

「今日は特別にコーチから許可が出たから大丈夫よ。」

育子は言った。

「それはよかった。」

立花が言うと

「総武グールーは私のメインスポンサーですからね。」

育子は元気よく言ったのである。

 

「今日は終わりにしますか?」

健春がホテルのロビーで俊之たちを見て言うと

「数日は何も起きそうもないね。」

大輪は言った。大輪も健春も緊張感を持ったままでいると

「今回は李先生をはじめみなさんにはお世話になりました。」

天門がふたりの傍に来て言った。

「ミスター富山良則。」

健春が天門を見て言った。富山良則とは天門の本名であった。

「今回の風水や奇門遁甲の講習ツアーではお世話になりました。」

天門が言うと

「五輪があるのにもう帰られるのですか?」

健春は言った。

「今回は20名ほど日本から連れて来たので予定通りに帰らないそのあとの予定もあります。」

天門が言うと

「ミスター高村俊之はそんなに凄い男なのですか?」

健春は言った。

「高村さんは李先生がお弟子さんのトップだと認めた人ですからね。」

天門が言うと

「ミスター高村にはお会いになれなくていいのですか?」

健春は言った。

「高村さんにはサプライズを楽しんでもらいますよ。」

天門が言うと

「お気をつけてお帰りください。」

健春は言った。

「さようなら。」

天門が言うと

「また会いましょう。」

大輪は今まで黙っていたが天門を見て言った。

「王さんは初めて会話をしてくれましたね。」

天門は嬉しそうに言ったのである。

雨のあとに虹・Part2 その69

「彼が李和平先生がおっしゃっていたミスター高村俊之ですか?」

大輪の横で陳健春は言った。大輪は40歳くらいの年齢で健春は大輪より少し若いようであった。

「間違いないようだね。」

大輪は言った。

「税関でミスター高村に便宜を図るようにようにしたのは李先生の指示ですか?」

健春が言うと

「それは私の独断だよ。」

大輪は言った。

「李先生は強引なやり方は嫌いでしたね?」

健春が言うと

「高村俊之が私の兄弟子にふさわしい男かどうか試してみる事にするよ。」

大輪は言った。

「いつも手厳しいですね。」

健春が言うと

「私は日本人が嫌いだからね。」

大輪は言った。空港はロンドンヒースロー空港からの便とシャルルドゴール空港からの便が同時に到着して混雑はピークに達していたのであった。

 

「身体の具合は如何ですか?」

ひとみが病室に入って言うと

「具合はかなり良くなったよ。」

矢島は言った。

「それは安心しました。」

ひとみは言った。ベッドに横になった矢島は太田道彦の整体を受けていたのである。

「女性の前ですみませんね。」

早苗が言うと

「気にしないでください。」

ひとみは言った。

「施術をすれば効果が出るはずだよ。」

太田が言うと

「病院で整体をして叱られないですか?」

ひとみは心配して言った。

「整体は医療行為ではないから医者は否定するだろうね?」

太田が言うと

「高村さんが整体を受けていると聞きましたよ。」

ひとみは言った。

「その高村からの紹介で太田先生にお願いして来ていただいたわけだよ。」

矢島が言うと

「高村さんには三友商事での同僚の榊原さんへの施術する事を頼まれたのを思い出すね。」

太田は言った。

 

「我々が北京に出張ですか?」

菊池が驚いて机に座ったままで驚いて言うと

「正確に言うと出張ではないですよ。」

桜田は言った。

「北京で何をすればいいのですか?」

菊池が言うと

「小山の大将であるサッカー選手が北京で逮捕層になっても中国当局から無事に日本へ連れ帰るためですよ。」

桜田は言った。

「中国とは犯人引渡し条約がありませんね?」

菊池が言うと

「それだけでなく他の日本人も守らなければいけないですからね。」

桜田は言った。

「五輪の裏で何かあるのですか?」

菊池が言うと

「その何かが起こらなければいいと思っていますよ。」

桜田は言った。

 

雨のあとに虹・Part2 その68

「そんな事が出来るわけないでしょう。」

岸田は桜田に言った。官房長室に岸田と桜田がふたりでいるのは珍しい事ではなかったが通常は岸田に呼び出されるのであるが今日は桜田から出向いて来たのであった。

「そこを官房長のお力で何とかお願いします。」

桜田が言うと

「警視庁の管轄は東京都内だよ。」

岸田は言った。

「止む終えず他道府県の捜査をする場合は基本的には他道府県警に捜査の依頼をかけるか出張に値すると判断された時に限って出向く事が出来るというルールもよく知っています。」

桜田が言うと

「それなら私が言うまでもないね。」

岸田は言った。

「ところが今回は特別な事情があります。」

桜田は意味を含ませて言った。

「どう言う意味かな?」

岸田が言うと

「堀川久美子さんに対する婦女暴行未遂犯の及川友宣が13年前の入江麗子さんの転落死事件のビデオを持っていたのはご存知ですね?」

桜田は言った。

「そんな細かい事まで私は知らないよ。」

岸田が言うと

「転落死の現場にいた斉藤弘子は詐欺罪で捜査二課に逮捕されています。」

桜田は言った。

「複雑な事情だね。」

岸田がとぼけて言うと

「船山えりさんの下着を盗んだ中西正則と総武遊園地人質立て篭もり犯の山口武生は高村俊之さんが捕えていますがいずれも笹川翔太がサポートしています。」

桜田が言った。

「SITの笹川警部補が高村さんをサポートしたと言いたいわけだね?」

岸田が言うと

「そして今は高村さんの友人である矢島正一さんの自動車が何者かに細工をされて矢島さんは全身打撲で手足は骨折して入院中です。」

桜田は言った。

「高村さんの周囲には事件が多いね。」

岸田が言うと

「我々の捜査ではサッカーの三田人仁選手と情報堂の国分源太係長の容疑が強くなりました。」

桜田は言った。

「それでどうして君が北京に行かなければ行けないの?」

岸田は桜田を見て言った。

「彼らが事件を起こしてもマスコミに知られないためですよ。」

桜田は言った。

「どういう事かね?」

岸田は言った。

「サッカーの三田選手は官房長が離婚なさった奥様との間に生まれたご子息さんですね。」

桜田が言うと

「私を脅迫するのかね?」

岸田は言った。

「彼らが中国当局に逮捕されればこれは日本警察の不祥事になりますよ。」

桜田は勝ち誇ったように言った。

 

北京首都国際空港の到着ロビーは各国の選手団や五輪関係者に加えてマスコミ報道陣や旅行客などで創造を絶する混雑であった。俊之たちを乗せた日本広域空輸のジャンボ旅客機は定刻より15分ほど遅れて滑走路に進入して着陸をしていた。世界中が注目する平和の祭典は俊之たちの運命も巻き込もうしていたのであった。育子はゆき乃とふたりで到着ロビーに立って俊之たちを待っていたのであった。

「税関が込んでいるから高村さんたちはすぐに出て来られないかも知れないね。」

ゆき乃が言うと人混みの中から歩いて来る俊之たちを見つけて

「もう出て来たよ。」

育子は言った。

「税関を通ったにしては早かったね。」

ゆき乃は俊之を見て言った。

「高村さん。」

育子は大きな声で言うと右手を上げた。

「育子さん。」

俊之が言うと横を歩いていた久美子が育子を見た。陽子と立花に直子も歩きながら育子を見つけて微笑んでいたのである。

「到着ロビーは凄い混雑ですね。」

久美子が言うと

「高村さんたちが迷わないように迎えに来てよかったよ。」

育子は言った。

「税関を通るのが早かったですね。」

ゆき乃が言うと

「それがフリーパスだったのよ。」

陽子は不思議そうにゆき乃に言った。

「高村さんが何か仕掛けておいたの?」

育子が言うと

「僕はそんなに権力を持っていないよ。」

俊之は言った。

「総武も中国には進出していないからコネクションがありませんよ。」

立花が言うと

「笹川さんが何かしてくれたのかと思いましたよ。」

久美子は言った。

「先ほどまで一緒だった泰子さんは何も言っていなかったよ。」

俊之が言うと

「不思議な事もあるものですね。」

陽子は言った。

「とりあえずホテルにチェックインしませんか?」

直子が言うと

「荷物を置いて落着こうよ。」

俊之は言った。世界中各国から様々な人たちが到着している空港の片隅で王大輪は俊之をじっと見ていたのであった。