雨のあとに虹・Part2 その76
「私たちはこれからどうなるのでしょうね?」
立花は言った。俊之たちは男たちに目隠しをされて自動車で10分ほど移動した建物の一室に閉じ込めていたのである。
「彼らの目的は僕たちの生命ではないのは解かったよ。」
俊之は言った。
「乱暴な扱いはされなかったですね。」
直子が言うと
「あの男は英語レベルが高いですね。」
陽子は言った。
「私たちがこんな事になって育子さんたちに迷惑をかけなければいいですね。」
久美子が言うと
「立花さんは専務でありながら軽率でしたね。」
陽子は立花を見て言った。
「すでに起こったことは仕方がないからこれからもの事を考えよう。」
俊之は冷静に言った。
「これからの事と言ってもどうすればいいのですか?」
立花が言うと
「ここを出たいけれど出られるかい?」
俊之は静かに言った。
「それは無理ですよ。」
立花が言うと部屋のドアが開いて翔太と関口と泰子の3人が入って来たのである。
「笹川さん。」
久美子が言うと
「お待たせしました。」
翔太は微笑んでから言った。
「今頃来ても遅いわよ。」
陽子が言うと
「翔ちゃんをせめてはかわいそうだよ。」
俊之は言った。
「日本と違って潜入するのに苦労しましたからね。」
翔太が言うと
「これはどういう事ですか?」
立花は言った。
「どうして私たちが狙われたの?」
直子が言うと
「これは情報堂の国分とサッカー選手の三田が仕組んだものです。」
翔太は言った。
「川嶋さんと育子さんに絡んだ事だね。」
俊之が言うと
「国分は川嶋さんに付きまとっていたのを矢島さんにたしなめられています。」
翔太は言った。
「それは矢島から聞いたよ。」
俊之が言うと
「三田は久美子さん付きまとっていたのを育子さんに合気道で退治されています。」
翔太は言った。
「悪いのは三田さんですよ。」
久美子は言った。
「国分と三田は最近になって知り合い交流を深めています。」
翔太が言うと
「矢島の自動車に細工をしたのは彼らの可能性が高いわけだね?」
俊之は言った。
「細工をしたのは三田で間違いありません。」
翔太が言うと
「お互い交換して犯行に及びましたね。」
立花は言った。
「そうです。」
翔太が言うと
「次は育子さんの番だね。」
俊之は言った。
「それはすでに始まっています。」
翔太は視線を移して言った。
「それはどういう事ですか?」
久美子が言うと
「三田は中国マフィアの青い龍と通じています。」
翔太は言った。
「僕たちを捕まえたのはその青い龍の可能性が高いわけだね?」
俊之が言うと
「高村さんたちを人質にとって育子さんに卓球の試合にわざと負けるように要求するようです。」
翔太は言った。
「ずるいやり方ですね。」
直子が言うと
「私も許せないです。」
久美子は言った。
「それだけでなく青い流はもっと凄い事を考えています。」
翔太は冷静に言った。
「翔ちゃんは青い龍の目的を知っているね?」
俊之が言うと
「高村さんを人質にとって日本政府と中国政府に身代金を要求する計画です。」
翔太は言った。
「僕たちが脱出に失敗したことで8人が人質になったわけだね?」
俊之が言うと
「ひとりが1億で合計8億を要求するはずです。」
翔太は言った。
雨のあとに虹・Part2 その75
「京野育子はとうとうベスト4に勝ち上がりましたよ。」
三田は悔しそうに言ってから国分を見た。
「慌てるなよ。」
国分は言った。
「僕は国分さんに恥を書かせた矢島に仕返しをしましたらね。」
三田が言うとその声は喜びんでいる日本人観客の声に消されそうであった。
「今度は君に恥を書かせた京野育子に仕返しだな。」
国分は言った。
「お願いしますよ。」
三田は哀願するように言った。
「俺に任せておけよ。」
国分は三田を見て言った。
「私もベスト4に残れたよ。」
育子が喜びながら俊之の来て言うと
「僕も自分の事のように嬉しいよ。」
俊之は育子に言った。
「あとふたつですよ。」
立花が言うと
「育子さんにプレッシャーをかけてはダメですよ。」
陽子は立花を見て言った。
「私はあとふたつ勝つつもりでいますよ。」
育子が言うと
「私も応援していますからがんばってください。」
久美子は言った。
「卓球はテレビ画面で見るのと違って凄い迫力ですね。」
直子も笑顔で言うと
「このレベルまで来た選手の実力は僅差ですよ。」
育子は自分自身に言い聞かせるように言った。
「結果はあくまで結果で問題は日頃の努力だよ。」
俊之が言うと
「高村社長は相変わらず冷静ですね。」
立花は言った。
「明日と明後日は今日以上に強い相手との試合だから精神統一しますよ。」
育子が言うと
「頑張ってください。」
陽子は言った。
「これ以上施設から離れるのはよくないよ。」
俊之が少し離れた場所にいた立花に言うと
「心配しなくても大丈夫ですよ。」
立花は少し浮かれ気分で言った。
「戻った方がいいと思うわ。」
陽子が言うと
「私も戻った方がいいと思います。」
久美子は言った。
「この先は街灯もないから戻りましょうよ。」
直子が言うと
「立花さん」
俊之は立花の周辺に短時間意で数人の人が近づく気配を感じて言った。
「何ですか?」
立花が言うと
「すぐにこちらへ戻って来なさい。」
俊之は厳しい口調で立花に言った。
「解かりました。」
立花は言った。俊之の傍に歩こうとして歩き出した立花に
「手を上げろ。」
暗闇の中から中国人の男が現れて言うと立花の背中にピストルを突きつけていたのであった。
「立花さん。」
陽子が言うと
「皆さんも動かないでください。」
男は中国語ではなく英語で言った。
「僕たちをどうしょうと言うのですか?」
俊之も英語で言うと
「おとなしくしていれば生命は保証します。」
男は言った。
「この人たちに抵抗はしない方がいいよ。」
俊之が言うと
「はい。」
久美子は震える声で言った。
「この人たちは誰ですか?」
直子も震える声で陽子に言うと
「私にも解らないわ。」
陽子は言った。
「私の生命を狙っても君たちには何の利益もないぞ。」
立花は男に言ったのである。
雨のあとに虹・Part2 その74
「試合終了。」
審判は笛を吹くと大きな声で言った。
「これで準決勝にいけるわ。」
ゆき乃は小さく言った。
「よくがんばったな。」
朽方が言うと
「私にプレッシャーをかけないでよ。」
育子は言った。
「私にはそんな余裕はないわよ。」
ゆき乃が言うと
「私もゆき乃に続かないとね。」
育子は気を引き締めてから言った。
「ゆき乃さんは強かったね。」
観客席で久美子が言うと
「ゆき乃さんともスポンサー契約を結びましょうか?」
立花は嬉しそうに言った。
「立花さんはすぐにビジネスに結びつけるのね。」
陽子が言うと
「これでも私たちは仕事で来ていますからね。」
立花は言った。
「今日の立花さんは頼もしいね。」
俊之が言うと
「次は育子さんの試合が始まりますよ。」
直子は冷静に言った。
「みんなで応援をしよう。」
俊之は言った。
「北京は楽しいかい?」
岸田は電話の向こうにいる桜田に言った。
「私にそんな余裕はありませんよ。」
桜田が言うと
「ずいぶんにぎやかそうだね。」
岸田は桜田に言った。
「日本女子選手が卓球で準決勝進出を決めましたからね。」
桜田は言った。
「卓球の女子は強いみたいだね。」
岸田は惚けた口調で言った。
「最近は女子の活躍が目立ちますよ。」
桜田が言うと
「お土産を待っているからね。」
岸田は微笑んでから言った。
「試合終了。」
笛を吹いて言った。
「次が苦戦するかもしれない。」
育子は冷静になって呟いた。
「育子も勝ったね。」
ゆき乃が喜んで言うと
「このままだと本当にお前たちが決勝戦で戦うかもしれないぞ。」
朽方は喜んで言った。
「そうなればいいですけどね。」
育子は冷静に言った。
「私も次は強敵に当たるからどうなるか解らないわ。」
ゆき乃は育子と視線を合わせて言った。
「ここまで来たら冷静に実力を出し切れよ。」
朽方は育子とゆき乃に言ったのである。
「育子さんも準決勝進出ですよ。」
久美子が観客席で自分の事のように喜んで言うと
「僕はユニホームに書いてある総武の文字が目に焼きついていますよ。」
立花は言った。
「立花さんは育子さんの勝利を素直に喜べないの?」
陽子が起こった口調で言うと
「立花さんは専務取締役管理本部長としての役目を果たしているだけだよ。」
俊之は微笑んで言った。
「育子さんはあとふたつ勝てば金メダルですよ。」
直子も驚いて言った。
「結果がどうであっても総武は今後も育子さんを全面的にバックアップする体制でいてください。」
俊之が言うと
「もちろんゆき乃さんも視野に入れていますよ。」
立花は言った。