開運童子のブログ -51ページ目

雨のあとに虹 その199

「以上で終わりです。」

翔太が言ってビデオのスイッチを切った。少しの時間は誰も口を開くものはいなかった。静寂のあとに口を開いたのは正樹だった。

「麗子さんは斉藤弘子と言い合いにあってお互いに感情的になっていた。」

正樹が言うと

「斉藤弘子が麗子さんを突き飛ばした形になって麗子さんは階段から落ちた。」

矢島は言った。

「不慮の事故ですね。」

育子は冷静に言った。

「問題は斉藤弘子に殺意があったかどうかですね。」

翔太が言うと

「おそらくないと見るのが妥当だろうな?」

矢島は言った。

「麗子さんは悔しかったでしょうね?」

春香は自分の事のように言ったが俊之も久美子も無言であった。

「私は今までずっとつまらない誤解をしていたわけね。」

ひとみがと言うと

「もう済んだ事ですよ。」

俊之は言った。

「もう済んだ事なのね。」

春香が言うと

「やっと心の底からそう言える時が来た。」

俊之が小さく呟いた。

「私はよく解らないけどどうして斉藤弘子という女性は警察に捕まらないのですか?」

久美子は言った。

「それはいろいろな背景がありましてね。」

翔太が言うと

「麗子さんも騙されていたようでしたね」

久美子は言った。

「いつかの直子さんもそうでしたね。」

育子が言うと

「詐欺罪は親告罪なので警察に被害届けを出さないとだめです。」

翔太は言った。

「被害届けを出さないの?」

久美子が言うと

「ほとんどの人は恥ずかしいとかみっともないと言う理由で警察に届けないケースがほとんどです。」

翔太は言った。

「そんな悪い人を許しておいてはダメよ」

正義感の強い育子が言った。

「きちんと罪の償いをさせなければいけないですよね?」

久美子が言うと

「斉藤弘子は広域暴力団の裏道会とつながっています。」

翔太が言った。

「江紫組より厄介だぞ。」

矢島は言が言うと

「詐欺で稼いだお金が裏道会に流れている可能性もあります。」

翔太は言った。

「厄介だな。」

矢島が言うと

「もっと厄介なのがあります。」

翔太がそこまで言って言葉を止めると

「構わないから続けてください。」

俊之は言った。

「ビデオを撮った及川友宣は裁判中で拘置所の中です。」

翔太が言うと

「何か問題があるのですか?」

ひとみが言った。

「及川が中学の時にバイト先のオーナーである純一さんが及川からビデオを譲り受けて斉藤弘子を脅迫して金銭を受取っています。」

翔太が言うと

「純一って事は高村の義弟だな。」

矢島は言った。

「そうだよ。」

俊之が言うと

「困ったわね。」

春香は言った。

「彼らとはとっくに縁が切れています。」

俊之が言うと

「純一はとんでもないバカだぞ。」

矢島は言った。

「純一くんと静江は別れるそうだから僕に遠慮は要らないよ。」

俊之が言うと

「構いませんか?」

翔太は心配そうな顔で言うと

「何より総武に迷惑はかけられないからね。」

俊之は言った。

「高村さんが何かをしたわけではないだろう。」

正樹が言うと

「それは当たり前よ。」

春香は言った。

「それなら迷惑だなんて考えてはいけない。」

正樹が優しく言った。

「高村さんには関係のない事だと思うわ。」

春香が言うと

「高村さんに関係のないように処理をすれば良いと思いますよ。

ひとみが何かをひらめいたように言った。

「もちろん早めに手は打ってありますよ。」

翔太は言った。

「さすが笹川さんね。」

春香が言うと

「久美子さんがカナダへ行かないうちにすべてを解決させますよ。」

翔太が意味ありげにいうと俊之を除く全員が目を合わせていた。俊之だけが何かを考えているようでそれに気がつかなかったのである。

雨のあとに虹 その198

「身体の調子どうだね?」

太田が俊之に言った。

「施術をしてもらうと軽いですね。」

俊之は言った。

「それはよかった。」

太田が言うと

「身体は歪むものなのですね。」

俊之は言った。

「身体は動かしているとどうしても歪んでくるから定期的に修正をしないといけない。」

太田は言が言うと

「定期的検診のようなものですね。」

俊之は言った。

「心の歪みだって取れると良いけどね。」

太田が言と

「僕も自分自身に決着をつけないといけない時期に来ているのは解っています。」

俊之は言った。

「まだ決心が出来ないのかね?」

太田が言うと

「心の何処かで何かが引っかかるようです。」

俊之にしては珍しく歯切れが悪く言った。

「慌てる事はないさ。」

太田が言うと

「そうは言っても時間がなくなってきています。」

俊之は言った。

「あせるのが一番いけないから自然にしていなさい。」

太田が言うと

「もう少し考えてみます。」

俊之は言った。

「整体は心までは治せないからね。」

太田は優しく言った。

「久美子は今日のテストの出来はどうだった?」

純子がキャンパスを歩きながら久美子に言うと

「何とか出来たよ。」

久美子も歩きながら言った。

「さすが久美子は優秀だね。」

純子が言うと

「最後の問題は自信がなかったけどね。」

久美子は言った。

「久美子は最後以外の問題は全部解ったの?」

純子が驚いて言うと

「とりあえず解ったよ。」

久美子は言った。

「私は半分しか自信がないよ。」

純子が言うと

「あくまで自分が解ったと思っているだけだからね。」

久美子は言った。

「落着いて自分を分析しているね。」

純子が言うと

「実際にはもっと出来が悪いかもしれないよ。」

久美子は冷静に言った。久美子は純子と話をしながら駅まで来て改札に行こうした時である。久美子の前に止まっていた社用車のドアが開いて運転手の田中が久美子に深々と頭を下げた。久美子は時計を見た。約束の時間にはまだ20分ほど余裕があった。

「お待ちしておりました。」

田中が言うと

「まだ時間に余裕があるようですけど良いのですか?」

久美子は言った。

「石倉さんや京野さんもこのあとにお迎えに行きますので大丈夫ですよ。」

田中はあくまで丁寧な言葉遣いで言った。

「私はここでね。」

純子が言うと

「また明日ね」

久美子は言った。

 総武企画の本社にある会議室に俊之と久美子をはじめひとみに育子に矢島と翔太が揃っていた。春香と正樹は少し送れて入って来て主要な人物がすべて顔を揃えたのである。

「それでは早速ビデオを見みましょう。」

春香が言うと翔太がビデオのスイッチを入れた。

「それでは今日はこれで帰りますね。」

多恵子は榊原に言った。榊原はベッドに横になって

「うん。」

と言っただけで黙っていた。

「何か気になる事でもあるのですか?」

多恵子は言った。

「今も高村は元気に活躍しているだろなと思ってね。」

榊原は静かに言った。

「高村さんは人気がありますからどこに行っても誰とでも仲良くなれますね。」

多恵子は言った。

「高村は俺とは違うな。」

榊原がいうと

「だから元気に仕事をしているのだと思いますよ。」

多恵子は言った。

「そうだろうな。」

榊原は遠くを見るような目で言った。

雨のあとに虹 その197

「この野郎!」

4人の男たちのひとりが言って関口たちに向かって来たのであるが人数の差は大きく喧嘩の腕も関口たちの方が上だったのである。関口たち10人はすぐに4人の男を組み伏せていた。

「ここで気絶している2人も一緒に介抱してあげてよ。」

俊之はまじめな顔で言った。

「こいつらは大丈夫ですよ。」

関口は言った。

「怪我は大丈夫かな?」

俊之が言うと

「この4人には怪我がありません。」

関口は言った。

「それはよかった。」

俊之が言うと

「高村さんが倒したふたりは気絶していますよ。」

関口は驚いて言った。

「腹部に激痛が走ったはずだからね。」

俊之が言うと

「高村さんは強いですね。」

関口はまだ気絶しているふたりを見て言った。

「久美子さんは予定通りに行動すればいいよ。」

矢島は歩きながら言った。矢島が久美子を部屋まで送って行く途中であった。

「もう後戻りは出来ないですよね。」

久美子が決心したように言った。

「久美子さんも辛いだろうが高村も解ってくれるはずだよ。」

矢島は冷静に言った。

「そうですよね。」

久美子が言うと

「高村はひ弱に見て強い男だよ。」

矢島は言った。

「育子さんや笹川さんのやる事に間違いがないですよね。」

久美子が元気を取り戻したように言った。話をして歩くふたりの前にふたりの男が立ちふさがっていた。

「俺たちに何の用だ。」

矢島は自分の巨体の後ろに久美子を隠すようして言った。

「俺たち金に困っていてね。」

男が言うと

「それは気の毒だな。」

矢島は言った。

「金を出してくれよ。」

違う男が言うと

「お前らに払う金はないな。」

矢島も落着いて顔で言った。

「矢島さん気つけてください。」

久美子が言うと

「大丈夫だよ。」

矢島は言った。

「お姉ちゃんにはあとで付き合ってもらうからな。」

最初の男がナイフを出して言った。

「いつでも相手になるぞ。」

矢島は仁王立ちで言った。

「この野郎!」

ナイフを持った男が言うと矢島に殴りかかろうとしていた。

「このバカ野郎。」

矢島は言って軽く避けた瞬間に男の右腕を掴んで投げ飛ばすと同時に右腕の間接を外していた。大きな音がして男が地面叩きつけられると

「痛てえ!」

と男は悲鳴に近い声を出していた。

「男の癖に若い女の子の前でみっともない声を出すなよ。」

矢島が言うともうひとりの男が

「次は俺が相手だ。」

と言って身構えていた。

「お前は左腕の間接をはずしてやるぞ。」

矢島が言うともうひとりの男の戦意が喪失したように男が後ずさりしていた。

「痛い。」

間接を外された最初の男はまだ悲鳴をあげて地面に蹲っていた。

「しょうがない奴らだな。」

矢島は言うと最初の男に近づいて行った。

「何をする。」

男が言うと

「強がりを言うな。」

矢島は言うと男の右腕を取って間接を元に戻した。

「痛い。」

男が言うと

「治してやったぞ。」

矢島は言うと男を大きく投げ飛ばしていた。

「矢島さん。」

久美子がびっくりして言うと矢島と男を交互に見ていた。

「あいつらをもう少し痛めつけておけば良かったかな?」

矢島は何事も無かったように言った。