雨のあとに虹・Part2 その4
「俺たちは付き合って2年経つけどずっと遠距離だっただよね。」
敏弘が言うと
「出会ってから2年たつのね。」
深澤久美子は言った。
「俺は久美子の事をよく理解しているし久美子も俺の事をよく理解してくれていると思う。」
敏弘が言うと
「そうよね。」
深澤久美子は言った。
「そろそろ結婚して同じ人生を一緒に歩いてもいいと思うようになったよ。」
敏弘は言った。言葉は深澤久美子の頭に木霊のように響いていた。そしていつまにか深澤久美子の瞳には涙があふれていたのである。
「急にそんな大事な事を急に言うから言葉が出なくなったわ。」
深澤久美子は言うとあふれる涙で敏弘が見えなくなっていた。
「プロポーズは突然に言うものだよ。」
敏弘は言った。
「それらしい素振りも見せないで言うとは思っていなかった。」
深澤久美子が言うと
「予告はしないそ。」
敏弘が言った言葉を聞いて深澤久美子の瞳はさらに多くの涙があふれ出していた。
「久美ちゃん。」
俊之が言うと久美子はその方に顔を向けていた。いつもの見慣れた俊之が久美子の視界に入っていた。俊之の横には陽子も立っていた。
「俊さん。」
久美子は言って陽子に会釈をした。
「お疲れ様です。」
陽子も会釈をして言うと
「今日はとても暑いね。」
久美子は言った。
「暑くてもイベントが盛り上がっているみたいだね。」
俊之は言った。
「高村社長。」
立花が言うと走って来た。
「お疲れ様。」
俊之が言うと
「午前中は予定通りにイベントが進行していまして午後は久美子さんには2回ほどふれあいイベントへご参加いただくセレモニーがあります。」
立花は俊之に言った。総武遊園地の事務所は総武本社の事務所と違って狭いが周囲の入場客を間近に見られて楽しい気分にさせていた。俊之は立花の報告を聞きながらも周囲を見ていたのであった。
「あのジョットコースターは人気があるせいかお客さんの列が長いね。」
俊之が言うと
「行列が長いですね。」
立花もジェットコースターを見て言った。
「整理券を配るなど何か方法を講じてお客さんへの不便を軽減できないだろうか?」
俊之が言うと
「すぐに責任者に指示を出します。」
立花は言った。
「少し遅い昼食になったね。」
敏弘に言われても深澤久美子は空腹感を感じていなかった。深澤久美子は予定外の敏弘からプロポーズに喜んでいたが戸惑いもあったのである。プロポーズはドラマでも小説でも1日の終わりの別れ際と決まっていた。それが敏弘は午前中のお昼に近い時間であるに関わらずプロポーズをしたのである。深澤久美子は心の準備が出来ていない理由もあって自分の感情をコントロールできない状態であった。
「私は軽く珈琲を飲みたいわ。」
深澤久美子は言った。
「どこか珈琲スタンドでも捜して来るよ。」
敏弘は言って歩きかけていて深澤久美子も敏弘を追って歩こうとした瞬間であった。
「動くなよ。」
若い男が深澤久美子の腕を取りナイフを首に突きつけたのであった。
「これで良いですか?」
総武遊園地の事務所で立花は言った。
「僕はこれでいいよ。」
俊之は言った。
「何か寿司などを取り寄せることも出来ますよ。」
立場が言うと
「僕は焼きそばとサイダーでいいよ。」
俊之は言った。
「私も俊さんと同じものをお願いします。」
久美子は言った。
「何でも好きなものが取り寄せ出来きますよ。」
立花は久美子にも言ったが
「私も焼きそばとサイダーでいいですよ。」
久美子は言った。
「川嶋さんはどうしますか?」
立花が言うと
「焼きそばと珈琲でお願いします。」
陽子は言った。
「すぐに持って来させましょう。」
立花は言うと傍にいた従業員に合図をした。
「僕がお客さんと同じものを食べてみないとお客さんに良いサービスを提供するアイディアは浮かばないと思ってね。」
俊之は諭すように立花に言った。
「そうでしたか?」
立花は言った。
「焼きそばはとてもおいしそうでしたよ。」
久美子が言うと
「社の社長は良い物を召上っても良いともいましてね。」
立花は言った。
「僕は総武グループ内で提供している食べ物の味も解らないでトップは勤まらないと思っているよ。」
俊之は言った。
「おっしゃる事は理解しました。」
立花が言うと
「細かい事は子会社の社長や各担当に任せるのだからせめてここに来た時くらいはお客さんの立場で物事を見てみたくてね。」
俊之は言った。陽子は俊之の横で頷いていたが久美子は俊之が他の社長は無い何かを持っている事に今になって気づいたのであった。大手企業の社長はそのあたり前の事が出来ない人が多い感じていたのであった。
「社長も久美子さんもあそこの椅子に座って落着きませんか?」
陽子は優しく言った。
「久美ちゃんも一緒に座ろうよ。」
俊之が言うと
「これをセレモニーに使うのかしら?」
久美子は部屋の隅に置いてあるクラッカーを見て言った。
雨のあとに虹・Part2 その3
「今日は道が空いているので時間より早く着けるかもしません。」
運転手の田中進は言った。
「それなら総武遊園地の近くまで来たら教えてください。」
俊之がは言った。
「かしこまりました。」
50歳を少し過ぎた田中は言った。その時俊之の携帯が鳴りメールを着信していた。
「育子さんからだよ。」
俊之は言うとすぐにメールをゆっくりと見た。
「育子さんは何だといっていますか?」
陽子が俊之に言った。
「高村さんは元気に社長業に励んでいると思いますが私は合宿で毎日卓球にどっぷり浸かっています。」
と書かれている京野育子のメールを陽子に見せて
「僕は毎日社長業に励んでいますが周囲の人が助けてくれるので助かっています。」
俊之はメールを送信した。
「育子さんは練習で大変ですね。」
陽子は言った。
「北京へ行く前に時間を作って会いに行きますので久美ちゃんともゆっくり会いましょう。」
すぐに育子から返信があった。
「僕もゆっくり育子さんに会いたいと思っていました。」
俊之が送信すると
「霊感はしっかり働くのですが馬券を買う余裕がないのが残念です。」
育子から返信が来た。
「育子さんらしいね。」
俊之が言ってメールを陽子に見せた。
「さすが育子さんね。」
陽子が言った。
「川嶋さんも僕と同じ印象を持ったみたいだね。」
俊之が言うと
「リラックスして実力通りの試合をすればメダルも夢じゃないですね。」
陽子にしては珍しく分析以上の評価をして言った。
「育子さんにもすっかりお世話になったから北京に応援に行きたいね。」
俊之が言うと社用車は総武遊園地の近くに来ていたのだった。
「川嶋さんから道が空いているのでこちらへ早く着くと連絡がありました。」
立花は言った。
「それはよかった。」
久美子が言うと
「お昼は社長が来られてからにしますか?」
立花は言った。
「俊さんが来たら一緒に食べようと思います。」
久美子は外にあるメリーゴーランドを見て言った。これで写真を撮り終えて午前中の仕事は終わりであった。午後には2回ほどキャンペーンガールとしてセレモニーに出席したあとは俊之と一緒に新社長就任記念で久美子と同じ名前の深澤久美子へ記念品をプレゼントするのである。
「高村社長も就任されたばかりでお疲れだと思います。」
立場は言った。
「今年の夏は暑くなるそうですから余計に心配ですよ。」
久美子が言うと
「久美子さんも無理して健康を害さないように注意してあげてください。」
立花は言った。
「ありがとうございます。」
久美子が言うと
「健康があってのこその仕事ですよ。」
立花は言った。
「私も気をつけます。」
久美子が言うと
「時々休憩も必要ですよ。」
立花は言った。
「立花さんもお疲れではないですか?」
久美子は立花を気遣かって言った。
「私は大丈夫ですよ。」
立花が言うと
「無理をしてはだめですよ。」
久美子は言った。
「私もいきなり専務になったので慣れない事が多くて大変ですよ。」
立花は言った。立花は元気あにょうであるが少し疲れがあるように久美子は感じていた。立花は元来のハキハキした口調と体育会系の人に多い姿勢を正しての行動に元気よく活発的な印象を受けるのであるが内面は違うようであった。
雨のあとに虹・Part2 その2
「今日は良い事があってよかった。」
深澤久美子は恋人の竹内敏弘に言った。
「そうだね。」
敏弘は言った。
「私の同じ名前の久美子さんにお礼をしなくてはいけないね。」
深澤久美子が言うと
「新社長就任記念でキャンペーンガールと同じ名前の人から1組だけ1日無料パスが貰える確立は低いよ。」
敏弘は言った。
「朝早い新幹線しか席が取れなかったけどそれがラッキーだったわ。」
深澤久美子が嬉しそうに言った。
「朝早くからから新幹線で疲れただろけどそれだ良い思い出になりそうだね。」
敏弘は深澤久美子を見て優しく言った。
「うん。」
深澤久美子は短言うと
「やっぱり観覧車には乗りたいね。」
敏弘は言いながら深澤久美子の腕引いて観覧車の方へ歩いて行った。
「時間になりました。」
陽子が言うと
「それでは出発だね。」
俊之は言って席を立った。俊之は紺のスーツに身を包んで歩く姿にはオーラが出ていた。俊之の横を歩く陽子はそれを一番感じていた。社員は社長としての俊之を見ると緊張を隠せないが俊之を身近に感じる陽子たちには緊張がなかった。
「社長は久美子さんとしっかりしてください。」
恵子が廊下を歩く俊之を見て言った。
「僕はいつでもしっかりしているよ。」
俊之が言うと
「今頃は立花さんに久美子さんを取られているかも知れないですよ?」
恵子はと冗談を言った。
「薬師寺さんは冗談がきついね。」
俊之が言うと陽子も恵子も微笑んいた。
「お待たせしました。」
陽子が言うと
「どうぞ。」
運転手の田中進は言ってドアを社用車のドアを開けた。
「よろしくお願いします。」
陽子が言うと
「安全運転で行こうよ。」
俊之は言った。
「それでは出発します。」
田中が言うと俊之と陽子を乗せた社用車を静かにスタートさせていた。
「久美子さんは時間になったら写真を撮りますのでそれまで待っていてください。」
立花が言うと
「お客さんたちと記念写真という認識でいいのでしょうか?」
久美子が確認して言った。
「それでかまいません。」
立花は言った。
「解りました。」
久美子が言うと
「お客さんの中からランダムに選びますから記念になるように一緒に写真におさまってください。」
立花は言って周囲を見てから遊園地の社員が次の段取りを整えるのを待っていた。久美子はスカートにワイシャツで髪を束ねている姿が見方によってはモデルのにも見えるが庶民的な親しさも持っていた。
「私のいつでも準備は出来ています。」
久美子は立花に言った。
「あと1年したら結婚しないか?」
敏弘が言った言葉は深澤久美子の耳を通過していた。
「えっ?」
深澤久美子は言っただけで言葉が出てこなかった。敏弘に何を言われたかすぐには理解できなかったからであった。
「あと1年したら結婚しないか?」
敏弘はもう一度言った。
「私たちが結婚するの?」
深澤久美子が言うと
「東京と大阪の遠距離恋愛は大変だろう?」
敏弘は言った。
「敏弘さんだって大変でしょ?」
深澤久美子が言うと
「俺は大丈夫だけど久美子は無理をしているようだね?」
敏弘が言った言葉が狭い観覧車の中に響いていた。
「あと1年たったら結婚出来るのね?」
深澤久美子が言うと
「そうだよ。」
敏弘は言った。
「とても嬉しい。」
深澤久美子が言うと
「1年経ったら会社を辞めて東京に来いよ。」
敏弘はよく聞こえるようにはっきりとした声で言った。