雨のあとに虹・Part2 その20
「いらっしゃいませ。」
ひとみが言うと
「お客様ご注文は何になさいますか?」
小百合が言った。
「お客様はこちらにどうぞ。」
久美子が言って珈琲を出しすとお客は珈琲を受取って空いている席に座るのであった。3人の呼吸が合わないと動きがバラバラになるから大変である。
「お誕生日会の企画は楽しそうね。」
ひとみが久美子の後ろを通る時に言った。
「笹川さんのアイディアですよ。」
久美子は言った。
「さすがは笹川さんね。」
ひとみが言うと
「笹川さんはアイディアが豊富ですね。」
久美子が笑顔で言った。
「菊池くん。」
桜田が珈琲を飲みながら言うと
「何でしょうか?」
菊池が桜田を見て言った。
「菊池くんは中西正則と言う下着泥棒が捕まった事件を覚えていますか?」
桜田が言うと
「去年の年末に捕えた事件ですね。」
菊池が言った。
「では田所健二が捕まった事件はどうですか?」
桜田が言うと
「あれは最悪な通り魔事件でしたからね。」
菊池は言って言葉を呑んだ。
「その最悪などちらの事件も高村俊之さんが犯人を捕まえていますよ。」
桜田が言うと
「田所の件はそうですが中西の事件は町内会長の手塚昌弘さんが捕まえていますよ。」
菊池は言った。
「それがそうでもないらしいですね。」
桜田が言うと
「高村さんが絡んでいると言う事ですか?」
菊池は言った。
「中西の事件は町内パトロール隊のメンバーが捕まえているが高村さんもメンバーの一員ですよ。」
桜田が言うと
「後日に被害者の船山えりさんが証言していたのはその事でしたか?」
菊池は言った。
「中西は手塚さんに木刀で打たれたあとに高村さんから腹部に拳を当てられて大きな激痛が走ったと言っています。」
桜田が言うと
「それが高村さんの闘真拳だったと言う事ですね。」
菊池が言った。
「そう考えるのが自然だと思いますよ。」
桜田は微笑みながら言った。
「ここで止めてください。」
俊之が言うと
「はい。」
田中が言って社用車が静かに止まった。
「今日はこれで帰るからね。」
俊之が言うと
「お疲れ様でした。」
田中が言った。俊之が降りると社用車は静かに走り去って行った。俊之は駅に近い大通りを駅に向かって歩いて行った。人ごみの中を歩く俊之は動きがとても機敏であった。駅前の交差点で前の信号が赤になると俊之は立ち止まって信号が青になるのを待ち周囲を確認して携帯電話取り出したのであった。
「高村くん!」
女性の声がして俊之はその方角に目を向けると同年代の女性が微笑みながら俊之の前に立っていたのである。
「根本さん。」
俊之はすぐに女性の名前を言うと
「覚えていてくれたのね?」
女性は嬉しそうに言った。
「根本佐代子さんを忘れるわけないよ。」
俊之が言うと
「嬉しい事を言うわね。」
根本佐代子は俊之に言った。
「高村くんとは久しぶりね。」
佐代子が言うと
「あれから20年経ったね。」
俊之は言った。
「高村くんはあの頃と変わらないね。」
佐代子が言うと
「僕にもあれからいろいろあったよ。」
俊之は言った。
雨のあとに虹・Part2 その19
「遅れてごめんなさい。」
席に着いた塚原泰子が言うと
「気にしないでいいよ。」
湧本満は言った。
「待ちましたか?」
泰子が言うと
「僕も来たばっかりだよ。」
湧本は言った。都心のおしゃれな待ちの一角にある喫茶店はただ座っているだけで自分が別人になったような感覚をもつ力があったのだ。
「おしゃれなお店ですね。」
泰子が言うと
「僕も最初に来た時はそう思ったよ。」
涌本は言った。
「涌本さんのようなお金持ちの人はこういうお店に来るのが当たり前ですよね?」
泰子が湧本の目を見て言った。
「僕はここのドリンク代ならばわずか数秒で稼いでしまうよ。」
涌本が言うと
「凄いですね。」
泰子は言った。
「それほどでもないでよ。」
湧本が言うと
「さすがファンドマネージャーですね。」
泰子が言った。
「君だって大手の都市銀行に勤めているのだから凄いよ。」
涌本は微笑んで言った。」
「私が凄いのではなくて組織の財務体質が言いだけですよ。」
泰子が言うと
「銀行に就職出来ただけでも凄いよ。」
湧本が言うと
「決裁権はすべて課長が持っていて私は事務ですよ。」
泰子がそこまで言うと
「君だって端末の操作が出来るよね?」
涌本が確かめるように言った。そんなふたりの会話を久保田直子はひとりで聞いていた。聞き耳を立てていたわけではなく席が隣であるためにどうしても聞こえてしまうのである。直子は泰子と涌本の顔をじっと見たがふたりは話に夢中で直子には気がつかなかった。
「お待たせしました。」
白仁春香は微笑んで言うとすぐに直子の前に座ったのである。
「お疲れ様です。」
直子が言うと
「売れっ子女優さんをお待たせしてごめんなさい。」
春香が言った。直子はふたりの会話も気になっていたが春香との用件に集中したのである。
「私は構いませんよ。」
直子が言うと
「今度のイメージポスターの撮影は予定通りのスケジュールでお願いしますね。」
春香は言った。
「解りました。」
直子が言うと
「予定通りに仕事が進んでくれて良かったわ。」
春香は微笑んで言った。
「HARUKA-SHIRANIのブランド価値が上がってきているから私も緊張しそうですよ。」
直子が言うと
「そんなに緊張しなくて良いわよ。」
春香が優しい声で言った。
「最近は凄く人気が上がってきましたね。」
直子が言うと
「あなたの力でここまで来られたのよ。」
春香は直子に言った。
「警部。」
菊池が言うと
「はい。」
桜田は言った。
「また少し時間をもらえますか?」
菊池は桜田が珈琲に口をつけると同時に言った。
「何か懸案事項でもありますか?」
桜田は言った。
「警部がおっしゃった闘真拳の事で聞きたい事がありましてね。」
菊池が言った。
「その件はあくまで私が個人的に興味を持っているだけですよ。」
桜田が言うと
「私も闘新拳と高村俊之と言う男に興味を惹かれましたよ。」
菊池が言うと桜田は頬にかすかな笑みを浮かべていた。
雨のあとに虹・Part2 その18
「明日は総武鉄道の延長工事の視察でしたね。」
立花は社長室に入ってくるとすぐに言った。
「慌ててどうしたの?」
俊之は立花を見て言うと陽子も俊之の横で驚いたように立花を見ていた。
「延長工事の担当の内堀秀武の事ですが仕事は出来ますが態度の悪い奴でしてね。」
立花が言うと
「そういうことの心配は要らないよ。」
俊之は言った。
「そうだとは思いますが念のためにですね。」
立花が言うと
「私も一緒に行きますから大丈夫ですよ。」
陽子は言った。
「川嶋さんが一緒なら心配要らないかな?」
立花が言うと
「それはどういう意味ですか?」
少し声を荒げて陽子が言った。
「これは失礼しました。」
立花は冗談交じりで言うと
「一本の木を残すために岩をダイナマイトで爆破させないでトンネルを掘らせた事に反感を持っているようだね?」
俊之は言った。
「そのようですね。」
立花は言った。
「あの時の担当係長は高根沢さんと言う名前だったよね?」
俊之が言うと
「高根沢さんは課長に昇格して総武鉄道の本社に移動になりました。」
立花は言った。
「内堀さんは高根沢さんの後任だね?」
俊之が言うと
「内堀は春の定期人事異動で係長に昇格しています。」
立花は言った。
「それならばどうしても行かなくてはいけないね。」
俊之は立花を見て言った。
「高村社長の支持に従わない人は私が許さないから見ていてください。」
陽子が言うと俊之と立花は驚いたように陽子を見たのであった。
「休憩に入ります。」
久美子が言うと
「お疲れ様。」
ひとみが言った。
「ゆっくりしてね。」
小百合が言うと久美子は時間を確認して更衣室へ入って行った。遅い昼食をとるために財布を持ってからスタッフルームを出て
「今日は外で食べようかな?」
久美子が独り言を言った時うと
「久美子さん。」
翔太は久美子の傍に来て言った。
「笹川さん。」
久美子が言いながら声がする方向を見ると翔太が微笑みながら立っていた
「すみませんが少し時間がをとれますか?」
翔太が言うと
「これからお昼だから良いですよ。」
久美子は言った。
「それなら一緒にどうですか?」
翔太が言った。
「たまにはいいですね。」
久美子は言った。
「タイミングがあいましたね。」
翔太が言うと
「それよりここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。」
久美子が微笑んで言った。
「このビルは警備に問題ありですよ。」
翔太は気取った声で言った。