私が子供の頃、「60代はおばあちゃん」だった。
だんだんときれいな人が増えて、
今は70代後半くらいじゃないと、おばあちゃんなんて言えなくなってきた。
同世代の女優さんが、美しいままだと嬉しくなるが、さほど憧れない。
私が心惹かれるのは、やっぱり70歳以上の素敵なおばさま、おばあさまだ。
パッと思い付くのは、坂井より子さん。
前に紹介した、つばた英子さん。
あと、フランス人マダムたち。
こういう雑誌に弱い。
もちろん、リアルにお付き合いのある方にも、素敵なおばさまはいる。
東京時代にお世話になった、おばさまたちの顔が浮かぶ。
さて、先日、また一人、素敵なおばさまと遭遇した。
とある、レストランにて。
満席だったが、知り合いの店ということで、常連さんと相席させてもらった。
感じのよいマダム。
世間話を楽しんでいると、ビールとピザが運ばれてきた。
「ビールが好きなの。
ビールを飲みたいか、飲みたくないかが、健康のバロメーターよ。」
美味しそうにビールを飲み、ピザをつまんでいた。
「このお店では、いつもこれが定番」
会話の節々にでてくる
「もう、いつ死んでもいいのよ~ホホホ」
が気になる。
その台詞を言うには早くないですか?
隣だったので、まじまじお顔を見たわけではなかったが、声の感じや雰囲気で、70代前半かな?と思っていた。
お店のマスターが会話に入ってきた。
「年齢、聞いた?」
いや~女性に年齢を聞くって…ねぇ。
差し支えなければ、お聞かせいただけますか?
「86よ。
こんな年で昼からビールって、思うわよねぇ。ホホホ」
86!
全く想像できない。
炎天下の昼間。
ビールとピザを食べ、バスに乗って家に帰るのだという。
元気すぎる!
帰り際、歩く姿を見たら、それなりにお年なのはわかった。
お顔だって、シミもシワもあったと思う。
でも、雰囲気が若かった。
服装も、髪型も、メイクも、きちんとされていて、
声に張りがあり、笑いながらお話する姿が魅力的で。
ご主人は?
「もう、何年も前に見送ったわよ~
今は気楽な一人暮らし。
昼ご飯を、一人で食べるのが寂しいでしょ。
気にいった店をまわって、好きなものを食べるのが楽しみなの。
いつ死ぬかわからないじゃない?
美味しいもの、食べておかなくちゃ。」
86歳を一人で送り出すのが不安なほどの暑い日だったけど、
その方は、「またね~」と笑いながら、涼しげにお店を出ていった。
「昼からビールもすごいよな。
ほんと、元気なんだよ。
あの方は!」
とマスターも笑っていた。
また、素敵なおばさまを、発見してしまった。
いいな、あんな歳の重ね方。
そうだ、忘れてた。
私が一番素敵だと思ってるおばさまは、108歳の習字の先生だった。
みなさんに共通していることは、容姿の美しさとかではない。
意識。
意識なんだと思う。
自分という人生を、それぞれのやり方で楽しんでいるのが伝わってくる。
それが、魅力となって溢れている感じ。
私の40年後、どうなってるだろう。
wai