鳥の巣か、空中のマリモか⁉ 世にも不思議なヤドリギは‼ | 季節の花と短歌と共に

季節の花と短歌と共に

 このブログでは、私の住む横浜市旭区にある「こども自然公園」で、散策をしながら見つけた季節の草木に目を向け、紹介していきたいと思います。さらに、植物に対して感動、感謝や感情を込めて、拙い自作の短歌を共に載たいと思います。

  冬の眠りの中でも、確実に春が…!

  2024年の幕が開けてから、早ひと月が過ぎようとしています。今年は、元旦から信じられないような天災や事故が根に飛び込んできて、「何という幕開けだろう。日本沈没か…⁉」と思わせるようなオープニングでした。能登半島の大地震。マグニチュードは、阪神淡路大震災を上回るほどの大きさでした。真冬の中でライフラインも長期間寸断され、道路も山河も大きく変形し崩壊しました。輪島の町は燃え尽きて、港湾も隆起して使い物にならず。今後の生活の見通しは全く立たない状態です。かといって何の力もになれないもどかしさ。今後の早い復興を祈るのみです。また、翌日には羽田空港での飛行機事故もありました。これは確実に人災です。大事故にも関わらず、たくさんの犠牲者が出なかったことが、せめてもの救いです。それでも、貴重な海上保安庁の方々が犠牲になられたのはとても残念です。3日には北九州の商店街が大火災でした。これは、天ぷらを火にかけたまま目を離したとのこと。他人事とは言えないような失火で、火元の人は、後悔は先に立たないでしょう。こんな暗くて鬱陶しい正月の3が日も、近年では珍しいかもしれません。「過去にはどうだったんだろう」と、そんなことを思いながら、薄日が差し、少し暖かさを感じた日に、久しぶりに公園の散歩に行きました。50代のころまでは、少々寒くても小雪が散らついていたりしても、公園のランニングに精を出していたのに…。今は、猫と同じような状況ですね。冬の公園には、花は少なく、彩がないために、なんとなく寂しさを感じます。しかし、公園にあまり暗さは感じません。それは、園内のたくさんある広葉樹が、すべて葉を落としている状況なので、天井がスッカスッカの透け透け状態だからです。空も雲も丸見えで、鳥が飛んでいくのも、どこに止まっているかもすぐにわかります。また、木の上をタイワンリスなどの小動物が渡り歩くのもよく見えます。それらの鳥や小動物にとっては、隠れ場所が無い危険な環境といえるかもしれません。更に、木々に目を向けていくと、木によっては、小さなつぼみが膨らみけているのも見られました。梅の木などは蕾の先端がピンク色になっているのもあり、中には先端を切って咲いているものも、何輪か見られました。1月の寒い中にも、確実に春への動き出しが見られ、うれしくなりました。小一時間ほど、池の周りやアスレチック付近、そして森の小道などを公園内を散歩していると、ふと目にする不思議なものがありました。今日紹介するのはヤドリギです。

 

  木の上に鞠のようなものが…⁉

 不思議な球体は、丸裸になった落葉樹の木の高いところに見られました。場所によっては10m位はあるでしょうか。所によってはもっと低い5m位のところの高さかもしれません。大きさは、サッカーボールくらいかもしれません。あまりに高いところにあるので、実際の大きさを測り知ることは出来ません。そして、それが気になりだすと、散歩中に結構な数を発見することができました。繁殖期ではないので、鳥の巣ではないかな…⁉すべての葉が落ちて、木の枝だけの状態に、やや緑かかった大きな球体があるからすぐに発見できます。写真を見て連想すると、次のようなイメージで想像ができます。葉が全部落ちた裸の大きなは、人体の血管の模型のように見えます。太い幹は大動脈で、だんだん枝分かれし、最後の細い枝は毛細血管です。大きな木ほど、それをリアルに感じられます。ある面では非常に芸術的な絵のようにも見えます。しかし、そこに一つの大きな球体があるのです。周囲から見れば、まるで細かく張り巡らされた血管の一部に”動脈瘤”ができている状態に見えます。本当に異質な存在です。ある面では、突然変異の”がん”か”寄生組織”とも思えます。ヤドリギは、ビャクダン科ヤドリギ属で、漢字で書くと「宿り木」となります。ですから、実際に本来の木に他のものが発生して、体を借りて生きている”寄生植物”とも言えます。ネットで調べると、「ヤドリギ(宿り木)とは、樹木の上の方に丸く鳥の巣のような形状で寄生する植物です。正確には半寄生植物。簡単に言うと、”半分くらいは宿主となった樹木から水分と養分をもらうけど、残り半分くらいは自分でも光合成を頑張るよ”という植物です。」とあります。”半人半魚”か⁉不思議ですね。というより、他の体を借りて、半分は自分の意思をもって行動するのだから、どちらかという病原菌や寄生虫と似ていますね。また、「ヤドリギは冬になるとその神秘的な姿から注目を浴びますが、夏も存在しています。夏は宿主の樹木が葉を茂らせているせいもあって、気づかれにくいようです。冬に周りの樹が落葉したときにその姿を現します。」ということです。一年中他人の体に張り付いているわけです。これも体内の病原菌と似ています。常時人間の体内に病原菌は住んでいます。しかし、人間が疲れやストレス等で免疫力が落ちると、その病原菌が元気になり、病気を引き起こすということです。何とも奇妙な一致ですね。そして、色を無くした冬の間も緑を絶やさないヤドリギは、生命力と永遠の命を象徴する植物でした。寒さの中でも変わらず、樹の上の方にどんとしている球体のヤドリギは、さぞ神秘的な存在と映ったと言えます。では、何故そんな不思議なことが起こるのでしょうか。それは、鳥と関係があります。ヤドリギの果実は固い果皮に包まれていて、中の果肉がねちょねちょとしています。それを食べた鳥は、フンがねちょねちょとお尻から離れず気持ちが悪いので、お尻を樹の枝にこすりつけてフンを取ろうとします。この時にヤドリギの種もフンと一緒に樹の枝に付着し、無事に宿主を見つけて発芽に至るという仕組みです。寄生植物は繁殖方法として、胞子や種子を風に乗せて飛ばすものが多いのですが、ヤドリギは完全に鳥任せです。鳥もヤドリギの果実を食べたお礼に種子を運んであげているという仕組みです。これも、何だか魚に寄生している虫を食べて体内に入るのと似ていますね。もし人の体内にアニサキスが入れば激痛で苦しみますが、大木に宿り木が寄生した場合にはどうなんでしょうね⁉寄生された木に聞いてみたいものですね。寄生される木も、決まった種類ではなく、鳥任せでいろいろな木に宿るということです。本当に不思議な話です。

 

<一首>ああ何と 不思議な生態 ヤドリギは

    森の木霊か 天狗の巣かな