季節の花と短歌と共に

季節の花と短歌と共に

 このブログでは、私の住む横浜市旭区にある「こども自然公園」で、散策をしながら見つけた季節の草木に目を向け、紹介していきたいと思います。さらに、植物に対して感動、感謝や感情を込めて、拙い自作の短歌を共に載たいと思います。

  5月は、花々しいかな、百花繚乱の公園は…!

 5月に入り、ゴールデンウイーク後半を迎えました。晴れた日と曇りの日の気温の差が激しかったです。曇りの日だと朝方には、少し肌寒くかんじるときもありました。雨の日は尚更でした。しかし、ひとたび晴れると、気温はぐんぐん上がり、夏日になりました。五月に入ったばかりなのに、30℃超えの気温になることもありました。この時期でこの温度。7月・8月には一体どうなってしまうのだろうと、不安や恐怖が先に立ってしまいます。そんな中こども自然公園へ行ってみると、連休ということもあって大変な人出でした。まあ、どこへ出かけても、大変には変わりませんが…。それならば、家族でゆっくり楽しく過ごせる場所として、こども自然公園に多くの人が集まったのでしょう。特に、子供連れの人たちに人気なのは、アスレチック広場ですね。多くの子供たちが汗だくになりながら動きまわる姿がみられ、歓声も響き渡ります。更には、長いローラー滑り台の入り口付近には、順番待ちの長蛇の列ができていました。そんな人たち横目にしながら、公園内を散歩していると、園内にはたくさんの花が咲いていました。まさに百花繚乱です。赤あり、黄色あり、紫あり白ありと、色もとりどりです。植物の一年のサイクルを考えれば、当然とも言えますが。多くの植物は、春先に芽を出し、蕾が膨らみ、そして4、5月には一斉に開花します。この間に受粉をして子房を膨らませ、秋には実や種を落とし、冬には枯れて一休みになります。そのために、この連休頃が一番の花盛りと言えます。昨年書いたブログで主なものは紹介しています。ですから、今回はあまり知られていないレアなものを紹介したいと思います。今日紹介するのは、キンランです。漢字で書くと金蘭になります。大阪に、女子バレーボールの超強豪校の金蘭会高校という学校がありますが、その金蘭ですね。この花は、実は、名前は”キンラン”と、派手なのですが、実際には非常に地味な場所に咲いています。公園にこんなにたくさんの人が訪れても、このキンランソウを見つけたり、愛でたり、写真を撮ったりする人は殆どいないと思います。それ程地味な所にひっそりと、しかし、強くしたたかに、咲いているのです。

 

  植物は、皆、自分の居心地の良いところに咲いている‼

 二俣川駅駅方面から20分程真っ直ぐに歩いて来ると、突き当りに公園入口があります。私がキンランに気づいたのは、この入り口から入って、さらに真っ直ぐにしばらく歩くと、赤い太鼓橋があります。そのあたりの雑木林のあたりです。雑木林といっても、少し、間伐されていて陽が差し込める状態のところです。まだ春なので林の中には、高い木や雑草や蔦などは伸びていません。ですから、地表近くがよく見えます。そこに黄色い花が咲いていたので、「タンポポかな?」と思って、草をかき分け近づいていくと、タンポポでないことは直ぐに分かりました。タンポポは、ライオンのような花で、形も違うし、第一日当たりを好むので、このような薄暗い場所は好みません。よく見ると、スズランのような細長い葉っぱです。花の形は、金魚草のような、ムスカリのような、ヒヤシンスのような、丸まった形をしていました。もっとも、もう少ししたら開くと思いますが、開いた花が見られることもレアです。実は、この花そのものがあまり見られないのは、訳があります。それは、ある条件がそろわないと芽を出し成長できないからです。その条件は、三つありますが、それらの条件が一つでも欠けると、キンランは咲かないと言われています。いわゆる、菌根性樹木・菌根菌・キンランの三者共生と言われて、この三者がそろって初めて育ちます。もう少し分かり易く言うと、菌根性樹木とは、菌に栄養を与える樹で、ここではどんぐりの実がなるコナラです。そして、そこから栄養を吸収して育つ菌根菌(イボタケ)とキンラン本体です。キンランは、このイボタケの菌から、多くの栄養をもらっています。ですから、キンラン単体では、生きていけないということになります。たとえ、この花が、珍しく可愛いから掘っていって(盗掘はだめですが)、家のプランターで育てたとしてもやがては枯れてしますということです。広いこども自然公園を散歩しながら、キンランが咲いているところが他にないかを見て回りました。そうしたらかなり離れた場所で1っか所だけ発見しました。咲いていたところには、近づけるような場所ではなかったので写真を撮ることができず残念でした。そこのキンランには、花が開いているのも見られました。やはり、そこも鬱蒼とした林の近くでした。公園には、数えきれないほどの植物が、植えられていたり、生育したりしています。陽がガンガン当たる明るい場所に元気よく咲いているものもあれば、鬱蒼とした林の中に咲いているものもあります。水辺の近くに咲いているものもあれば、山の上の咲いているものもあります。群がって咲いているものもあれば、他の植物から離れて咲いているものもあります。人間と同じで、人が大勢で集まるのが好きな人もいるし、一人でのんびりするのを好む人がいます。それと同じように、植物も、自分が居心地の良いところにいれば、自生したり、元気に育ったりします。自分の好きな場所があるのです。たとえば、高山植物を盗掘してきても、自宅ではほとんど長くは育ちません。植物は、自分の身の程を弁えているのです。

 

<一首>やぶなかで キラリ輝く キンランは

    そこにありてぞ 価値こそ生まる