めだか屋で奮闘しまっせ（フィクションです。）
第二十三話 愛のめだかの巻（１） ＜＝＝ 以前はこちら
第二十三話 愛のめだかの巻（２） ＜＝＝ 以前はこちら
第二十三話 愛のめだかの巻（３） ＜＝＝ 前編はこちら
第二十三話 愛のめだかの巻（４）
奇跡的に目覚めたあかねは、召田輔（めだすけ）の看病もあって順調に回復し、マンションへ戻って普通の生活が出来るくらいに回復していた。
「そろそろ店へ出やんと、お客さん来てるかも知れへんし、注文も来てるんとちゃう。」と心配するあかねに、「大丈夫でっせ。」と、召田輔は一時もあかねの傍を離れなかった。
「あたいは大丈夫やさかい、召田輔さんは店へ行って。」と急き立てても、召田輔は出掛けようとしなかった。
その時、ピンポーンと来客があり、召田輔が招き入れてあかねの元へ連れて来て、「めだかの家の店長代行でっせ。」と紹介したのは、角の養魚場メンバーの若者だった。
若者は、あかねの顔を見るなり「もう回復されましたか。良かったです。」
召田輔は「三週間くらいになりまっか。よう頑張ってくれてて心強いでっせ。」
あかねは「めだかの家をやってくれはってたんですね。あんな形で別れてしもて、後で難儀したんちゃうの。」
若者は「そんなこと無いです。あれから嘘みたいにオーナーが優しくなって、あかねさんが倒れたのを最初に知ったのもオーナーで、僕に手伝いに行けと言われて来てるんです。」
召田輔は「せやったんかいな。」
若者は「言うなって言われましたけど。」
あかねは「手伝えって言われても、いきなり店長代行やなんて苦労したんちゃうの。」
若者は「でも、店は休業のままでしたし、めだかの世話とネットの管理でもやりがいのある仕事やと思いました。いい経験させてもらったと思ってます。」
召田輔は「来週から、わいも出るよってな。店を開けて売り子さしてもらいまっせ。店長、宜しゅう頼んまっせ。」と言って笑った。
若者は「店長だなんて、僕は何時まで手伝いましょ。」
召田輔は「あかねちゃんが出られる様になるまででんなあ。わい、パソコン出来へんよって。」と話していると、「あたい、ずっと寝てよかな。」とあかねは笑った。
一週間後、召田輔は、あかねの母と隣の爺さん婆さん、角の養魚場のメンバーを招待して、あかねの快気祝いをして、めだかの家は以前の営業に戻ったのだった。
数日後、召田輔は「お披露目でっせ。」と言って、あかねを温室へ呼んだ。
前回と同じように、あかねの前にガラス水槽を置いて、交配四代目の大きく育っためだかを全て放った。
「きっちり世話してくれとったさかい、皆丸々としとりまんなあ。」と喜ぶ召田輔に、あかねが「これ。」と水槽を指差した。
召田輔は指の先を見て「細い指でんなあ。」と言うと、
「何、しょうもない事言うてんの。これよ、これ。」
「おお、これや、これやがな。」と叫んだ。
召田輔は、そのめだかを小さい水槽へ移して陽射しが当たる方へかざした。
青黒く丸い体に赤い縁取りのヒラヒラを付けためだかの体は、陽射しに映えて茜色の三日月紋が鮮やかに浮かび上がった。
「綺麗やねェ。」と瞳を輝かせて見惚れるあかねを、召田輔は肩を撫で下ろして見ていたのだった。
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３月２０日（水）から２５日（月）まで、開催します。
今年で１５周年になりますので、プレゼント企画を考えています。
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（個数に制限があります。無くなり次第終了します。）
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