虹の約束♪ -9ページ目

虹の約束♪

「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

「ラーモセはあまり笑わない子だった。

初めて私たちの前で笑ってくれたときは、サブも私も本当に嬉しかったのを今も忘れない。

笑った顔がすごく可愛いの。でもお母様が亡くなってからは、またあまり笑わなくなった。

どんなに私たちが笑わせようとしても、だめだったのよ。なのに、アルが現れて、ラーモセが変わった。

よく笑い、よく話し、感情を外に出すようになっていた。初めはすごく驚いたのよ。

ラーモセがアルに接するときには、私たちとはまるで違う。あんなラーモセは初めて見たもの。

笑っているラーモセは昔と同じで、本当に可愛い。アルが彼の心を開いたのよ。」

 

 

 

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アルは顔を赤らめ、何と答えたらいいかわからない。顔を伏せ申し訳ない気持ちになった。

 

「あ、気にしないで。そんなつもりで言ったんじゃないの。

そりゃあ、今でも少し心が痛いけど、私もアルが大好きだから」

 

「私もエセが大好き。可愛くて色っぽくて、私の憧れよ。

私は色気もないし、どちらかというと、男みたいじゃない?

ときどき落ち込むわ。いっそうのこと、男だったら良かったのにって」

 

 

 

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エセは真剣にアルに言う。

 

「そこがアルの良いところじゃない。

ラーモセはそこに惚れたのよ。しなだれかからず、いつも勇気を失わない。

どうしてそんな強いの?いつか訊きたいと思っていたのよね」

 

アルはきっぱりと言い返す。

 

「強くなんかないよ。本当はすごく弱いの。いつも後悔ばかりしていた。

そして取り返しのつかない、ひどい失敗をしたの。

だから私にはもう逃げ道がないの。前にしか進めない。今でもとても怖くなるときがあるわ。

でも誰かが後ろから背中をそっと押してくれているような気がするの。

それで勇気が湧いてきて、また起き上がることができる。不思議な感じ。

でもそれは私の力ではないのはわかっている。もしかすると、それは神様かもしれない」

 

 

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

 

・・・

 

「サブのことをラーモセには話さないの?」

 

アルがエセに注意深く訊いた。

 

 

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「今は話す気にはなれないわ。どうしてかな。でも、ラーモセには心配かけたくない。

ラーモセって気難しいところがあって、私とサブは、子供の頃は扱いによく困ったものだわ。

ラーモセのお母様が、いつも私やサブに、あの子は世間知らずだから、

少し大変だけどいつまでも仲良くしてあげてねって、心配そうに言うの。

こっちこそ、仲良くしてもらって恐縮しているのに。

お母様に言われるたびに私たちはよく顔を赤らめたものだわ。

あの頃のラーモセは、ちびのくせにいつも命令口調で、手を繋いだり、

同じ器で水を口飲みしたり、服が汚れたりしたりするのをすごく嫌ったの。

ほとほと手を焼いたわ。生意気で」

 

 

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エセは懐かしむように述懐した。アルは大声で笑った。あまりにも容易に想像できた。

 

「手に取るように想像できて笑っちゃうわね。

今もほとんど変わらないけど、威張ん坊で命令ばかり。

それに神経質は健在よ。すぐに怒るし、気に入らないと口を利かないの。

まるで子供ね。エセたちの苦労が理解できるわ。」

 

 

 

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エセも笑いが止まらないようだ。

 

「アルでも手を焼くのね。安心したわ。私だけだと思っていたから。

サブもたまに、王子って嫌味で呼ぶの。ラーモセはすごく怒るけど。

そんなときラーモセの顔は、昔と同じ。子供まま。でも・・・・・・」

 

エセから突然笑顔が消え、神妙な顔に戻る。

 

「でも、懐かしい。あの頃が」

 

「今も変わらないよ、ラーモセはラーモセだもの。

彼は顔には出さないけど優しい奴だから、二人のことは決して忘れない」

 

エセも頷く。

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

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・・・

 

「私達友達にならない?ラーモセを挟んだ関係ではなく、こうしてときどき二人で会いましょうよ。

まだ色んなこと話したいもの」

 

 

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エセも声を高めた。

 

「本当? 友達になってくれるの?」

 

「きっとお互い理解し合える友達になれると思う。よろしくね」

 

二人は笑った。

 

 

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初めてできた女友達だった。アルは無条件に嬉しかった。

 

「ところで、サブは今どうしているの?」

 

さすがにエセは顔色が曇った。

 

「アケトは事実上解散したわ。

あの嫌らしい流れ者たちとは、所詮一緒にいられるわけがなかったのよ。

サブは一人で旅に出ると言い出して、元のアケトのみんなが、サブについていくことになったの。

それで彼らは今日旅たったわ。私には止められなかった。サブの気持ちは誰よりも理解できたから。

ラーモセには知らせないのって訊いたけど、サブは何も答えなかった。

どこへ行き、いつ戻るのかはわからない。これで私も独りぼっちになっちゃった。

でもこれでよかったんだって思っている。今日アルと友達になれたんだし」

 

エセは笑った。

 

 

 

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アルも笑顔を作り笑いを作り返したが、やはり淋しさは拭えない。

まるで卒業式のときの気分だった。

 

大人になるための門。

あの賑やかで愉快な仲間たちとは、当分会えないのさと思うと、何か切ない。

こんな気持ちを抱くのも初めてだった。今朝会ったイウイアの顔が浮かぶ。

エセの気持ちを想像し、アルはエセの力にならなくてはと本気で願った。

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

 

・・・

 

野鳥たちが鳴いた。ここでは様々な音が繰り出される。

水の吐ける音、虫たちの声、風の音、どれもみんな優しい。

なのにアルは淋しかった。

 

 

 

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「この世界に来て、一番思ったことは、眼に見える全てのものがこんなに美しく優しいってこと。

それまでそんなことを考えてもみなかった。以前いた私の世界には、こんな美しい景色はなかった。

まるで灰色の世界。でも近頃思うんだ、本当に美しいものがなかったのかって。

離れて改めて思い返すと、案外身近なところにもきっと美しいものはあったんだろうって。

 

 

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でも私の眼がかすんで暗くなっていたから、それら綺麗なものが見えていなかっただけなんだって気付いたの。

昔から私には友達なんかいなかった。作る努力も、ほしいと思う気持ちも持てなかった。

独りでだって生きていけると思い込んでいたの。

でもここへ来て、三人を見ているうちに、とても羨ましくなった。友達っていいなって思えた。

なんでもっと早くこんな簡単で単純なことがわからなかったんだろうって、今はすごく思うの。

だから三人はいつまでも友達でいてほしい。そして私も友達になりたい」

 

 

 

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エセは夜空を仰ぎ淋しく笑った。

 

「そんなことを考えるアルはすごいよ。

だからラーモセはアルを好きになったのね。わかる気がする。

私やサブにはない発想だもの。私はアルが羨ましい。

今まで私は自分に自信が持てなかったわ。

だからいつもサブやラーモセの顔色を窺っていた。嫌われるのが怖かったから。

でもあのとき、アルは一人で戦っていた。すごいなって、とても適わないなって心から思った。

あんなこと私にはできないもん。本気でラーモセのことを思っているんだってわかった。

サブも同じ気持ちだったと思う。私たちの完全な敗北を認めざるを得ないわ。

だから今は時間が何よりも必要よ。大人になるのって案外大変だけど、素晴らしいことであるのよ。

いつか思い返したとき、いい思い出になるわ。ありがとう、アル」

 

 

 

 

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二人は見つめ合い手を握った。

初めて心から打ち解け合った瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

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・・・

 

月明りがエセのシルエットを映し出した。

 

 

 

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パピルスの茂みの中でエセは振り返る。

 

「ラーモセは寝たの?」

 

「うん、疲れたのかぐっすり」

 

二人は腰を下ろし、しばらく重い空気の中、沈黙があった。

アルは何と切り出せばいいのか迷った。

 

エセがその静寂を破った。

「ラーモセは元気?」

 

「なんで会いに来ないの?

ラーモセはあんな性格だから口には出さないけど、二人に会いたいに決まっている。

私のせい?やっぱりそうだよね。ごめんね。

三人の仲を壊すつもりなんて本当になかったのに。ごめんね」

 

 

 

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エセはやおら首を振る。

「違うよ、私たちはお互いに大人になろうとしているんだよ。

本当にもっと早くこうしなくてはいけなかった。

でもようやくそのときが来たの。それだけ。誰でも通る道でしょう」

 

アルは納得できなかった。

「アケトはやめてほしかった。

だけど、家族同様に三人はずっと助け合ってきたんでしょう?

こんな形で別れてしまうなんて嫌だよ。ラーモセにはエセやサブが必要だもん。

お願いだから、離れていかないで、彼を見捨てないで。彼は独りぼっちになっちゃうよ」

 

エセの瞳は闇の中で輝いていた。

「いつか、アルが言ったよね、私たちがラーモセを縛っているって。

その言葉は胸に刺さった。だって事実なんだもの。

でもそれを認めたくなかったの。彼を自由にしてあげたい。

きっとサブも同じ気持ちなんだと思う。

これはアルには関係ないこと。私たちの問題なの」

 

 

 

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アルはなおもとりなす。

「人には友達が必要だよ。大人になったって友達は必要でしょう。独りは淋しいよ」

 

「アルの言う通り、ラーモセはアケトに入ってはいけなかったのよ。

友達なら絶対反対するべきだった。でもその勇気が足りなかった。友人失格だよね。

ラーモセに相応しいのはアルよ、今日はそのことを言いに来たの。ラーモセもアルが必要。

あのとき、はっきりとそれがわかった。初めからそれはわかっていたこと。

でもサブも私も認めなくなくて、あなたに色々意地悪をしたわ。

でも私もサブも大人にならなくてはね。今はお互いに時間が必要よ。

それぞれの道を行かなくては。そしていつかまたみんなで逢えたらいいわね」

 

アルはまだたくさん言いたいことがあったのに、胸が詰まって声が出ない。

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

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