静けさと厳粛な空気が辺りに広がった。
川下から川上に吹いていた風がそよともしない。
蛙や虫たちの鳴く音も耳から消えた。
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あたかも時間が制止し、宇宙の果てに立っているような錯覚さえ起こした。
アルはエセの言ったナイル川の女神なのかと思った。
「あなたはイシスという神ですか?」
老婆は頭巾をかぶっている上に、月光を背にしているのでその表情は読み取れないが、
アルのその問いに微笑んだ気がした。
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「パピルスの詩」
葦やパピルスの生い茂る辺りを行くと、すぐにあの偉大なナイル川は眼の前に広がっていた。
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エセの姉もここで身投げした。
漆黒の闇を湛えて母なる大河は、死の砂漠の真ん中で口をぱっくり開いて待ちうけていた。
全ての生命を吞み込んでしまうような迫力がまさにあった。
命の源のナイル川。
如何なるものも映さない虚ろなアルの瞳に、青い小さな光が突如飛び込んできた。
それをかわそうと一瞬体の均衡が崩れ、死に神にとり憑かれた魂に辛じて正気が戻った。
光の玉を眼で追うと、それは人の形に姿を変え、いつの間にか老婆がそこにいた。
アルはここへ来てからというのも、大抵のことでは驚かなくなっていたが、奇妙なことにこのときも身を竦ませたり慌てたりすることはなかった。
とりもなおさず老婆の様相からは、不快な悪意が感じられなかったからだ。
「パピルスの詩」
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