古美術花地蔵日記 / アート・骨董品

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古美術、芸術全般、日々気になること。

古美術 花地蔵

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サイト https://hanajizou.com
〒943-0831 新潟県上越市仲町1-4-12
アーク高田仲町503

福嶋武久

 

静かな気品を湛えた、鎌倉時代の木彫如来仏頭です。
精悍な眼差しと引き締まった面相には、鎌倉彫刻特有の写実性と精神性が見事に表れています。
額には白毫(びゃくごう)が表され、目には「玉眼(ぎょくがん)」が施されています。
玉眼は、仏像に生きた人間のような生命感と深い慈悲の眼差しを与え、光の加減によって宿るその神秘的な眼光が、見る者を圧倒します。
螺髪(らほつ)は丁寧に刻み出され、頂部の肉髻(にっけい)とともに如来像の尊容を整然と表しています。ふくよかでありながらも引き締まった頬のライン、理知的な美しい鼻梁(びりょう)など、鎌倉期ならではの写実的かつ力強い造形美が小さな頭部の中に凝縮されています。
漆の深い色調と、今なお顔や首元に妖艶な輝きを残す金箔の痕跡は、長い歳月を経た木彫仏ならではの荘厳な趣を湛えています。漆の剥落や木肌の露出といった経年の風合いそのものが過ぎ去りし時代を物語る景色となり、この仏頭に格別の風格を与えています。
圧倒的な存在感を放ち、現代空間においても彫刻作品として高い鑑賞性を備えています。
鎌倉仏の静謐な美と力強さが凝縮された優品です。

■「玉眼(ぎょくがん)」とは
仏像の眼の部分をくり抜き、内側からレンズ状に磨いた水晶(あるいはガラス質の素材)を嵌め込む、平安時代末期から鎌倉時代にかけて確立・定着した技法です。光を反射して潤いのあるリアルな眼光を生み出し、仏像に劇的な生命感をもたらしました。

花地蔵のサイトに掲載中ですので詳細をご覧ください。

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明時代末期、景徳鎮民窯において焼成された古染付の茶碗です。
最大の見どころは、その彫刻的ともいえる造形美にあります。
側面には鎬(しのぎ)が施され、手に馴染む心地よいリズムを生み出し、口辺は花びらを連ねたような優美な輪花形に縁取られています。端正さの中に、どこか軽やかで洒脱な趣が感じられる器です。
胴には松・梅・舞う鶴という吉祥を象徴する意匠を、見込みには愛らしい兎が配され、
自由闊達な筆致で描かれた絵には、生き生きとした生命感が感じられます。
また、「潤いのある素地」と「深い呉須の藍色」との対比は、明末染付特有の柔らかな気韻が漂っているようです。
さらに、所々に現れた古染付特有の「虫喰い」が、器に豪快な景色を与えています。
筒形の引き締まった姿は手取りも良く、鑑賞陶磁としても、実用の茶碗としても高い魅力を備えています。
遊び心に満ちた、見所満載の古染付茶碗です。

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奈良・興福寺に伝来した千体仏のうちのひとつで、平安時代後期の作と考えられる観音菩薩立像です。
穏やかで慈悲深い表情を湛えた静謐な面相と、浅く刻まれた簡潔で抑制の効いた衣文表現には平安時代後期に遡る古様を色濃く伝えています。
また、室町時代に施されたと考えられる金彩の名残は、経年による自然な剥落と相まって、古色豊かな表情を呈しています。平安という時代を感じさせる枯れた木味とともに、それらが、織りなす世界は、時代を経たものにしか現れ得ない別格の魅力を放っています。
穏やかな顔立ちの中に宿る威厳ある眼差しは、静かにして強く、見る者の心を掴みます。
両腕は欠損し、足先・台座等は後補ですが、これらは厳しい時代を生き抜いてきた証を物語っていると言えます。欠けゆくことで生まれる「欠けたる美」は、見る者の想像力を喚起し、より深い鑑賞の世界へと誘います。
静謐の空気をまとい、時の移ろいの痕跡を残した、味わい深い木彫仏です。
祈りの対象として丁寧に彫り上げられた造形は、当時の信仰の姿を今に伝える貴重な遺品と言えるでしょう。
素朴さの中に気品を湛え、長い時を経たものだけが持つ静かな力を併せ持つ、平安仏の魅力を端的に示している仏像です。
像のシルエットが描き出す優美な曲線の美しさは秀逸です。

 

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朝鮮時代前期(16世紀)に焼成された井戸盃です。
高台周面に広がる、氷原のように現れている梅花皮(かいらぎ)は見事です。
土と釉薬と火により生み出された芸術といえるでしょう。
器を覆うように現れている貫入は、長年の使用により酒が浸み込み、数寄者たちによって受け継がれてきた時の流れが刻み込まれ、味わい深い表情となっています。
さらに、器の形も非常に張りがあり、高台の形状にも趣があります。器の側面が描き出すシルエットも、緊張感のある優美な曲線を描いています。
また、手にも心地よくしっくりと納まり、口辺の口当たりの優しさも特筆すべき点です。
雄大な景色を内包した盃です。堂々とした貫禄さえ感じさせ、井戸という名にふさわしい風格を備えています。
お酒を呑む時間を、至福の時に変えてくれる一品です。

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桃山時代(17世紀)に焼成された、重厚かつ洒脱な黒織部茶碗です。
口辺部に厚みのある縁帯を巡らせ、全体に沓形の歪みをもたせた、桃山陶特有の自由闊達な姿を呈しています。
釉を意図的に掛け残した「窓」を設け、その内部に鉄絵による大らかな筆致で描かれた幾何文様を配し、長石釉を施しています。外側には深い鉄釉を大胆に掛け分け、黒と白の鮮やかな対比によって、織部ならではの緊張感ある景色を生み出しています。
さらに、器の下部には掻き落としによる縦方向の線状文様がリズミカルに配され、その部分が長石釉で埋められています。単なる掛け分けにとどまらない高度な意匠構成が見どころです。見込みにも絵付が施され、内外にわたって文様が展開する点も、大きな魅力であり、桃山陶の自由闊達な美意識を感じさせます。
鉄釉の絶妙なムラや長石釉の表情には時代相応の景色が現れ、長い年月を経た古陶ならではの味わいを備えています。
造形・装飾・景色の三要素がよく調和した茶碗であり、桃山陶の豪快さと繊細さが共存する逸品といえます。

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桃山時代に焼成された古備前鳶口(とびぐち)徳利です。
肩の張ったふくよかな胴に、引き締まった首が立ち上がり、口縁には鋭くも愛らしい「鳶口」が施されています。簡潔でありながらも力強い造形が印象的です。
焼成によって生まれた胡麻・焦げの景色が肩口にかけて美しく現れ、土の豊かな表情と生命力とともに桃山古備前特有の野趣を色濃く伝えています。底部には焼成時に由来する痕跡が見られ、古作ならではの景色として時代の重みを感じさせます。肌は長年の伝世によって、しっとりと落ち着いた質感を纏っています。
口造りは適度な厚みを保ちながらも扱いやすく、酒を注いだ際の切れも非常に良好です。容量も150ccと日本酒をゆっくりと味わうのにちょうど良い頃合いで、お酒の友として長く付き合ってくれる徳利です。
また、黒漆塗りの蓋が付属することから、かつて茶入としても使用されていたことがうかがえます。酒器としてのみならず、茶の湯の世界とも関わりを持った履歴は、本品にひと際奥行きある魅力を与えています。
掌に収まる扱いやすい寸法ながら、景色・姿ともに見応えがあり、酒器として日常に取り入れるほか、花入や茶席道具としての見立てもお楽しみいただけます。
桃山期古備前の魅力が凝縮された小品として、存在感を放っています。

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桃山時代から江戸時代初期にかけて焼成された、古唐津皮鯨のぐい吞です。
口縁部に施された黒褐色の鉄釉帯が、鯨の皮の色を想わせる「皮鯨」の典型的な姿を示しています。
全体の造形は低く安定した腰を持ち、わずかな歪みが手取りに心地よく馴染みます。
高台は、鉄分を含む赤みがかった古唐津特有の胎土が露わとなっており、轆轤の痕跡を残し、荒々しく削り出され、一部「竹の節高台」となっています。古陶の力強さが宿っている、ざんぐりとした削り跡には、生命感が感じられます。
初期唐津特有の野趣をよく伝え、底部の景色だけでも酒の肴になるほどの存在感を放っている器です。
内側には経年による繊細な貫入が走り、長年の使用により、器全体にしっとりとした味わいが宿っています。また、見込みの窯キズやフリモノも、伝世の時間を物語る豪快な景色の一部として溶け込んでいるのも魅力と言えるでしょう。
酒を含ませた際には釉薬の深みがいっそう際立ち、釉の肌がさらなる潤いを帯びて、使うほどに風格を増していきます。
径約71mmという程よい大きさと、手応えのある心地よい重みは、酒器としての魅力を存分に備えています。
日々の晩酌から茶席の盃まで、長く親しんでいただける一点です。
古唐津の素朴さと力強さを備えた、酒の友として寄り添ってくれる伝世のぐい吞です。

■「皮鯨」とは、口縁部に黒または黒褐色の鉄釉を帯状に施した意匠の名称です。その模様をクジラの皮の黒と身の白のコントラストになぞらえた呼称です。

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桃山時代から江戸時代初期に美濃窯で焼かれた灰釉の筒茶入です。
桃山の古窯の趣を今に伝える、味わい深い器です。
直筒形の姿で、胴のやや下に緩やかなふくらみを持つ造形はふくよかで、端正の中にもどこか愛着を感じさせます。
胎土は赤味を帯びた砂気のある美濃土です。釉は透明感を帯びた黄味灰釉で、焼成中に自然に流れた釉が胴の片側に溜まり、口縁外側にもわずかな釉だまりを見せて景色をつくっています。こうした釉の流れやわずかな歪みには、桃山茶陶の素朴で力強い作行きがよく表れています。
低い高台に細い畳付を備え、高台内には轆轤削りの同心円が残る、古作特有の造形をしています。畳付外周には窯中での焼成を示す焦茶色の焼き色が見られ、古窯の自然な焼き上がりをよく伝えています。あえてトチン等を用いず高台の内側に至るまで丁寧に仕上げられたその姿には、当時の美濃の陶工の技術が凝縮されています。
高さ約75ミリという小振りで収まりの良い寸法は手取りも良く、茶入として扱いやすい大きさです。また、筒盃としても手に吸い付くような絶妙なサイズ感ですので、茶入という格式を持つ茶道具を、酒器(筒盃)として愛でるという「見立ての美学」を楽しんではいかがでしょうか。
唇を預けた時の口当たりの良さ、掌に収まるほどよい重さは盃として心地よいです。
特に器全体を覆う伝世による貫入の景色の美しさは抜群で、茶人たちにより伝え、育てられた器ならではの奥行きを感じさせます。黄味を帯びた釉薬の柔らかな色彩とともに、春の景色を思わせる趣があります。お酒を含めば、春の香りを味わうような気分に浸れます。
桃山陶の美意識を感じながら、茶入、あるいは筒盃と多様に楽しめる器です。
まだまだ「育てがい」のある逸品です。

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鎌倉時代の写実的で力強い気風を色濃く残す、南北朝時代から室町時代前期にかけての極めて端正な金銅仏千手観音菩薩立像です。
慈悲深い眼差し、静かに結ばれた口元、気品溢れる尊顔は、この時代の優品ならではの風格を湛えています。
わずかに笑みを浮かべた魅惑的な表情は心を捉え、時を忘れて見つめていたくなる力があります。
古銅特有の深みのある質感と自然な緑青が現れ、中世金銅仏ならではの落ち着いた風合いをよく示しています。
また、所々に鍍金が残り、往時の荘厳を偲ばせています。
中世の小型金銅仏では、本体とは別鋳の腕を背面に取り付ける構造がしばしば見られます。
本像もその一例で、背面には千手観音の象徴である多臂を固定していた当時の枘(ほぞ)と接合跡が残されています。その造形の力強さは、時代を雄弁に物語っています。
長年の使用と保存の過程で脇手(多腕)は失われていますが、かえって本体の造形が際立ち、穏やかな面相や体躯の美しさをより明瞭に観察することができます。
身体のラインに沿って流れる衣文には、形式化が進む以前の時代特有の自然な写実性が残り、像全体に優雅なシルエットを生み出しています。
その美しさを見ていると、脇手の欠損は気にならず、現在の姿が本来の姿だったようにさえ感じらます。
このような小型の金銅仏は、中世において個人の念持仏として制作されたものと考えられます。
静かな祈りの対象として長く守られてきた仏像であったことが想像され、時代を経た金銅仏ならではの趣を今に伝えています。
専用の落とし込み桐箱(紫布張り)に納められており、伝来の良さを感じさせます。
小像ながら存在感を放つ、気品に満ちた美しい姿の金銅仏です。

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古格漂う、桃山時代に焼成された、岸岳系周辺窯の系譜に連なる白斑唐津の筒盃です。
端正に立ち上がる筒形に穏やかな外反を添えた姿は均整が取れ、過度な誇張を感じさせない品格を湛えています。
掌中に収まる量感と落ち着いた佇まいは、桃山期酒器ならではの古格を伝えています。
器面を覆う白濁釉は長石釉のような作為的な白ではなく、藁灰釉を基調とした灰分の働きと還元焼成によって生じた自然な色調です。
土味をわずかに透かしながら柔らかな光を宿すその肌は、唐津本来の素朴さを保ちながらも、どこか澄んだ印象を与えます。
焼成環境がもたらした偶然性がこの器の大きな見どころとなっています。
口縁には窯中で生じた石ハゼ状の景色が見られ、焼成の偶然が桃山古陶ならではの力強さを伝えています。
高台内には縮緬皺が現れ、高台の力強い削りには岸岳周辺窯の気配が感じられ、白濁した静かな釉肌との対比に、古唐津ならではの野趣が息づいています。
見込みには細かな貫入が広がり、長い年月を経た器だけが持つ枯淡の表情が宿っています。
華美に走らず、しかし確かな存在感を備えたこの盃は、唐津酒器の中でも稀有な魅力を宿した器といえるでしょう。
白の静けさと焼成の力強さが同居する姿は、酒盃としての実用のみならず、掌の中で桃山の気配を味わう小さな古陶として愉しんで頂けます。

志野とも粉引とも異なる、唐津特有の白の景色を示す酒器は現存数が少なく、白き唐津の中でも、焼成の偶然がここまで豊かに現れた酒盃は稀少です。

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