宙ごはん

町田そのこ  小学館 2022年9月


 




 

宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。 宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。



おいしい料理は、心を暖かくするって話なのだが、これが複雑!



普通でない家庭環境で育った宙の成長を、幼児から社会人になるまで描いている。


成長につれ、宙が出会う友達も複雑な環境で、虐待を受けていたり、育児放棄があったり…


また、

不倫、いじめ、加害者の家族の問題等、重い内容が含まれていた。


最初は、母親らしくない花野さんに宙は、悲しい思いもすることがあったけど、いつしか、宙のいいお母さんになっていたと思う。


そして、忘れていけないのが、やっちゃんの存在。

宙は、やっちゃんに料理を教えてもらったり、

何度も助けられり…。

こういう頼れる人がいることはすばらしいこと。

宙は、困ったことがあったとき

やっちゃんなら、こんな時はどうするのかと考えるようになる。


やっちゃんにおこったできごとは、悲しすぎるよ。


宙はいい子に育ったなあ。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐

少ししでもお金で得するのはどっち?

扶桑社 2023年1月

 



 



この本は生活情報誌『ESSE』のマネー連載「どっちがおトク?」から、今の時世にニーズが高いテーマを選び、データなどを新しくして再編集したものです。 人は、よりおトクな方にひかれるものです。とくに二者択一の場合で、どちらか一方を選択した方がよりおトクになる…となれば、どっち? と気になる人が多いでしょう。 そんな心理にマッチしたためか、おかげさまで「どっちがおトク?」の連載は、スタート当初から人気を集めました。なかにはESSEオンラインに掲載されると、編集部が驚くほどの大反響を呼び、ネットで話題を呼んだテーマもありました。 そのテーマは生活必需品から水道光熱費、家計管理、老後資金、税金、社会保険料、住宅ローン、教育費…など多岐にわたり、いつの世の中でも関心が高く、まただれもが「どっちがおトク?」か、気になるものばかり。生活に直結するお金への関心は、年々増す一方です。 テーマごとの短い読みきりになっているので、本のどこからでも読んでいただけます。おトクな情報をギュッと詰め込みました。 ぜひ、楽しみながら読んでみてください。




へえそうなんだと感心することしきり。


新しい発見がいろいろあった。


データに基づいて数字が示されていてわかりやすい。


ひとつづつに どちらがいいと結論が書いてあるものの、良い点 と悪い点が 上げられているので、選択するのは読者がきめることになるが、とても参考になつた。



トーベ


監督: ザイダ・バリルート

 出演 アルマ・ボウスティ  クリスタ・コソネン  シャンティ・ローニー  ヨアンナ・ハールッティ  ロベルト・エンケル  カイサ・エルンスト


 第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキ。激しい戦火の中、画家トーベ・ヤンソンは自分を慰めるように、不思議な「ムーミントロール」の物語を描き始める。 やがて戦争が終わると、彼女は爆撃でほとんど廃墟と化したアトリエを借り、本業である絵画制作に打ち込んでいくのだが、著名な彫刻家でもある厳格な父との軋轢、保守的な美術界との葛藤の中で満たされない日々を送っていた。それでも、若き芸術家たちとの目まぐるしいパーティーや恋愛、様々な経験を経て、自由を渇望するトーベの強い思いはムーミンの物語とともに大きく膨らんでゆく。 そんな中、彼女は舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラーと出会い激しい恋に落ちる。それはムーミンの物語、そしてトーベ自身の運命の歯車が大きく動き始めた瞬間だった。



ムーミン成り立ちの秘話ということで、かわいいイメージでこの映画を見ると、肩すかしかもしれない。

もっと情熱的な芸術家の物語だった。



不倫、同性愛、パーティー…

仕事のうっぷんや厳しい父との確執…


本業は絵画制作でありながら、ムーミンの絵を描くことで、ままならない気持ちを表現。

気晴らしにしていたように思う。


ムーミン成り立ちの秘話というより、トーベヤンソンの一途な思いを感じた映画だ。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐

しろがねの葉

千早茜 新潮社 2022年9月




 

168回直木賞受賞作! 男たちは命を賭して穴を穿つ。 山に、私の躰の中に―― 

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。 天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。 しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。 生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!



冒頭から、ウメの過酷な状況がわかる。


山を越える途中、

自分を拾って、育ててくれた喜兵衛を慕い、喜兵衛の教えを守るウメ。

女でありながら、坑道で働くウメだったが…。


男と同じようには働けず…

女ゆえに、悔しい思いも…


石見銀山の様子を描いている。



男達は、病にかかることがわかっていても、この場を離れず働き続ける。

女達は、 子供を産み、夫を看取り、新しい夫の子供を産む。


大切な人との別れ、ウメはどのように乗り切ったのだろう。


働くこと、生きることは、なんて過酷なのだろう。

強い覚悟がいるのだと感じる。



生きることの強さとやさしさを感じた物語。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐



松雪先生は空を飛んだ

白石一文 2023年1月






 

 

 

 今日から、きみたちは自由に空を飛ぶことができる」 


スーパー・パリットストアの総菜部新入社員、銚子太郎は窮地に立たされていた。発注ミスで野菜サラダのパックが100個も届いてしまったのだ。通常の10倍量のサラダを前に困り果てる銚子太郎だったが、ベテランパート久世さんの「サラダ記念日を絡めたPOPをつける」という名案に救われる。それをきっかけに久世さんと仲良くなった銚子太郎は、ある日木から降りられなくなった猫を助けるために、空中を飛行する久世さんを目撃してしまう――。 

既婚者の子供を身ごもり、世をはかなむ糸杉綾音。セスナ機事故で九死に一生を得てから、人が変わってしまったスーパーヤオセーの会長・高岡泰成。

描かれる複数の男女の生活と歴史、そして見え隠れする「空を飛ぶ人間」の存在。やがて、空を飛ぶ彼らには「私塾で松雪先生の最終講話を受けた」という共通点が浮かび上がってくる。時を経て、再び最終講話メンバーが集まった時、松雪先生の頭にあった計画とは――



スーパーの新入社員の話。

不倫の話。

セスナ機の事故でひとり生き残った会長の話…


と関係ないように思われる話が続く。

そこに見え隠れする空飛ぶ人の存在。


空飛ぶなんて荒唐無稽なことなのに、普通に受け入れている。

それぞれの短編がおもしろい。


それが、下巻では、話が一気につながっていって、松雪先生ってどんな存在なのか気になった。


途中までおもしろかったのだが。

ラストがう~む。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐







ドリームプラン


監督 レイナルド-マーカー-グリーン

出演 ウィル-スミス




 

 世界最強のテニスプレーヤーとも称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹。姉妹の実父、リチャードは彼女たちが生まれる前にTVで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て、「子どもを最高のテニスプレーヤーにしよう!」と決意。テニス未経験にも関わらず、独学でテニスの教育法を研究し、78ページにも及ぶ成功への計画書を作成。誰もが驚く常識破りの“ドリームプラン”を実行した。父の指導のもと、ウィリアムズ姉妹がいかにしてその才能を開花させ、世界の頂点へ上りつめたのかー!? 揺るがぬ信念と子供たちの可能性に人生のすべてを捧げ、不可能を可能にするリチャードの姿が心を揺さぶる感動作。




が子を最高のテニスプレーヤーにするため独自の方法で指導するリチャード。

金もコネもなく、ましてや、この時代、有名な黒人プレーヤーがいないにもかかわらず…


ストレスなくテニスを続けるという信念はいいと思うし、子どもを愛しているのもわかる。

けど独断的なやり方はどうなのだろう?


奥さんとも意見があってないところもあるし…


まあ、

子ども達が父親のやり方についていけたところがすごい。

努力があってこそ、才能が花開いたのだろう。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐

ケチる貴方

石田夏穂 講談社 2023年1月


 

 



私は寒いとき必死だ。こんなにも必死なのに、何故この身体は頑なに熱を生産しないのだろう。 骨と皮ならまだしもお前はエネルギーの塊じゃないか。私の代謝機能よ。この身体を温める薪ならここに山のようにあるよ。 頼むからケチらず使ってくれないか。(「ケチる貴方」より) 第44回野間文芸新人賞候補となった表題作と 第38回大阪女性文芸賞受賞作を豪華同時収録。 私の脚は、生来、人並外れて太かった。その程度を定量的に示そう。その周囲、五十八センチ。 (中略)私は自分より脚の太い人を、ついぞ目にしたことがなかった。(「その周囲、五十八センチ」より)


低体温症で、極端な冷え症の私。

そのため、会社では、無愛想な 女性という印象だった。

新入社員ふたりの担当を任されるが、

ある時、いつもと違った良いことをすると熱量が増すことが判明する。

私は熱量を上げるために良いことをし続ける。


熱量があがることで、体温が上がり、無愛想だったのが、明るい女性に変わっていく様子がおもしろい。



備蓄用タンクの設計と施工で働く女性という設定が、新鮮で、

会社での女性の立場からの愚痴もうなずける部分がたくさんあった。



もうひとつは、

最初は、足を細くしたいと始めたことだろうけど、いつの間にか、脂肪吸引することが目的になっている女性の話。


 お気に入り度⭐⭐⭐⭐

やすらぎの森

監督  ルイーズ・アルシャンボール 

出演 アンドレ・ラシャペルジルベール・スィコットレミー・ジラール 


 本来なら施設への入所を半ば強制される三人の男たちが、カナダはケベックの深い森で気儘に隠遁生活を営んでいたのだけれど、ある日、各々の住まいからすぐ側の湖沼で泳いでいたら……。 その森から最も近い村へ、少女の頃に町を離れ施設暮らしをしていた老婆、美術館の要請から謎の画家を追っている女性カメラマンがやって来て、かつてこの地域を襲った大規模な自然災害、抗えぬ運命に翻弄された人々の姿が次第に露わとなって行く。



世を捨て、森で、犬と暮らしていた老人三人。


事情はいろいろだろうが、ここで自由に暮らしていた。

ただ、死ぬ時期も自分で決めるというのは???だけど・・・・・・・・


そこに、施設を抜け出してきた老婆が来ていっしょに暮らすようになる。

彼女は、年をとっていたけれど、初々してかわいらしい印象だった。

ここでの暮らしが楽しそう。

人生の終わりに新しい出会いがあったこと、いいなと思った。


カナダのケベックの湖の風景が美しかった。


お気に入り度★★★★





つぎはぐ、さんかく

菰野江名 ポプラ社 2023年1月




 

 惣菜と珈琲のお店「△」を営むヒロは、晴太、中学三年生の蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に学校へ出かける。 しかしある日、蒼は中学卒業とともに家を出たいと言い始める。これまでの穏やかな日々を続けていきたいヒロは、激しく反発してしまうのだが、三人はそれぞれに複雑な事情を抱えていた――。 傷つきながらも身を寄せ合って生きてきた三人が、 懸命に明日を紡いでいくための物語。


惣菜屋「△」でコーヒーを入れる晴太。

惣菜を作るヒロ。

中学に行く元気な蒼。


晴太は、みんなを優しく見守っている。


ヒロは一度にいろんなことができない。

不器用でも、落ち着いてひとつづつていねいに行っていく。


蒼は、進路について考えている。


とても仲の良い三人兄弟に思えた。


しかし、訳ありで、この三人は、いっしょにいるために努力してたんだ。

その関係に転機が・・・・・・・・


過去と向き合い自分の立ち位置を確認することになる。


それぞれが、相手を思いやっている。

こういう家族のあり方があってもいいのではないか。


この兄弟を見守っている大人の優子の存在がいることも大きい。


 △で、ヒロのポテトサラダ食べたい!

晴太のコーヒー飲みたい!


お気に入り度★★★★★

リスペクト

監督 リーズル・トミー

出演 ジェニファー・ハドソン, フォレスト・ウィテカー, マーロン・ウェイアンズ, メアリー・J・ブライジ 


 

 


私を輝かせるのは、この“声” 少女のころから抜群の歌唱力で天才と称され、 煌びやかなショービズ界の華となったアレサ(ジェニファー・ハドソン)。 しかしその裏に隠されていたのは、 尊敬する父(フォレスト・ウィティカー)、 愛する夫(マーロン・ウェイアンズ)からの 束縛や裏切りだった。 極限まで追い詰められる中、 すべてを捨て自分の力で生きていく覚悟を決めたアレサは、 ステージに立ち観客にこう語り掛ける。 「この曲を、不当に扱われているすべての人に贈ります」 自らの心の叫びを込めたアレサの圧倒的な歌声は、 やがて世界を歓喜と興奮で包み込んでいく――。




アレサは、子どもの頃の愛する母親の死は、どれほど悲しかったたろう。

それに子どもの時に受けた行いのことを思うと言葉がない。


その後、父から認められず、夫から裏切られるなど、苦悩に満ちた 人生だ。

人種差別もあり、

それだからこそ、歌に思いを込めたのだと思う。


アレサの歌唱力はすごかった。

姉妹でのハーモニーもいい。

特に、最後の教会での歌声が圧巻で心に響く。



最後の本人の映像にも感動。


お気に入り度★★★★