松雪先生は空を飛んだ

白石一文 2023年1月






 

 

 

 今日から、きみたちは自由に空を飛ぶことができる」 


スーパー・パリットストアの総菜部新入社員、銚子太郎は窮地に立たされていた。発注ミスで野菜サラダのパックが100個も届いてしまったのだ。通常の10倍量のサラダを前に困り果てる銚子太郎だったが、ベテランパート久世さんの「サラダ記念日を絡めたPOPをつける」という名案に救われる。それをきっかけに久世さんと仲良くなった銚子太郎は、ある日木から降りられなくなった猫を助けるために、空中を飛行する久世さんを目撃してしまう――。 

既婚者の子供を身ごもり、世をはかなむ糸杉綾音。セスナ機事故で九死に一生を得てから、人が変わってしまったスーパーヤオセーの会長・高岡泰成。

描かれる複数の男女の生活と歴史、そして見え隠れする「空を飛ぶ人間」の存在。やがて、空を飛ぶ彼らには「私塾で松雪先生の最終講話を受けた」という共通点が浮かび上がってくる。時を経て、再び最終講話メンバーが集まった時、松雪先生の頭にあった計画とは――



スーパーの新入社員の話。

不倫の話。

セスナ機の事故でひとり生き残った会長の話…


と関係ないように思われる話が続く。

そこに見え隠れする空飛ぶ人の存在。


空飛ぶなんて荒唐無稽なことなのに、普通に受け入れている。

それぞれの短編がおもしろい。


それが、下巻では、話が一気につながっていって、松雪先生ってどんな存在なのか気になった。


途中までおもしろかったのだが。

ラストがう~む。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐