さいわい住むと人のいう
菰野江名 ポプラ社 2024年9月
ある日、豪邸に住む高齢の姉妹が二人とも亡くなった。
老姉妹は、なぜこんな豪邸に二人だけで住んでいたのか―?
地域福祉課に異動になった青年・青葉が紹介されたのは、大きな屋敷に住む八〇歳の老女・香坂桐子だった。桐子は元教師で顔が広く、教育から身を引いてからも町の人から頼りにされていた。妹の百合子と二人だけで暮らしているという――。
物語は二〇二四年から二〇年ごとに遡り、姉妹の人生が少しずつ紐解かれていく。戦争孤児で親戚をたらいまわしにされてきた彼女たちは、いつか自分たちだけの居場所を手に入れて、二人で幸せになろうと誓った。しかし、ある選択を迫られて……。
元教師の桐子は、キリッとしていて 厳しそうだけど、弱い者の立場にたって考えてくれる人で、元教え子など地域の人から信頼されている。
桐子の妹の百合子は料理がうまく、やさしいおばあちゃんって感じの人。
その姉妹がふたりだけで豪邸に住んでいた。
なぜ、こんな豪邸にふたりで住んでいるのか?
20年ごと年代をさかのぼり、その事情が明らかになっていく。
桐子と百合子は、戦争孤児で親戚の家をたらい回しにされていたので、気兼ねなくふたりで住む家を持つことが夢だった。
その夢に向かって、何かを犠牲にし、厳しい現実と向き合ってきた。
桐子は、妹に負い目を感じ、妹のために、家を持つのだとがんばってきたが、妹は、それを望んでいたのか。
百合子は、自分が犠牲になればと思ってうけいれた生活に小さな 幸せを感じるようになっていた。
幸せって何だろう?
幸せの定義が、その時その時によって違ってきてもいいのではないだろうか。
桐子は、目標があったからこそ、仕事もがんばれたし、真摯に教師という仕事に取り組んできたからこそ人徳も得ることができたのだろう。
百合子は、 毎日の生活の中に、喜びを見つけられるすばらしい人だ。
生き方も考え方も違う姉妹だけれど、力強く生きた人生がそこにあった。
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