伊予原新 新潮社 2020年10月

 

 

不愛想で手際が悪い―。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた驚きの真の姿。(『八月の銀の雪』)。子育てに自信をもてないシングルマザーが、博物館勤めの女性に聞いた深海の話。深い海の底で泳ぐ鯨に想いを馳せて…。(『海へ還る日』)。原発の下請け会社を辞め、心赴くまま一人旅をしていた辰朗は、茨城の海岸で凧揚げをする初老の男に出会う。男の父親が太平洋戦争で果たした役目とは。(『十万年の西風』)。科学の揺るぎない真実が、人知れず傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。



月まで三キロ 同じような感じの作品。

八月の銀の雪』『海へ還る日』『十万年の西風』は紹介文があるので略。

アルノーと檸檬』
住宅会社に勤める正樹は、立ち退きを要請している寿美江の家のベランダに迷いこんできたハトについて調べる。

『瑠璃を拾う』
SNSのにあげた写真が、著作権侵害にあたるから削除してくださいというコメントがあり、その写真について調べていくうち、ある人物に思いあたる。




地球の核、クジラの生態、伝書鳩、珪藻、気流・・・・・・・・

私たちには、あまり知られていない自然科学の世界を解くなかで、
人は、見かけで判断してはダメとか、故郷に帰ることを忘れないとか、さまざまなことを気づかせてくれる。

今、迷っている人達は、自然の営みから得るものがあり、それらを研究している人達と関わることで、一歩前に進むことができる。
そんな希望の持てる物語だった。



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