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 共通テスト物理の解説と評価、第3回です。

 

 では、第2問を検討していきましょう。

 

 第2問は、物体の衝突問題ですが、後半はばねがかかわる問題になっています。

 ばねで連結された2物体の運動は、筆記試験レベルでよく出題されますが、共通テストレベルで出題するのは、ヒントが与えられているとはいえ、少しレベルが高いのではないかと思われます。

 具体的な問題点は、一つ一つの問題を詳解しながら、説明していくことにしましょう。

 

 

第2問(問1)は、壁と物体の衝突で、反発係数と衝突での力学エネルギー減少を扱った、基本的な問題です。

 

 

 これは基本的な問題で、上の解説通りです。

 あまり説明はいらないでしょう。

 

 壁での衝突の反発係数の式は正しくは、e=-v'/vですが、通常は大きさだけの式e=v'/vで十分です。

 

 衝突前の運動エネルギーEと衝突後の運動エネルギーE'の差が、力学エネルギーの減少分で、これが衝突の際に発生する熱エネルギーになります。

 

[7]の答は「4」

 

 

第2問(問2)は、物体同士の衝突問題。これも、標準的な問題です。

運動量保存則と反発係数の式を連立させて、衝突後の速度を求めます。

 

 

こちらも標準問題なので、上の解説に、特別に付け加える説明はありません。

 

気をつけることは、運動量保存則の式と反発係数の式で、物体の速度の正負を変えないようにすることです。

 

[8]の答は「3」、[9]の答は「2」

 

 

第2問(問3)は、ばねで連結されたB1B2とAの衝突問題。

 

 これは、通常なら筆記試験レベルの問題で、共通テストで出題する問題ではありません。問題文に補助的な説明を加えることで、共通テストレベルでも解けるように工夫されていますが、受験生がその意図を読み取ることは難しく、受験生にとっては苦しい問題となっています。

 

 出題者は、学生の大多数がちょっとしたヒントでこの問題を解けるようになると、誤解しているようです。

 

 問題文には、「(B1とB2の合計)Bの運動量をBの質量で割った量をBの速度Vとする」とヒントが書いてあります。が、このヒントは問4以降にも関連するので、筆記レベルの試験の対策をしていない学生には、この説明では不十分です

 

 この問題のポイントは、「B1とB2をあわせてBとする」というイメージのヒントにあります。

 

 B1とB2の間にはばねkがあるので、正しくは「B1とB2とばねをあわせてBとする」が正しいのです。

 

 

 

 上の解説では、一見、Bにばねが加えられていないように見えますが、運動量の計算に関しては、ばねが自然長でも伸びていても、ばねの質量が0で関係ないのです。

 もちろん、反発係数についても同様で、ばねは関係ありません。

 

 この問題は、問題文のヒントどおりに解けば、なんとか解けます。

 上の解説では、問題文のヒントを活かした解き方にしてあります

 

・・・オマケ・・・

 

 なお、このヒントがなくても、次のように考えれば、速度V=1/2V1であることを説明できます。

 

 先程述べたように、ばねの質量は0なので、運動量の計算ではばねは関係ありません。

 問題文の「Bの運動量を2Mで割ったものを速度Vとする」ということの本当の意味は、次のようになります。

 

 B1とB2の重心Gの速度をVとすると、B1の運動量+B2の運動量=重心の運動量なので、

 MV1+0=2MV

 これより、V=V1/2となりますね。

 

 ばねが最大に縮んだとき、あるいはばねが最大に伸びたとき、AとBの速度は等しくなるのでこれをVとすると、全体の運動量はMV+MVで、これは2MVとなり、重心の運動量と一致します。

 

 この場合も、運動量保存則はMV1+0=MV+MVで、V=V1/2となります。

 

 この説明は、問4以降で役に立ちます。

 

・・・オマケ・・・(ここまで)

 

 というわけで、問3の答は次のようになります。

 この問題はヒントもあって標準レベルではありますが、筆記試験レベルの問題演習をしていない受験生には、なかなかわかりにくく、解きにくい問題でしょう。

 

[10]の答は「6」アは(c)イは(f)

 

 

第1問(問4)は、ばねで連結された複合系のエネルギーの問題。

 

 

 これは、先程解説した内容を理解していない人には、非常に解きにくいでしょう。

 

 つまり、B=B1+B2と思っている人には、Bの力学エネルギー=B1の力学エネルギー+B2の力学エネルギーと考えてしまい、間違えてしまう、ということです。

 

 共通テストレベルでヒントを与えるなら、ばねのエネルギーのことも示唆してほしかったところです。

 

 

 

 

 

 解説の[注]に書いた通りですが、問題文のヒントだけだと、ばねの存在を忘れてしまうので、BのエネルギーをB1のエネルギー+B2のエネルギーだと勘違いしてしまいます。

 

 衝突直後はばねはまだ自然長なので、このときは、Bのエネルギー=B1のエネルギー+B2のエネルギーと考えることができます。

 

 このあと、ばねが縮んだり伸びたりするようになると、Bのエネルギー=B1のエネルギー+B2のエネルギー+ばねのエネルギーとなります。

 

 これを、問題文のヒントだけで考えさせるのは、むちゃぶりですね〜。

 

 詳しくは、上の手書きの解説を御覧ください。

 

[11]の答は「6」ウは(c)エは(e)

 

 第2問は、[7]は基本、[8][9]は標準、[10]はやや難、[11]は難問ですね。

 

[10][11]は難しいだけでなく、問題を解くのにも時間がかかるので、受験生にとっては負担の大きかった出題だったのではないでしょうか。

 

 第2問は本来大学の筆記試験レベルの問題を、ヒントをつけることで共通テストレベルにした問題なんでしょうが、少し無理があったように感じました。

 

 共通テストでは、1つのテーマを掘り下げるのではなく、様々なテーマを少しずつチェックする形式が一般的でした。

 今回の第2問のように、1つのテーマを深く掘り下げるタイプの出題は、共通テストというより、各大学の筆記試験でよく見られるタイプの出題です。

 

 この第2問を検討するうちに、今年の共通テスト物理は、筆記試験の形式になっているため、問題が難化し、平均点が下がったのではないかと思いました。

 

 第3問を検討することで、そのあたりのことはより明確になると思います。

 

 

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