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 共通テスト物理の解説と評価その4です。

 第3問は熱と気体の問題。

 その難易度は、どうでしょうか。

 さっそく、見ていきましょう。

 

 

第3問A(問1)は、気体のpV図と内部エネルギー、熱、仕事についての問題。定番の問題ですね。

 

 グラフからpとVはわかりますが、内部エネルギーU=3/2・nRTはTがわからないと無理・・・と思った人は、この問題は解けませんね。

 

 状態方程式pV=nRTを用いて、内部エネルギーの式をpとVで表せます。その式は、

 

 内部エネルギーU=3/2・nRT=3/2・pV

 

です。

 

 状態Aでの内部エネルギーは3/2・10poVo、状態Bでの内部エネルギーは3/2・10po10Voですね。したがって、A→Bでの内部エネルギー変化ΔUは、

 

 ΔU=3/2・10po10Voー3/2・10poVo

 

となります。

 

 これと、熱力学第2法則ΔU=Q+W、また、仕事W=pVグラフの面積を用いると、この問題は簡単に解けます。

 

 標準問題ですが、内部エネルギーの式U=3/2・pVを知らない人には、解きようがありません。

 このことを忘れちゃっている人には、厳しい問題ですね。

 では、解説を御覧ください。

 

 

 標準的な問題ですから、この程度の解答になりますが・・・

 

 どうでしょう。

 意外に苦戦したという人もいるのではないでしょうか。

 

 熱と気体の分野は、苦手な人がけっこういますから、pVグラフが出てきただけで顔をしかめる人もいるでしょうね。

 

 とはいえ、問題のレベルは標準レベルなので、この問が正答できなかった人は学習が足りなかった、ということです。

 

 pVグラフの各経路での熱と仕事の出入りのイメージができない人には、手も足も出ない問題です。

 

 A→Bの定圧膨張では、温度が上昇して内部エネルギーが増しています。膨張して気体は外へ仕事をしますが、それ以上に大きな熱が入ってこないと内部エネルギーは増えません。ですから、A→Bでは、熱が入り、仕事が出る、ということが起きています。

 

 なぜ温度が上昇しているとわかるのか?

 

 温度の上昇下降は各点を通る等温線を引けばすぐにわかるので、やってみてください。

 

 今回は、そこまで遡って解説を書くことはしませんが、どうしてもわからないという人は、物理ネコ教室の該当記事のリンクを貼っておきますので、そちらを御覧ください。

 

物理ネコ教室034気体の法則と気体の状態変化

 

 ここまで論理的に考えられないという人でも、高校で習う基本的な状態変化では熱と仕事の出入りが逆向きであることが多いので、このことを覚えていれば、あいまいではありますが、問題にとりかかることはできます。(あくまでも、応急処置ですが)

 

[12]の答は「5」225poVo

 

 

第3問A(問2)は、まさにpV図で経路の面積から仕事を求める問題そのものです。1サイクルしたときに熱機関がする仕事の総量は、経路に囲まれた部分の面積になります。

 この例では、経路C→Aが曲線なので、面積が正確に求まりません。そこで、この経路に接する近似的な経路を2つ考え、それぞれの面積の平均値が求める仕事になる、というヒントが与えられています。

 問題を読んでみてください。

 

 

 これはもう、基本的な問題ですね。それぞれの面積を数えて平均を取るだけですから、詳しい解説はいらないでしょう。

 

 

 グラフの1マスの面積がpoVoなので、マスの数を数えれば面積がわかります。

 さすがに、この問題を間違えた人は少ないでしょうね。

 

[13]の答は「4」131/2・poVo

 

第3問A(問3)は、応用問題です。一見、標準問題に見えますが、解説を読んでもらえばわかるように、まともに手順を踏んで考えると、なかなか手ごわい問題です。

 

 

 

 この問題のアは、どうアプローチするかで、問題の難易度が激変する、悩ましい問題です。

 

【アプローチ1】各経路を検討して考える(難易度:難問レベル)

 

 まず、アのB→C→Aで放出する熱Q'ですが、これはB→Cで放出する熱QBCとC→A→で放出する熱QCAの和となります。

 つまり、Q'=QBC+QCAですね。

 

 しかし、この2つの熱QBCとQCAを、題意に応じて、QやWで表さないといけません。これがまともに計算すると、なかなか難しい。

 

 QはA→Bで吸収する熱QABのことですからまだわかりやすいのですが、Wは1サイクルでの正味の仕事です。

 

 基本通りに考えるなら、WはA→Bで気体が外へした仕事WABから、C→Aで気体が外からされた仕事WCAの差となります。(B→Cでは、気体は仕事をしない)

 つまり、W=WABーWCAです。

 

 このように本格的に求めると、下の解説の通りになって、非常にたいへんです。

 このアプローチで考えた人は、たいへんな労力と知恵を使ったことでしょう。

 

 

上の計算により、アはQ'=QーWとなります。

 

→アはQーW

 

 次のイでは、熱効率eをQやWで表す問題ですが、これは基本的な問題です。

 教科書で習った通り、e=W/Qとなりますね。

 

→イはW/Q

 

[14]の答は「3」アはQーWイはW/Q

 

 さて、このままでは、この問3は超難問のままで終わってしまうので、もう一つのアプローチを紹介しておきます。

 

 こちらのアプローチで考えれば、この問題は、むしろ超カンタンな、基本レベルになるのです。

 

【アプローチ2】熱機関の基本に戻って考える(難易度:基本レベル)

 

 このアの問題は、経路ごとの計算に深入りせず、熱機関の基本的な考え方を用いることで、簡単な発想で答えることができます。(おそらく、出題者はこちらのアプローチを意識して作成したのだと推測されますが、問1と問2が「物理」の内容、問3が「物理基礎」の内容でよりカンタンになっていることに受験生は気づかず、難しいアプローチをしたのではないかと思われます)

 

 熱機関の基本は、高熱源からQの熱を得て、低熱源にQ'の熱を捨て、その差QーQ'に等しい仕事Wをすることです。つまり、Q-Q'=Wですね。

 

 これから考えれば、Q'=QーWとなります。

 

 どうです?

 カンタンでしょう?

 

→アはQーW

 

 イについては、解説と同様にe=W/Qですね。

 

→イはW/Q

 

[14]の答は「3」アはQーWイはW/Q

 

 アプローチによって激ムズ問題になったり、基本問題になったりするというのは、いかにも共通テストっぽい問題ですが、受験生にはそういう発想の点で、難しい出題だったのではないかと思います。

 

 この基本的な考え方で解かせたいのなら、問3の問題文中に、もう少し明確なヒントを与えてほしかったところですね。

 

 では、今回はここまで。

 

 

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