放送大学20231日目その3 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 1日目のその3。

 電磁気の続きです。

 

 

 2人1組になり、それぞれのコイルを組み合わせ、電流間に働く力を実験します。

 1つ目のコイルの電流が回りに作る磁場から、2つ目のコイルの電流がフレミングの力を受けることで、電流同士が力を及ぼし合う結果になります。

 同じ向きの電流同士、逆向きの電流同士に働く力をまず、実験により確認し、それを、右ねじの法則と左手の法則で理論通りになっているかどうかを調べます。

 定番の実験ですが、ここでこの実験をする意味は別にあります。

 2日目の講座のテーマ、現代物理学への橋渡しとして、この実験が重要な意味を持つからです。

 

 

 画面はありませんが、電流間の力の実験は、巨大コイルを用いて演示実験も。

 この場合は、交流100Vを使います。

 コイルをどう持てば、同じ向きの電流、逆向きの電流の実験ができるかを、受講生のみなさんにその場で考えてもらいました。活発に意見が出て、正解も。

 この演示実験は、例年用意しているのですが、時間の関係で割愛することが多かったもの。今年は実験することができました。

 

 

 さて、ここで、この講座における、電流間の力の実験の意味を紹介。

 通常は、先程述べたように、2つ目の画面のように、電流間の力は19世紀までは磁場を介して理解していました。

 電流はイオンの動きとも考えられるため、動く電荷もまた、電流のように磁場から力を受けるでしょう。それが、ローレンツ力と呼ばれる力です。正電荷の移動を電流と考えれば(負電荷の場合は移動方向と逆向きに電流が流れると考える)、電荷の受ける力もフレミングの左手の法則で示せます。また、導線内の自由電子が磁場からうけるローレンツ力を合計することで、フレミングの力になることを示すこともできます。

 

 しかし、本当に、こういう解釈でよいのでしょうか?

 実験結果だけ見ると、そこには磁石はなく、電流があるだけです。

 本当に、磁場を考える必要があるのか。

 もっというなら、動く電荷が磁場からローレンツ力を受けるのはなぜなのか?

 

 19世紀のマクスウェルの電磁方程式の完成で、電磁気の謎はすべて解けたかのように思われましたが、本質的なところでは、謎が残っていました。その謎にチャレンジしたのが、アインシュタイン。その話は、2日目にすることとします。

 

 

 クリップモーターは、今は教科書にも載るようになった教材。初出は『いきいき物理わくわく実験』です。

 この装置はそれをそのまま大型化したもの。

 クリップモーターは作るのが意外に難しいので、演示実験としました。

 両方とも皮膜を取った場合は、回転が持続しないのですが、話だけより実際にどうなるのかを見せた方がよいと判断し、今年はそれを作成して演示実験として見てもらいました。

 

 

 

 受講者が自分で作るモーターとしては、このファラデーモーターがもっとも簡単。

 余分な配線もいりません。

 一つだけ問題なのは、今100円ショップで売っているアルミ線は、一見裸線に見えてじつは皮膜されている、ということ。電気の導通がありません。以前は皮膜されていなかったのですが・・・

 念のため確認で作ってみると、まったく動きません。どうも「ホビー用」と書いてあるものは、どれも皮膜されているようです。

 包装を見ると「電気作業には使えない」との表示が。

 結局、あちこち探し回った挙げ句、ホームセンターの業者用の導線コーナーで、裸アルミ線を見つけて、手に入れました。(ホームセンターにもホビー用が並んで売られていたので、注意が必要です)

 全員、うまく回りましたので、これは苦労して材料を手に入れたかいがありました。

 

 なぜこれをファラデーモーターというかというと、ファラデーが作った初めての直流モーターと同じ原理だからです。ファラデーは水銀の中に磁石を置き、上から吊るした導線の棒を磁石の回りでくるくると回すモーターを作りました。

 この装置は、ファラデーの師匠にあたるデービーのところに遊びに来た物理学者が「こういうことができるのではないか」と雑談していたのを、ファラデーが聞き止め、それを独自に開発して、発表してしまったものです。

 ファラデーは他意はなかったのでしょうが、デービーは友人の研究を盗み、勝手に発表したと激怒。これ以来、なにかにつけて二人の関係は悪化していきます。

 

 

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