人類絶滅後の地球はどうなるか〜これ、科学? | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 森羅万象、なんでも扱う質問リレーの【これ、物理?】ですが、今回は3年理系のノートから。

 

【TTくんの質問】

 もし人類が絶滅したら、絶滅した後の地球はどうなるか?

 

 この質問は、ときどき登場しますが、答える方は大変ですね。手持ちの絵の中に、これに合う絵がなかったのですが・・・ふと、似たようなテーマを扱った、ぼくのオリジナルマンガ『夏の王国』(未発表)のことを思いだし、ほどよい内容の絵を2コマほど切りとってきました。

 

 こちらは人類絶滅という世界設定ではないのですが、まあそこそこ似た状況が描かれたマンガなので、今回のテーマにはぴったりかな、と。

 

 このテーマをまるまる1冊扱った『人類が消えた世界』という本(アラン・ワイズマン著/ハヤカワノンフィクション文庫2009年発行)もあります。

 これはすごく詳しくいろんなことを調べてありますが、たぶん、【○○はどうした?】と、突っ込める本でもあります。それほど、このテーマを考える選択肢は多岐にわたっている、ということなんでしょうね。

 

 さて、アナタなら、どんな風に答えますか?

 

 例によって、文章は原文の意味が通じる程度に、すっきりさせてあります。

 

【RTくんの回答】

 

 まず人類が絶滅するといっても、様々な要因が考えられ、それぞれ、その後の地球の様子は変わってくると思う。なので、場合分けして考えていく。(どの場合にしろ、人だけが消えることはないと思うが)

 

 1つめのケースでは、核戦争でとんでもない爆弾が爆発したり、超巨大隕石の衝突や想像もつかない大きな地震が起こり、人間は無論のこと、他の生物もみな死んでしまう。地球自体が大きなダメージを受けて形だけが残り、そのへんのありふれた星に紛れてしまうだろう。

 

 もしかしたら、何億、何兆、何京年経った後、奇跡的にもう一度、生命が誕生して、第2の地球が生まれるかもしれない。(形が残らないほどコナゴナになった場合は、地球がどうなるかという議論は成立しなくなる)

 

 2つめのケースでは、地球自体はなんともなくて、世界的にとてもやばい死に至る病気が蔓延して人類全員が死ぬ場合である。これは、人以外のなんらかの生物は地球で生き続けられる場合である。

 

 人がいなくなってしばらくすると、他の生物の数が増えていくと思う。それは、自然をないがしろにする存在=人間がいなくなるので、他生物の活動場所が拡がり、生き物にとってより生きやすい環境になるはずだからである。

 

 今はコンクリートで占められている場所も、長い年月がたてば植物に被われるだろう。

 

 しかし、逆に生きづらくなる生物もいると思う。

 

 現在、人間の生活に依存しているゴキブリなどの生物は、人がいなくなると生きる術を失うと思う。

 

 また、植物、動物が増えるという変化の一方で、人間が作り出した物で、残り続けるものもあるだろう。

 

 原子力発電で生まれた放射性物質(ひろじ註:放射性廃棄物のことだと思われる)は、放射能をばらまき続けるだろう。酸化や風化されにくい人工の素材でできた物質や、地球全体に張り巡らせた電磁波などは、人がいなくなっても、しばらくの間残り続けて、自然にとってじゃまな存在になると思う。

 

 結論としては、人間がいなくなって、他の生物は生きているという状況なら、長い時間をかければ、多くの生物にとって、よい世界になる。

 

 

【ひろじのつぶやき】

 この質問に対する回答は、答える人のセンスや知識量で、千差万別。RTくんは、なかなか博識ではないかと思います。一人でここまでこの問題を展開できるのはなかなかですね。

 

 RTくんが言及しなかった要素は、もちろん、まだまだたくさんあります。一件だけ、その一つを紹介しておきます。

 

 さきほど紹介した『人類が消えた世界』では、ワイズマンが誕生してそれほど経っていないプラスチックの未来を憂えています。

 

 1855年のアメリカの化学者パークスによって史上初の人工プラスチックらしきものが作られ、1869年にアメリカの発明家ハイアットがパークスの方法を改良してセルロイドを作成。そして、1909年に、ベルギー生まれのアメリカの化学者ベークライトが、本格的なプラスチック(合成樹脂)のベークライトを発明し、プラスチック時代に突入します。

 (アシモフの『科学と発見の年表』(丸善)を参照)

 

 プラスチックが生まれて、まだ100年ちょっとしか経っていないんですね。

 

 プラスチックの非分解性は、今、環境問題の大きな問題点になっています。生分解プラスチックなども開発されていますが、この100年間に生産されたほとんどのプラスチックは、朽ちることなく、風化されて細かい破片となり、生態系に影響を及ぼしているでしょう。

 

 プラスチックのことだけ書きましたが、このようなテーマの質問リレーでは、複合的な要素のどこに目をつけるかで論点がかなり変わります。

 

 何度も書いていますが、質問リレーは【正解を得る】ためにやるものではありません。

 

 科学にとって一番大切な素養=【疑問を持つこと】、を鍛えるための遊びです。

 

 知識は知識として大切なのですが、科学にとってもっとも大切なのは、まさに【疑問に思うこころ】です。

 

 こけつ、まろびつしながら、実験によって宇宙と対話しながら進む学問が、科学ですね。

 

 

 

 

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