今回は久々に最初から最後まで、通して参加することができました。
例によって、内容の一通りの紹介は愛知物理サークルウェブサイトの例会報告におまかせすることにして、ここでは、ぼくが興味を惹かれたものを中心に、つまみ食い的に紹介させていただきます。
画像はありませんが、この日、最初に報告があったのは、ガーナで3週間ほどスギさんといっしょだった方の、ガーナの理科教育の現状の報告。
わりと辛辣な話もありましたが、文化が根本的に違う国。スギさん、たいへんそうです。
イギリスの植民地時代の鉄道は今や廃墟と化しているそうです。
理科教育も、先生が実験なしで雄弁をふるい、それを生徒が復唱する世界。(以前、ファインマンがブラジルに行ったとき、物理教育についてコメントした話にすごく似ていました。やはり物理のいろいろな法則を学生が復唱できることが大切だったのですが、ファインマンがそれについて、具体的な例を示してどうなるかを聞くと、だれも答えられない。唯一答えられた学生がいたので、こういう復唱式の教育でも、ちゃんと真実を見抜く学生が育つのですねと、ファインマンが話すと、その学生が「ぼくはアメリカで教育を受けました」と答えたというオチまでついていました)
ガーナの人たちは現状に満足しているので、なかなか科学教育の改革は難しいのでは、というお話でした。
現状を打破するのにどうするか、という話もありました。商売に関連づけるしかないんじゃないかとか、一番上で教育制度を決めているところに講義した方がいいのではないか、など。
ぼくは、ファインマン方式の方が効果があると思いますが・・・
さて、次は、スギさん絡みで・・・
終わりがけに駆けつけた成相さんの紹介した、物理のゲームアプリの話。
昔、スギさんが作った「物理アドベンチャーゲームブック」の第1作を、成相さんが時間をかけてスマホのアプリ化したという話。すごいなあ。
美しい絵もつけて、それっぽいアプリになっています。
無料ですので、Google Playで検索してみて下さい。黒板にあるように、英語で登録されているので気をつけて下さい。ぼくもダウンロードしてやってみました。面白いよ。
アンドロイド版のみの対応になっているので、iPhoneでは使えません。
スギさんのアドベンチャーゲームの影響を受け、ぼくもこのブログにアドベンチャーゲーム「ガリレオ島の秘宝」を載せています。そこに出てくる「山猫団」は、スギさんがアドベンチャーゲームの何作目かで登場させた、スギさんオリジナルの秘密結社(ガリレオの「山猫学会」にちなんだ名称)なのですが、本人の了承を得て、ぼくの「ガリレオ島の秘宝」でもその名称を使わせていただきました。(結社の目的は違うのですが)
さて、つぎは、前田さんのこれ。
大きな四角い磁石の上でコイルをスライドさせ、電磁誘導で流れる誘導電流を発光ダイオードで確認するというもの。センター試験でよく出題される問題ですが、こうすると磁場に入るときと出るときで、逆向きの誘導電流になるのがよくわかります。
前田さんは電流の向きの違いを発光ダイオードの色で区別したり、位置で区別したりと、いろいろなバージョンを持ってきてくれましたが、色で区別するのは、赤緑色盲の男子にはキビシイので、ぼくはだんぜん、位置で区別するのがお薦めですね。
でも、前田さんの持ってきたもので、騒然となったのがこちらの実験。
タイミングが悪くて、装置を解体してしまったあとの写真になってしまいました。左のバネにも磁石の重りがぶら下がり、右と左でまったく同じ装置になります。
コイルをつけると、誘導電流の向きも見られる装置。
でも、騒然となった理由はそれではありません。
コイルなしで、磁石をバネに吊して振動させると、片方の振動がもう片方に伝わり、そちらも連動して揺れます。
前田さんは、机面が二つの振動を連携している力の伝達場所になっているといったのですが、それが物議を呼びました。
それを明らかにすべく、つぎつぎと新しい実験の提案がなされました。
磁石をただの重りにしたらどうだとの発案で行った実験。これは連動があまり見られませんでしたが、そもそもバネと重りで決まる周期が、二つともほぼ同じにできているかどうかがあやしいと、他の実験も追加することに。
井階さんが「片方のスタンドを、違う机の上に置いてみましょう」と提案し、さきの磁石を用いたバネ振り子にもどしましたが、やはり連動します。
だれかが「じゃあ、磁力かどうか試すために、二つのスタンドをもっと遠ざけてみよう」と提案し、それも行われましたが、遠ざけると連動しません。
やはり磁力だ、いや、距離の問題だと議論が続きましたが、ぼくも一言。
距離を同じままにして、スタンドをもう一度、同じ机の上に戻す。それで振り子が連動するなら、前田さんのいうとおり、机の面が力の伝達をしていることが証明できます。
やってみたら・・・
連動しませんでした。
やはり、磁力による相互作用が力の伝達を行っていたようです。
こちらは、石川さんがもってきた歳差運動のモデル装置。なかなか名人芸的な作りでしたが、石川さんの問題提起は、歳差運動の理論解析では、だいたい支点の周りの力のモーメントを用いるが、重心の周りで行うべきかどうかというもの。
プリントは難しい数式が並んでいますので、ここでは割愛します。
より詳しい話が知りたい方は、愛知物理サークルのウェブサイトでの例会報告をお待ち下さい。
こちらは、最近、科学教育の古書研究者的存在感を発揮している鈴木久さんの発表。
いろいろとさしさわりがありそうなので、具体的な内容については詳しくは書きませんが、仮説実験授業と科教協(科学教育研究協議会)の、あまり知られていない関係を紹介。生き字引のような飯田さんが「じつはこうでああで」と当時の状況を詳しく話してくれて、非常に興味深かったです。(たぶんウェブサイトの例会報告を書く佐野さんも、どう書くか苦労するでしょうね)
こちらは、昔の子ども向けの月刊雑誌(?)の一つ。著者名が書いてないけれど、仮説の板倉さんの実質的なデビュー作らしいとのこと。科学史を扱った本らしいです。
こちらは、山本さんが「前回の(ひろじの)反磁性の実験を、糸を吊す形でできないかやってみた」というもの。最初は普通の糸を使っていたためうまく行かなかったのですが、会場校にあったテグス糸に変えてみたら、うまく行きました。
トマトの反磁性・・・というより、トマトに含まれている水の反磁性。磁石を近づけると反発します。
つぎはネギ。これもネギの水分が反応しているとか。
乾いたネギを対照実験としてやって、比べる必要がありそうです。
炭素は反磁性で、ぼくが前回やった実験でも、2Bのシャー芯なら、炭素の密度が高く、見事に反磁性を示してくれます。
備長炭も炭素密度が高いから反応するのでは・・・
弱いですが、たしかに、反発するのが見られます。
ラストは、こちら。林ヒロさんの霧箱。今回は、横から覗けるようにしてくれました。
宇宙線のシャワーが見られます。
こちらは・・・冒頭の写真です。
霧箱の上に、とあるものを乗せたら、β線が放射されるのが見えました。よい放射線源として使えそうです。
これは、とあるメーカーがだしている食塩。
健康上の理由であまりとりすぎないようにしようといわれる「塩分」塩化ナトリウムを減らすため、塩化カリウムをまぜた「やさしお」です。
カリウムは放射性同位体が0.12%ほど混じっていますので、カリウムを大量に使えば、当然、放射性同位体のカリウムの量も増えます。
この「やさしお」は塩化ナトリウムと塩化カリウムが半々くらいだそうですので、けっこう大量の塩化カリウムが入っていて、当然、放射性同位体のカリウムの量も多くなります。
そこから出てくるβ線の軌跡を霧箱で見られないかという実験でしたが、きれいに見えていますね。林ヒロさんの霧箱の性能は、本当にたいしたものです。
誤解しないでいただきたいのは、「やさしお」が放射線を出す危険な食品である、といっているのではないということです。
そもそも自然界には、カリウムのように放射性同位体を持っている原子がたくさんあり、その放射線はぼくたちの身の回りをふつうに飛び交っています。
ぼくたちの体内にもカリウムが含まれていて、その一部は放射性同位体ですから、放射線はぼくたちの体からも出ています。
建物の壁を作っているコンクリートからも、放射線は出ています。
例えば、毎日ぼくらが吸ったり吐いたりしている空気の中には二酸化炭素が混じっていますが、炭素にも放射性同位体があり、やはりβ崩壊し、放射線を出しています。
食品にガンマ線照射をするのは、ある種の食品では日常的に行われていることですが、ぼくたちはそれらの食品を口にするとき、放射能のことを気にしませんよね。
放射能に関しては、闇雲に怖がって風評被害を起こす人(おもに一般の人やマスコミの人)もいれば、危険性を低く見積もって大きな被害を出す人(おもにお役人や関係会社の人)もいます。
さて、画像はありませんが、ぼくは『いきいき物理マンガで冒険』の裏話を数分間だけ、紹介しました。1月に『冒険』『実験』のことを研究会で報告するので、その前哨戦というわけです。そのときは1時間半講義、30分質疑応答ということなので、少し資料を作らなくちゃなと思っています。
参加者の中で、小学生のお子さんもいたのですが、見本の『冒険』を読みふけってくれて、最後に購入していただきました。『実験』より『冒険』の方が面白く感じていただいたようで、嬉しかったですね。
そうそう、ひとつ書き忘れ。
次回から、しばらくの間、会場校が明和高校から向陽高校に変更になります。
会場責任者は井階さんから成相さんにバトンタッチ。
まだ次の日程は決まっていませんが、たぶん2月の半ば頃になると思います。
決定次第、このブログでも紹介しますね。
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