『いきいき物理マンガで実験』で、久しぶりに復活した「電気パン」の実験ですが、そのルーツを物理サークル通信DVD完全復刻版からお届けします。
1983年2月発行のサークル通信に「なつかしの電気パン」として記録されています。発表者は林ヒロさん。
記事を読むと、ドライイーストも使っていて、本格的。電流が流れやすいようにと食塩も入れてあり、味つけに砂糖も。
『いきいき物理マンガで実験』でも取り上げたことから、先日たまたま、小3の娘と電気パンの話題になりました。
「えっ、電気パン? 食べるとびりびりくるの?」
「いやあ、そうじゃなくて、電流でパンを焼くだけで、食べるときは電気は通ってないよ」
「あーっ、じゃ、電気の熱で焼くんだね」
あれ? 電気の熱で焼くって・・・どこからその知識を仕入れたんだろう・・・小3、あなどりがたし・・・
その通り、電流のジュール熱で焼きます。ジュールはイギリスの醸造家の跡継ぎで、趣味で物理の研究をした、いわばアマチュア物理愛好家。それが熱と力学エネルギー(当時はエネルギーという言葉は一般的ではなく、「力」と混同されていた)が変換されること、電気エネルギーと熱が変換されることを実験的に証明し、後のエネルギー保存則につながる大発見をしたのですから、スゴイ。
さて、記事に戻ると・・・電極はアルミホイルを使っています。
アルミホイルは実験後薄くなってしまうので、二三重に折りたたんだものを使いますが、この記事にはその記述はないですね。
『いきいき物理わくわく実験』の実験と違って、イースト菌の発酵も利用しているので、作るのに時間をかけていますが、できあがりは美味しいでしょうね。
器はなんと、トーフのパック。
後に、ホットケーキミックスなど、重曹の入った粉を使うようになり、ドライイーストは使われなくなりました。重曹を用いることで、電流のキャリアに食塩を使う必要がなくなりますし、パンをふっくらさせるためのイースト発酵もいらなくなります。
重曹、偉大!
容器も牛乳パックに変わり、電極はステンレス板に変更。
以降の展開は、記事「電気パンふたたび」や『いきいき物理マンガで実験』の解説に書いた通りです。(『いきいき物理マンガで実験』アマゾンへのリンクは下に)
この記事の掲載されているページには、他にこんな記事も載っています。
ゴムホーストランペット、音速測定、静電メーターの記事。幅広いです。
こうしてみると、電気パンの実験は、最初の発表時から、基本的な要素が変わっていないことがわかります。
面白いなあ・・・
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