『いきいき物理わくわく実験』とぼく | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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マンガ・イラスト&科学の世界へようこそ。

 

 いま取りかかっている作業の関係で、『いきいき物理わくわく実験』など、昔関わった本をよく手に取ります。

 

 『いきいき物理わくわく実験』(新生出版)の初版が出版されたのが、1998年5月。

 

 当初は続刊を出す計画はなく、第1巻に「1」と書かれていません。

 

 一番最初に大きなイラストを配置して、そこで実験のあらましを伝え、以下、解説文と説明イラストをつけるという基本的な構成案は、ぼくが提案しました。それまで出版された理科の実験書というものを見たことがなかったのが、よかったのかもしれません。

 

 新生出版の社長のM氏は「そんな形式の本は出したことがない」と、ぼくたちの構成案に渋い顔。そのときに見せてもらった新生出版などの理科実験書は、最初に大文字でタイトル、次に本文、そして本文の流れに合わせて説明図、という流れが基本でした。

 

 M氏をサークルの面々が取り囲んで、説得工作(笑)が始まりました。このとき、強さを発揮したのが、岐阜物理サークルのOさんとNさん。

「ベストセラーにしたくないんですか!」てな感じで、大説得。こういう機微のある交渉事は、愛知の面々は苦手。ぼくは「岐阜の人はすごいなあ〜」と感心するばかりでした。

 

 一方、マスコミ対策は、愛知の三井さん(故人)が得意で、手を打ってくれました。(しかし、それでマスコミ対応せざるを得なかったのが、「レンガ割り」実験を書いたぼくでした。サークルとしてはすごくありがたかったのですが、ぼく個人では苦い思い出も半分くらい、ですね)

 

 いろいろあって、新聞等の取材も功を奏したのか、この『いきいき物理わくわく実験」は、理科の実験書としては、異例のヒットになりました。

 

 ちょっとだけ、表に出ていないトリビアを描くと、すべての実験の冒頭イラストには、執筆者の描いた元の絵にない実験も、かなりの割合で描かれています。

 

 これは、ぼくが行った実験を追加したものです。原案の絵より、内容豊富になっているんですね。これは意図的に行いました。その方が、同じ実験をより広く、深く楽しめるからです。

 また、イラストを描いていて、執筆者の単純ミスや、本文の計算ミスに気づき、それを直す作業も行っています。本文を読まないとイラストとの整合性がとれないからです。

 この2点は、他のイラストレーターの方には不可能な作業でしょうね。

 

 ちなみに、表紙にはボクの絵が使われていますが、実際にデザインしたのはプロのデザイナーの方。すごくインパクトのある表紙にしてくれました。

 桾沢清次郎という方で、新生出版の表紙デザインをよくやられていたらしいのですが、残念ながら面識はありません。

 

 この本のヒットの後、新生出版から出る理科実験書はどれもこれも『いきいき物理わくわく実験』と同じ構成になりました。・・・社長、変わり身早っ!

 

 本の出版と前後して、ぼく自身も、新聞等の取材を受けたり、地元のラジオ番組に出演したりと、めまぐるしい日々を送りました。(まさかそれから何年も経って、TV番組に呼ばれるとは思いませんでしたが)

 

 

 

 こちらが、新生出版が廃業した後、日本評論社から出版された『いきいき物理わくわく実験』第1・2巻の改訂版と、第3巻。

 3巻の表紙だけ違うのは、1/2巻の表紙が高尚すぎて教科書のようなので、新生出版みたいな楽しい感じにしてほしいと、サークルの人たちが希望した結果です。

 

 改訂版を作るに当たって、時代に合わせて実験内容の変更がなされたため、実験イラストを新しく描き起こす作業が、予想以上にたくさんありました。

 

 これまた、たいへんでしたね。

 

 この改訂作業のとき、ぼくは編集会議にはほとんど参加できず、イラストばかり描いていました。もちろん、実験の実物はサークルなどで見ていますので、イラストはその上で描いています。

 

 第3巻も、ハードスケジュールでした。

 

 が、この第3巻のイラストは肉筆原稿でなく、描いた絵をスキャナーで取り込んで、マンガ用のソフトで加工するという方法を採用し、出版社ともイラストデータをデータ預かりのストレージサービスサイトを通じてやりとりしました。

 

 また、当時活用していたmixiのコミュニティ「みゃあみゃあサイエンス」で、編集委員の人たちと意見交換をしながらイラスト描きができたので、1/2巻のときとは違って、イラスト作業にかかる余分な手間が少なくなりました。

 

 おかげで、ストレスなく作業が進め、出版予定に間に合わせることができました。

 

 ネットのさまざまな進歩がなければ、第3巻の出版はもっと遅れていたと思われます。

 

 

 こちらは新生出版の『のらねこの挑戦』と明石書店の『授業づくりで変える高校の教室4理科』。

 『のらねこの挑戦』は、岐阜物理サークルの本ですが、依頼があって、イラストを描きました。表紙の絵はボクのイラストを組み合わせて作られています。岐阜の人の依頼は『いきいき物理わくわく実験』の時と違って、イラストの枚数も少なく、執筆時間もたっぷりいただけたので、苦労はありませんでした(笑)・・・さすが、岐阜! 愛知と違って、スケジュール管理がしっかりしています。

 

 『授業づくり・・・』は、川勝博氏からの呼びかけて参加した本。ぼくを含め3人の授業実践がまとめられています。

 この本のために、新しいイラストを3枚描きましたが、執筆のほとんどは文章。

 

 これらの本は、新生出版の本を除けば、アマゾン等で手に入れることができます。

 

 

 こちらは『愛知物理サークル通信復刻完全版DVD』です。1967年から2003年までの手書きのサークルニュースが失われるのを防ぐため、デジタルデータとして修復してまとめたもの。(これ以降のサークルニュースは、新しい執筆者により、すべてデジタルデータとなっているので、収録していません)

 

 『いきいき物理わくわく実験』シリーズの実験の原型は、ほとんどすべてこの通信に載っています。

 古い記事に紹介されている実験や記事は興味深いものが多く、どこかで「お蔵だし」した方がいいかもしれないなと感じています。

 機会があれば、この「ミオくんと科探隊」サイトで紹介していきますね。

 

 今年、新しい挑戦をしようと思っていますので、いままでの総ざらえという感じで、まとめを描いておく必要があるかなと・・・刹那的にまとめてみました。

 

 では、また。

 

 

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