スライムをつくる | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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スライム7
 

 なにかのひょうしで、5つになるこどもが「スライムほしい」といいだし、ワイフが「買うより、作った方がオモシロイよ。お父さんにお願いしたら?」

 ・・・というわけで・・・

 夏休みも近いので、スライムの作り方と、それにまつわるおハナシを。

 スライムは、不思議な性質を持っており、台にぶつければボールのように弾み、手に乗せて放置すれば、じょじょに流れ落ちていきます。あるときは固体、あるときは液体のようにふるまう謎物体、それがスライムです。

 ここで自作するものは、市販のスライムとは、性質は似ているものの、材料はまったく同じではありません。たぶん。

 作り方も、量などいろいろな説があるのですが、長らくいろいろな場面で授業やクラブ、イベントなどで作ってきましたので、そちらを紹介します。以前、授業で使ったプリントをもとにして、まとめておきます。


 

 

 

スライム1
 

【材料1】「洗濯のり」とありますが、これは市販の合成洗濯のりを使います。「PVA(ポリビニルアルコール)」と表示のあるもの。他の洗濯のりでは作れません。安く手に入ります。
【材料2】水。これは水道水でかまいません。量は、イラストには洗濯のり100に対して水100~200と書かれていますが、最初は水100くらいで作るといいでしょう。水の量を増やすほど、やわらかいスライムになります。
【道具】ビーカー300ml程度(なければ、100円ショップで束で売っているプラスチックコップでかまいません)。ガラス棒(なければ、割り箸を割った棒でオッケー。使い捨てになりますが)。

 

 

 

スライム2
 

【材料3】ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)。これは、ドラッグストアで手に入ります。もともとは、目を洗う薬品として使われるもの。ちょっと遊ぶには少量でいいんですが、薬局では500グラムくらいの箱で売っています。箱で買っても、そんなに高価なものではありませんが。
 飽和溶液を作るんですが、これは水100mlにホウ砂を薬さじもしくはスプーンで入れて、ガラス棒か割り箸でかき混ぜ、図にあるようにいくらかき回しても粉が溶け切らなくなればいい。温度によって飽和する量が違いますので、適当に入れて粉が残ったらできあがり、と考えてください。
【材料4】食紅。これは、ホンの少量で十分な色がつきます。入れすぎると毒々しいくらい濃い色になりますので要注意。薬局では小さなビンで売っている場合と、スティックシュガーのようにビニールの細長い袋に小分けしたものを売っている場合があります。小分けした袋売りしているもので十分あまりますから、それを購入してください。100円程度の金額で手に入ります。食紅は、PVAの液、ホウ砂の液どちらに入れてもいいのですが、いろんな色のスライムを一度に作りたいときは、PVAの液にいろんな色をつけておき、ホウ砂の液は透明なまま、共通に使った方がいいですね。
【道具】薬さじ(なければ、スプーン)。

 

 

 

スライム3
 

【道具】スポイト。(なければ、ホウ砂の入った器を直接斜めに傾けて、液を入れてもいいのですが、少しずつ入れたいので、落ち着いて入れてください。ホウ砂液を入れる人と、かき混ぜる人、役割分担するとうまくいきます)
【作り方】ホウ砂の飽和溶液をPVAを薄めた液に少しずつ加えながら、ガラス棒をゆっくりかき混ぜます。反応が起きて、どろりとした固まりがガラス棒にまとわりついてきます。だんだんガラス棒が重く、回しにくくなりますが、あわてずにかき混ぜ続けてください。ビーカーの中身が全部スライム化するまでホウ砂飽和溶液を加えていきます。

 

 

 

スライム4
 

 固まりをビーカーから取り出して手にもち、水道の水を上から流して、反応で余った液を洗い落とします。あまり念入りに洗うと、スライムが水を含んでどんどんゆるくなっていきますから、さっと流す程度でやめましょう。
 両手でスライムはさんでころころとしていると、やがて表面の水分が抜けて、扱いやすい状態になります。

 

 

 

スライム5
 

【実験】スライムは、急激なショックを与えると固体のように割れたり、弾性体のように弾んだりします。ところが、長い時間をかけると、液体のように流動します。これは、じつは、地球のマントルが岩でありながら、長い時間をかけて対流するという、地球内部のマントル対流モデルを説明する実験になるんですね。
 硬い岩石が流れる、というのは、常識では信じがたいんですが、スライムを見せることで、そういうことがありうるのだと実感することができます。
 スライムの上に石を置くと、じわじわと沈んでいくのを観察できます。ビー玉でもいいですね。

 

 

 

スライム6
 


【実験】スライムの上に別のスライムを置くと・・・これまたじわじわと混ざり、一体化していきます。液体が混ざり合う様子を、ゆっくり時間を引き延ばして見ることができます。スライムの中にピンポン球を埋め込むと、石とは逆に、じわじわと浮いてくるのを観察できます。スライムを両手でもって延ばすと、ぐにゃぐにゃと伸びていきますが、急激に引っ張ると、プチンと、消しゴムが割れるように、切れます。

 PVA+ホウ砂で作られるスライムは、高分子のゆるやかなネット構造をしていると予想されます。そのネットが、水を抱え込んで、スライムの硬さが決まるのでしょう。スライムをビーカーなどに放置しておくと、水分が徐々に蒸発して、だんだん硬くなってきます。この時点なら、水を加えてしばらく置いておくとまた緩やかなスライムに戻ります。水分が抜けると、最後にはぺらぺらのプラスチック板のようになります。こうなると、もう元には戻りません。

 ここで、注意!!!

【注意】スライムは、繊維状のものと親和性が強いので、大事なプリントや、衣服に接触しないように気をつける必要があります。紙の上に乗せてスライムを持ち上げると、なんと、接触部分の紙がびりびりと破れてスライムにくっついてきます。衣服についたスライムを取るのは至難の業。畳や絨毯にも接触させないようにしましょう。スライムで遊ぶときは、つるつるした表面の台の上でやりましょう。イベントで作って配るときには、ビニール袋に入れて渡せばいいですが、衣服などにつけないようにすることを必ず注意してください!!!・・・なお、スライムは一言で言えば、水を抱え込んだプラスチック。もちろん、食べられませんので、食べてはいけません。

 

 
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