宇宙へ・・・ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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ロケット
 

 

あかね「こんにちわァ!」
ひろじ「こんにちは。久しぶりだね」
あかね「とっぴが珍しく本に夢中になってて、科探隊はひとやすみしてたの。とっぴがいないと、なんだかみんなやる気が起きなくて」
ひろじ「なるほど、とっぴくんは、科探隊のムードメーカーなんだね。たしかに好奇心旺盛で、質問魔だし。それにしても、読書とは珍しいね。科学の本?」
あかね「うーん、科学というか・・・それが、SF小説なの。ええと、なんだっけ・・・」
ろだん「ハイペリオンに、エンディミオン。ぶっとい本だぜ。図書館で借りて読んでたよ」
ひろじ「ああ、それならぼくも読んだことがあるよ。壮大で面白いSF小説だ。たしか、ダン・シモンズの4部作だね。それにしても、とっぴくんがSF小説を読むとは意外だな」
むんく「とっぴ、ドラえもんが好きだから・・・」
ろだん「・・・?」
ひろじ「ああ、なるほど。どこでもドア、か」
あかね「え、なんのこと?」
ひろじ「ほら、とっぴくんが来るよ。直接聞いてみたら?」
とっぴ「やほ~、お久しぶり」
あかね「ね、どこでもドアって、なんのこと? 今読んでる本と関係あるの」
とっぴ「あー、あれか。転移ゲート。うん、どこでもドアだね」
ろだん「何がどう、どこでもドアなんだよ」
とっぴ「まえに天文対話を読んで、読書に目覚めたんだ。夏休みに何か読もうと思って、図書館の本棚とにらめっこしてたら、通りかかった人がドラえもんみたいな道具がいっぱい出てくる本があるって教えてくれたんだ。宇宙のいたるところにどこでもドアがあって、ほいほいと星と星の間を行き来できる世界の話だよ。空飛ぶ絨毯に、人造人間、超光速通信・・・」
ひろじ「まさに、SFの小道具大道具がてんこもりの冒険小説だね。科学的な視点でいうと、ぼくは人工知能についての考察がすぐれていると思う。複雑系の科学をよく勉強しているなと感じたよ。それに、エンディミオンに登場するヒロインが素敵だしね」
あかね「ふうーん、ヒ・ロ・イ・ン、ね」
とっぴ「じゃなくてさ、よむほどに疑問が湧いてきて、楽しかったんだ。ほら、アインシュタインの相対性理論。光速に近づくほど時間がずれるウラシマ効果。転移ゲートつまりどこでもドアで移動したら光速どころか瞬間移動なんだから、時間を超えちゃうじゃん。どうなるのかな、とか」
ろだん「へえ、面白そうだな」
とっぴ「太陽系どころか、銀河系を超えてゲートのネットワークがあって、人類がどの星にもいるんだ。なんか、すごくない?」
 

 

あかね「・・・そういわれると、すごく感じるけど。でも、銀河系を超えて人類が広がるって、どうなのかな~」
とっぴ「え、どうして?」
あかね「わたしたち、まだ、月までにしか到着していないじゃん。火星はロボットが行ってるだけで、人間はまだでしょ。金星なんか、人間はとても生きていられない環境だし」
とっぴ「なんとかなるよ。月まで行ってるってことは、他の場所にも行けるってことだよ。コロンブスが帆船でアメリカ大陸まで行った後、別の人が地球を一周してるだろ」
ろだん「そういえば、宇宙ステーションってあるだろ。あれ、どうなったんだ」
ひろじ「ちょうど、そのへんの話に触れた本があるよ。パークの【わたしたちはなぜ科学にだまされるのか】。2000年にアメリカで出版された本で、ちょっと古いけど、内容は今でもじゅうぶん新しい」
あかね「科学にだまされる?」
ひろじ「邦訳がちょっとヘンだけど、原題は【VOODOO SCIENCE:The Road from Foolishness to Fraud】で、疑似科学の正体を暴く本。その中に、宇宙開発の話題も扱われている」
とっぴ「宇宙開発が、疑似科学?」
あかね「でも、NASAがやってることでしょ。国の援助を受けて」
ひろじ「詳しくいうと、宇宙ステーションなど、人類を宇宙へ送る計画への警鐘かな」
むんく「宇宙飛行士はいらないってこと?」
ろだん「なんで? NASA、宇宙飛行士いるだろ」
ひろじ「人が月面に立ったのは1969年。それ以来、月には何度か宇宙飛行士が行っている。でも、長期間にわたって人間が宇宙にいるのは、健康面で大いに問題がある。ソ連(今のロシア)の宇宙ステーション・ミールで9ヶ月過ごした宇宙飛行士は衰弱が激しく、完治は難しいといわれた。骨からカルシウム分が抜けたり、心臓に負担がかかるなど、無重量状態は人間にとっては不健康な環境なんだ」
あかね「映画で、回転する宇宙ステーションを見たわ。あれなら、遠心力で重力の代わりになるでしょ」
ひろじ「2001年宇宙の旅だね。原作者のクラークはすごい。いまぼくたちが普通に見ているBS放送。あれはクラークが最初に提案したんだ。地球と同じ周期で回る人工衛星をおけば、それを使って世界中に通信が送れるって」
あかね「へえ、科学者が考えたんだと思ってたわ」
ろだん「で、その映画に出てくるやつなら健康の害はないだろ。どうして人間を送り出すのがだめなんだよ」
ひろじ「いろいろな問題があるけど、一番はとんでもなくお金がかかるからだと、パークはいっているね」
とっぴ「えー?」
ひろじ「実際、現実の宇宙開発は大部分が地表面からすぐ近くの【低い軌道】に集中している。火星その他遠い場所では、宇宙飛行士ではなくロボットが活躍している。ロボットなら健康の問題なく活動できるし、人間を送り出すよりお金がかからないからね」
 

 

あかね「なんだか、夢がないなあ」
ろだん「やっぱ、人間が月に立つ、みたいなのがないとなあ。おれ、火星に人間が立つ姿が見たい」
ひろじ「それは、ぼくもだよ。アポロの月面着陸は衛星中継で見て、どきどきした。でも、1986年のスペースシャトル(チャレンジャー)の悲惨な事故で明らかになったように、スペースシャトル計画そのものもNASAが提唱するように安価で安全な方式ではなかった。調査にあたったファインマンがシャトルの再利用がいかに危なく不完全な状況にあったかを、【困ります、ファインマンさん】という本で明らかにしている。ぼくもそれを読んで震え上がったよ。こんな綱渡りみたいな状態で人間を宇宙へ送り出すなんて、科学ではなく、賭けだよ。チャレンジャー事故のときはそれに加えて、明かな危険を警告されていたにもかかわらず、政治的な判断で飛ばしてしまっているんだからね」
とっぴ「うーん、ハイペリオンみたいに、人類が宇宙のあちこちに広がる日は来ないのかなあ」
ひろじ「ハイペリオンでは、高度に発達したネットが人類の世界を変えたけど、ぼくたちの現実世界も人工知能とロボット技術がぼくたちを宇宙に連れ出してくれている。人間の代わりにロケットのコンピュータやロボットが火星や木星、土星に出向いて、その姿を映像で送ってくれている。茶の間にいながら、それらの星の姿が見られるんだから、ぼくたちにとってのどこでもドアは、パソコンやテレビと考えることもできる」
あかね「あ、そうか」
ろだん「とっぴの珍しい読書、面白い話になったな。おれも図書館で借りて読んでみよう」
とっぴ「うん。ぜったい面白いから。とくにさ、エンディミオンに出てくるヒロインの女の子がかわいくってかっこよくってステキで・・・」
あかね「あ、やっぱり、それだったんだ」
とっぴ「あ・・・」
ひろじ「森羅万象が科学の題材なんだから、ホラーでもSFでもなんでも入口になる。とっぴくんのもってくる話題は、このところ幅が広がって、ぼくなんかは非常に興味深いね」
とっぴ「そ、そうなんだよ、ははは」
あかね「ごまかしてる。わたしも読んでみよ。そのヒロイン、どのくらいステキなのかしら」
とっぴ「それは、もう・・・あわわ」
ろだん「さ、とっぴも復活したことだし、明日からまた実験するぞ」
あかね「そうね。わたし、綿菓子作ってみたいわ。できたら、色をつけてみたい」
ひろじ「それは、また今度ね。面白い方法があるんだ。前の記事には書かなかったけど」
ろだん「それ、今度必ず教えてくれよ。さっそくやってみるからさ」
ひろじ「また、忙しくなりそうだなァ・・・」
 

 

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