芸人さんたちの声~その② | 浜田真実*文筆と朗読「まほろふ舎」

浜田真実*文筆と朗読「まほろふ舎」

昭和の終り頃、シャンソン喫茶「銀巴里」にて歌手デビュー。平成の中頃に、心と身体を整えるボイトレ教室「マミィズボイススタイル」オープン。「声美人で愛される人になる」「説得力のある声をつくる」等出版。この頃は「しげのぶ真帆」名義で、文章を書き朗読もしています。

私が収録当日、ご一緒していて一番声が魅力的だと感じたのは、ドランクドラゴンの塚地さんでした。

俳優の仕事も多い塚地さんは、人間的な優しさに溢れた声で、穏やか。

その上、とっても感性が鋭くて、私がお伝えしたことの深い部分を一瞬でキャッチして、素直に反応して下さいました。

素人である私を、尊重して下さる感じもして、とても嬉しかったです。

放送はされませんでしたが、誰の声が一番好きかをモデルの奈々緒さんが選びました。

やはり彼女も、「塚地さんの声が良い」とのことでしたね。
きっと塚地さんは、誠実で女性受けが良いというか、実際はモテるタイプの方だと思います。

そして、「この人!モテるだろうな~!」と実感したのは、司会進行の矢部さん。

側にいると、私の背骨に、矢部さんの声がビンビン共鳴して届きます。
骨導音の非常に豊かな人で、声を聴いているだけで、とても心地良いんです。

それに、全体をまとめながら進行をする立ち位置のために、視野の広さと許容量、つまり器の広さも感じました。

一緒にいたくなる人。安心できる人。
でも、ドライな冷たさも併せ持っている人。
女性には、モテるだろうなと感じます。

天野さんは、ナレーターや声優としてもご活躍なので、ご自分の声の資質に強烈な自信を持っている方とお見受けしました。

日村さんは、やんちゃな雰囲気で、硬質で高めの声は、耳をつんざくような威力です。ですが、持って生まれたエンターティメント性が豊かで、ある種の天才。
無垢な反応とセンスは、圧倒的だと感じました。
実は私、バナナマンファン。収録中に日村さんから『ねぇねぇ、まみぃずぅ。』と呼びかけられたことが、最高に嬉しかったです!)。

高橋さんは、鼻にかかった甘えん坊の声なのですが、実は、かなり神経質で硬質な方のような気がします。
胸のあたりの緊張が強くて、その日は、呼吸が苦しそうに感じられました。
体調がいまひとつの状態だったのかもしれません。

岡村さんも、優しくて繊細で、天才肌の声。
身体全体を楽器のようにして出す声は低くてハスキーですが、人を元気にさせます。
ですが、当日はお疲れのようで、声を振り絞って出している印象がありました。

◆◆◆

放送は10分ほどでしたが、実際は1回5分程休憩を入れて、小一時間ほど撮影を続けました。

全編、ほぼアドリブです。

本番前、緊張する私に、

大丈夫ですよ。
どんな状況になっても、 タレントさんたちが面白くしてくれますから


と、スタッフの方が助言してくれました。

実際、その通りでしたね。

テンションを上げ、周囲の空気を全身で感じ、ボケて突っ込んでというコミュニケーションの応酬。

凄まじい、プロの真剣勝負の現場でした。

本番終了後、タレントさんたちの控えの場では、もう全員グッタリ。
口を開く元気もない様子で、全員、どんよりと暗く、タバコを吸いながら、うつむいて携帯をいじっていました。

その落差に、またビックリ。

帰宅する際、ご挨拶に伺うと、皆さん「お疲れ様でした」と挨拶は返して下さったのですが、ささやくような声で、心ここにあらず。

エネルギーチャージが早急に必要な様子でした。

そんな中、矢部さんだけが、ちゃんと立ち上がり、私を見て、丁寧に
ありがとうございました。お世話になりました
と頭を下げてくださいました。

これは、疲労度の違い?

それもあるのかもしれませんが、たぶん、あの場では、矢部さんがタレント側のリーダー的な存在で、全員を統括していらしたのかもしれません。

番組や出演者全員を代表してご挨拶をして下さった、という印象でした。

撮影はその後、さまざまなお稽古事の体験を収録するために、翌日の明け方まで続いたそうです。

並みの精神力・体力では、続けられません。
芸能界で売れるというのは、そういうことなのだと思いました。

私たちは、芸人さんたちの凄みを真似することはできませんが、コミュニケーションの姿勢を学ぶことはできます。

相手を観て・聴いて・感じて、とにかく勇気を持って、全身全霊で反応する。

笑われることは恥ずかしいと閉じるより、むしろ、笑って!と自らを開いてアプローチする。

如何でしょう。
チャレンジしてみませんか?

私は芸人さんが大好きで、尊敬もしていたので、本当に良い経験をさせていただきました。

あなたも、ききみみを立てて、芸人さんたちの声を、よ~く聴き取ってみてくださいね!