何となくテレビをつけたら、都はるみさんが「アンコ椿は恋の花」を歌ってた。
何年振りに聴いただろう。
歌唱のあまりのぶっ飛びぶりに、驚いた。
「アンコ~」の部分のうなりと、その後の抜きの軽やかさ。
若いときの歌い方より、さらに高周波で、どこまで上がるんだ~というくらいのテンションで、声が伸びて行く。素晴らしい。真似できない域に達していらっしゃる。これぞ、芸だ。
40年以上同じ歌を歌っていると、練り上げられて、透明になり、とんでもないパワーと個性が出せるんだなぁとシミジミしてしまった。
その後、民放にチャンネルをかえたら、サントリーのCMが流れていた。
「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」を、サントリーのCMに出演している71人の有志の方々がリレーのように歌っているというもの。
同じ歌を、世代も性別も違う表現者たちが歌いつないでいる。
歌い手ではない人もたくさんいるので、単純に、声の表現や発声法、歌い方という観点でみていても、とてつもなく面白い。
さすが大滝秀治さんは、「声が出ていらっしゃらないけれど大丈夫でしょうか」とか、「音程がちょっと…」など、もはやスコ~ンと超越して、声、あるいは存在そのものが、すでに芸。歌が、語り芸にまで昇華されている。素晴らしい。
「え~!ど、どうして、そうなるの!」と最初はビックリしたのが、水前寺清子さん。だけど、聞けば聞くほどもっと聴きたくなる。「一瞬ではもったいないよ、最後まで聴かせて~」と思ってしまうほど超個性的。加齢による声の衰えはあっても、都はるみさんと同じように、チーターは独自の境地に到達されている。拍手。
今から30数年前の、役者志望の男子たちの憧れの的だったのが、ショーケンこと萩原健一さん。大河ドラマの岡田以蔵の狂気と哀愁を秘めた演技は、凄かった。なのに、「歌うとどうしてこんな声になるんだろう」と、当時は疑問に思っていたんだけど、やっぱり今回も、ちょっと枯れた、不思議な声で優しく歌っている。ある意味、驚いた。
堺正章さん、テリー伊藤さん、味があって良いなぁ。
矢沢永吉さんは、今までちゃんと歌を聴いたことがなかったけれど、多くの人を引き付けるカリスマ性は、短いフレーズにもちゃんと表れている。歌が胸の奥にガシッと飛び込んでくるのは、さすがだと思った。
どうも私は、年齢を重ねた人の声、人生のヒダや機微を感じさせる渋めの音に安心するらしい。発声は癖だらけだし、決して美声ではないけど、それを超越した、その人の本質がぎゅっと濃縮された声は、豊かだと思う。
でも若いタレントさんの声も、その人となりをちゃんと表しているので、表に出ていない「素」の部分も感じられて、何だか愛しくなる。
すごく自信がありそうなのに、意外にクヨクヨしがちなんだなとか、やんちゃな感じだけど、裏の部分では、ものすごく真面目に頑張って来たんだろうなとか。声は正直だから。
30代以前の女性の声は、やはり全体的に少し硬い感じ。
やせている人が多いからかなぁ。
もっと背中や下半身、つまり奥行を感じさせる声だと良いなぁ。
もう少し年齢を重ねると、きっと深まってくるんだろうけれど。
歌の上手さで言うと、ベッキーさんが良い。初めて聴いた。とてもしなやかで伸びのある声をしている。
それと宮沢りえさんの声は、心地良く肌触りの良い声の代表だと思う。
あぁ、声のことは語り始めると止まらない。
もしお時間のある方は、サントリーのCM・動画をご覧下さい。
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