先月の3本目は、新型コロナ禍の感染拡大の影響で、昨年の春から公開延期を繰り返していた、累計発行部数500万部超えの司馬遼太郎氏による、同名幕末時代劇小説を、あの『関ヶ原』の原田眞人監督&岡田准一さんとで再タッグを組んで映画化した『燃えよ剣』。
この作品は、年老いた父親がかねがね最も観に行きたがっていた時代劇映画だったので、10月29日(金)に、この映画についても父親からの希望で「比較的に空いている劇場」でもある、滋賀県大津市の大津アレックスシネマまで、父親と一緒に鑑賞に出向いて来ました。
※尚、今回はアレックスシネマ会員カードのポイント無料鑑賞をさせて頂きました。
今年度の43本目の劇場鑑賞作品。
(※今年度の大津アレックスシネマでの22本目の劇場鑑賞作品。)

「激しく泥臭い殺陣と土方の男の美学(21.10/29・2D劇場鑑賞)」
ジャンル:時代劇
製作年/国:2021年/日本
配給:東宝=アスミック・エース
公式サイト:http://moeyoken-movie.com/
上映時間:148分
上映区分:一般(G)
公開日:2021年10月15日(金)
監督:原田眞人
キャスト:
岡田准一(土方歳三) / 柴咲コウ(お雪) / 鈴木亮平(近藤勇) / 山田涼介(沖田総司) / 尾上右近(松平容保) / 山田裕貴(徳川慶喜) / たかお鷹(井上源三郎) / 坂東巳之助(孝明帝) / 安井順平(山南敬助) / 谷田歩(永倉新八) / 金田哲(藤堂平助) / 松下洸平(斎藤一) / 村本大輔(山崎烝) / 高嶋政宏(清河八郎) / 吉原光夫(伊東甲子太郎) / 松角洋平(新見錦) / 渋川清彦(中島登) / 森本慎太郎(市村鉄之助) / 吉田健吾(原田左之助) / 大場泰正(七里研之助) / 坂井真紀(佐藤のぶ) / 山路和弘(佐藤彦五郎) / 松村武(松平春獄) / 酒向芳(外島機兵衛) / 新納慎也(関白近衛忠熙) / 勇家寛子(八木雅) / 陽月華(深雪太夫) / 月船さらら(お梅) / 村上虹郎(岡田以蔵) / 阿部純子(糸里) / 石田佳央(久坂玄瑞) / 淵上泰史(桂小五郎) / 山村憲之介(吉田稔麿) / 櫻井麻七(池田屋女中お菊) / マギー (大沢逸平) / 三浦誠己(宮部鼎蔵) / ジョナス・ブロケ(ジュール・ブリュネ) / 柄本明(古物商・丸中店主) / 市村正親(本田覚庵) / 伊藤英明(芹沢鴨)

【解説】
新選組副長・土方歳三の生涯を描き、過去に映画化、ドラマ化もされてきた司馬遼太郎の歴史小説を、「関ヶ原」の原田眞人監督&岡田准一主演の再タッグで新たに映画化。
江戸時代末期。黒船の来航により、外国から日本を守るため幕府の権力を回復させようとする佐幕派と、天皇を中心にした新政権を目指す討幕派の対立が深まりつつあった。
武州多摩の農家に生まれた土方歳三は「武士になりたい」という思いで、近藤勇、沖田総司ら同志とともに京都へ向かう。
芹沢鴨を局長に、徳川幕府の後ろ盾で新選組を結成し、土方は「鬼の副長」と恐れられながら、討幕派の制圧のため京都の町で活躍を見せるが……。
土方歳三役の岡田のほか、土方と生涯愛を貫くお雪役を柴咲コウ、近藤勇役を鈴木亮平、沖田総司役を山田涼介、芹沢鴨役を伊藤英明がそれぞれ演じる。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)

幕末期に活躍した新選組の副長・土方歳三(岡田准一さん)の鮮烈な生涯を描いた本作『燃えよ剣』。
原作は司馬遼太郎氏の同名幕末時代劇小説で、原田眞人監督と岡田准一さんのタッグは、石田三成を描いた『関ヶ原』以来4年ぶり。
剣に人生を託し、時流に乗るよりも己の美学を貫くことを選んだ男の物語を描いた作品。

お話しの流れ的には、
1968年、洋装の土方歳三が過去を回想するシーンから始まります。
武蔵国・多摩地域の石田村の農家に生まれた土方歳三は、天然理心流・試衛館に入門するが、イバラのように、触れると怪我をする乱暴者「バラガキ」と呼ばれていました。

そんな中、桜田門外ノ変の後、尊皇攘夷運動がさらに盛んとなり、京都の治安維持のために幕府が清河八郎の献策で浪士組を立ち上げるのでした。

そして、徳川家茂警護のため、歳三も、盟友の近藤勇(鈴木亮平さん)や沖田総司(山田涼介さん)、井上源三郎(たかお鷹さん)らと共に京都に上るのでした。ですが、献策した張本人の清河八郎(高嶋政宏さん)が手のひらを返した様に尊王攘夷派を公言。

そこで、袂を別つこととなった歳三たちは、芹沢鴨と組んで、佐幕派の会津藩の京都守護職預かりとして、1863年、ここに新選組を結成する事になるのでした。

ただ、あくまでも私個人的な疑問点なのですが、今回の映画は、司馬遼太郎氏の歴史小説に見る世界観、所謂、「司馬史観」と呼ばれる歴史観とは、かなりかけ離れていたのではないかとも思われました。

そもそも論として、箱館(現・函館)の五稜郭の戦いの最中に、土方歳三が過去を振り返り回顧録を残すようなことをするものかなといった疑問もあり、この点は、百歩譲って回顧録形式にしたという設定やアイデアは良いとしましょう。
しかしながら、何よりも、その回想の際に、日本古来の元号ではなく西暦で過去を振り返り語らせるのは、いくら新選組の中でも西洋かぶれとも言われていた土方歳三と言えども、かなり違和感が感じられて仕方がなかったです。

この作品を海外進出させる際のことを想定して、字幕翻訳し易くするべく、歴史的背景の説明を西暦で統一させたのかも知れないですが、それにしても、この点はかなり違和感があり残念に思われました。

前後編2部作にしても良いくらいの内容量を、今回、製作サイドの要望など諸般の事情から148分の1本の作品にまとめなければならなくなったにしても、所詮、これは土台無理な話で、従いまして、歳三の回顧録形式による話運びは全体的にもテンポが非常に速く、かなりの駆け足。オマケに説明的な演出もかなり少ないという始末。

V6の岡田准一さん、Hey! Say! JUMPの山田涼介さんや、SixTONESの森本慎太郎さんなどジャニーズ事務所からのキャスティング目当ての若い人達が観に行かれる際には、特に、時代背景や人間関係など、それなりの予習が必要かも知れないですね。

思想や政治力学よりも、路地や町家での激しく泥臭い殺陣の描写に重点を置かれており、歳三らは手段を選ばず、集団で待ち伏せて斬りかかるのでした。
そんな土方歳三を演じる岡田准一さんは、原田眞人監督に一任されて、土方の殺陣を全て自分で考えて、周囲の武士の動きもそれに合わせて指導したらしい。その為に、集団が同時に斬り合う複雑な場面も、驚くほどに滑らかで且つ躍動的に撮る事が出来たそうです。

また、良かった点では、酒癖・女癖が悪く、ならず者の初期の筆頭局長の芹沢鴨(伊藤英明さん)を粛清し暗殺を謀るべく襲撃をするシーンや、新選組が長州藩士ら倒幕派が潜伏する、(あの階段落ちでも有名な)池田屋を襲撃する場面では、血の臭いが漂って来そうなほど壮絶な演出で、あまりにも生々しくて「これが幕末の現実かも」とも思わせてくれるほどでした。

ほぼ原作通りの山田涼介さんの比類を観ないような儚い美貌の沖田総司像も圧巻でしたし、労咳で身体を蝕まれていく演出のためにかなりの減量をしたのも見受けられて実に好演していました。

また、密偵役であり、大坂の町人出身の新選組隊士・山崎烝役を演じる、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんが早口でまくし立てるマシンガントークの軽妙な演技もとても良かったでしたね。

そして、歴史好きの玄人目として観てもなかなか良かった点は、会津藩主・松平容保(尾上右近さん)の立ち位置の辛さ具合にも焦点を当てて描写していた点はすごく良かったでしたし、現実味も感じられて面白かったです。
旧幕府軍が会津若松城に入城した際の松平容保の痩せ細り具合も半端なく激しく、演者の尾上右近さんの努力の賜物だったと思いました。

『るろうに剣心・最終章 TheBeginning』では沖田総司役を演じてられていた村上虹郎さんが、この作品では人斬り以蔵こと岡田以蔵役を演じ、土方歳三と一騎打ちをするシーンなども、ちょっとした見せ場でした。




キャスティングの面では、主役の新選組の副長・土方歳三役の岡田准一さんの泥臭い殺陣をはじめ、ほぼ原作通りの沖田総司像を演じきった山田涼介さん、局長の近藤勇役の鈴木亮平さん、源さんこと井上源三郎役の、たかお鷹さん、酒癖・女癖の悪い、ならず者の初期の筆頭局長・芹沢鴨役の伊藤英明さんが特に印象的でした。
そして、前述しましたように、大坂の町人出身の新選組隊士・山崎烝役として早口でまくし立てるマシンガントークを披露した、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんの軽妙な演技や、会津藩主・松平容保の立ち位置の辛さ具合を見事に演じた尾上右近さんも印象に残りました。
カメオ出演級のチョイ役に、古物商・丸中店主役に柄本明さん、土方歳三や近藤勇の学問の師匠・本田覚庵役の市村正親さん。沖田総司に想いを寄せる芸妓・糸里役の阿部純子さんなども流石の存在感を示されていましたね。

また、チョイ役と言えば、SixTONESの森本慎太郎さんも土方歳三から最期の便りを託かるシーンのみの出演ですので、彼目当てで観賞に出向かれるファンの方々は、あまり期待しないで下さいね。

原作にも登場する、土方歳三に想いを寄せる女性・お雪役を柴咲コウさんが演じていましたが、編集の都合もあったためなのか、大政奉還の後、旧幕府軍が敗色濃厚になっても、土方歳三は、所謂、戊辰戦争の中、会津、仙台、蝦夷地などを流れ流れて転戦していく、そんな中、登場の仕方が無理矢理な設定だったりもしたのも気になりましたが、上映時間の限られた尺の上では致し方なかったのかなと、その点がやや悔やまれました。
とは言え、芹沢鴨の暗殺シーンに、あの池田屋事件と、そして最期の五稜郭での戦いの一連のシーンには、本当に時間とお金と労力を掛けたのが窺われるほどの大迫力な映像美だったので、この作品の中ではこの三つの一連のシーンが白眉だったとも言えるでしょうね。

私的な評価と致しましては、
製作サイドの要望など諸般の事情もあり前後編2部作に出来なかったらしいのが、最も悔やまれましたが、そんな中、土方歳三の回顧録形式の映画にしたのは良いとしても、日本古来の元号ではなく西暦で統一表記して土方歳三が過去を回想するとしたのが、いろんな事情があったにせよ、かなり違和感が残りました。その点が私個人的には勿体なかったです。
あまりにも駆け足にお話しが速く進み、特に、徳川幕府の大政奉還の後は、歴史的背景もナレーションのみで済まされるなどするために、幕末期の歴史物に造詣が深くないと着いていけない内容とも感じられたのも非常に勿体なかったです。
ただ、芹沢鴨の暗殺シーンに、あの池田屋事件と、そして最期の五稜郭での戦いの一連のシーンには時間とお金と労力を掛けたのが窺われるほどの大迫力の映像美だったので、この作品の中ではこの三つの一連のシーンが白眉だったとも言えるでしょうし、劇場鑑賞するに際しては、この三つのシーンを観るのに尽きた映画だったかも知れないです。
従いまして、五つ星評価的には、高評価ではありますが、四つ星評価の★★★★(80点)が相応しいかと思いました。
○映画『燃えよ剣』新予告映像(90秒)10月15日(金)公開!
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。