先月の5月は、4月末の母親のガン検診の結果が芳しくなかった為、短期入院や、MRI検査、CT検査・PET検査、超音波検査など様々な検査で、日々追われる毎日でしたので、結局、2023年5月に劇場鑑賞出来た映画は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の他には、この『EO イーオー』のみの計2本だけでした。
そんな中、本作品を観に行ったのには、昨年5月の第75回カンヌ国際映画祭にて、審査員賞を、『帰れない山』と分け合って同時受賞していた話題作ということもあり、ちょうど、私がスマホにて、ミニシアターの京都シネマの会員更新をした際に、デジタル招待券が付与されたことや、また、5月5日(金)から公開していた映画でしたが、私からのリクエストに応えて下さったのか、お昼の時間帯にも本作品『EO イーオー』の上映回を設定して下さっていた事もあって、映画の尺も88分と短い事からも、月末近い、5月30日(火)に、四条烏丸までクルマに乗って、今回も父親と一緒に観に行って来ました。
今年度の16本目の劇場鑑賞作品。
(今年度の京都シネマでの1本目の作品。)
「無垢なロバの目を通して見た滑稽な人間社会(23.5/30・2D字幕版)」
ジャンル:ドラマ / ロードムービー
原題:EO(ポーランド語:IO)
製作年/国:2022年/ポーランド・イタリア合作
製作会社:スコピア・フィルム / エイリアンズ・フィルムズ
配給:ファインフィルムズ
公式サイト:https://eo-movie.com/
上映時間:88分
上映区分:一般(G)
公開日:2023年5月5日(金)
製作総指揮:ジェレミー・トーマス
製作:イエジー・スコリモフスキ / エヴァ・ピャスコフスカ
音楽:パヴェウ・ムィキェティン
撮影:ミハウ・ディメク
編集:アグニェシュカ・グリンスカ
脚本:イエジー・スコリモフスキ / エヴァ・ピャスコフスカ
監督:イエジー・スコリモフスキ
キャスト(配役名):
サンドラ・ジマルスカ(カサンドラ) / ロレンツォ・ズルゾロ(ヴィトー) / マテウシュ・コシチュキェヴィチ(マテオ) / イザベル・ユペール(伯爵未亡人) ほか
【解説】
「アンナと過ごした4日間」「出発」などで知られるポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキが7年ぶりに長編映画のメガホンをとり、一頭のロバの目を通して人間のおかしさと愚かさを描いたドラマ。
愁いを帯びたまなざしと溢れる好奇心を持つ灰色のロバ・EOは、心優しい女性カサンドラと共にサーカスで幸せに暮らしていた。しかしサーカス団を離れることを余儀なくされ、ポーランドからイタリアへと放浪の旅に出る。その道中で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人らさまざまな善人や悪人との出会いを通し、EOは人間社会の温かさや不条理さを経験していく。
伯爵未亡人役に「エル ELLE」のイザベル・ユペール。
2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞。第95回アカデミー国際長編映画賞ノミネート。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
ポーランドの巨匠、イエジー・スコリモフスキ監督が7年ぶりに放った新作映画の主人公は、灰色のロバのEO(イーオー)。
イエジー・スコリモフスキ監督が、フランスのロベール・ブレッソン監督による不朽の名作『バルタザールどこへ行く』(1964年製作)に触発されて、現代的に解釈させたオマージュ作品とのこと。
尚、生憎ながら、私は不勉強なために、『バルタザールどこに行く』については未見。
ロバと一体となったかのような映像体験が出来る上に、動物たちの本来的な幸せについて、人々への怒りに似た問いかけも込められています。
あらすじ
お話しの流れとしましては、ポーランドのサーカス団に所属し、心優しき女性パフォーマーのカサンドラ(サンドラ・ジマルスカ)の曲芸のパートナーとして暮らしていたEO。
しかし、或る日、動物愛護団体のデモのあおりを受けたためか、サーカス団は倒産し、車でサーカス団から連れ出されてしまうのでした。
EOは、車窓から草原を自由に駆ける馬たちを、また運ばれた先では人間に記念写真を撮られ、そしてまた、小屋で体を洗ってもらっている白馬をジッと見つめる。
カメラはそのつぶらな瞳を大写しにするのでした。
憧れか、嫉妬なのか。EOは一体、何を考えているのであろうか。
身勝手な人間たちに翻弄される動物たちにも感情はあるのだという事実を、イエジー・スコリモフスキ監督は訴えかけているようにも思えました。
馬と同居する小屋から離れたEOは、森を抜け、とあるポーランドの街に出ます。そして偶然、試合に立ち会ったサッカーチームやそのサポーター達の面々や、イタリア人の司祭との出会いを経て、伯爵未亡人(イザベル・ユペール)が暮らすイタリアの邸宅に辿り着く・・・。といった、イントロダクションの映画でありましたが、かなり観念的な映画ながらも、無垢なロバの目を通して見た人間社会を捉えた、謂わばロードムービー的な寓話でした。
無垢なロバはあたかもイエス・キリストの苦難の道程を宗教的に表現しているのかとばかりに、EOを襲うような蛮行をも繰り返す人間の自己中心的な姿を浮き彫りにしているかのようでもありましたが、その一方で、サーカス団のカサンドラをはじめとする温かい愛情を与えてくれる善人も物語を彩っていた点には新しさもあるかも知れないですね。
観ていて辛い場面もありますが、なかには微笑ましいシーンもあり、一貫して無邪気なEOの姿に癒される作品となっていました。
そういった意味合いでは、見方によっては、エンターテインメント性もある作品にもなっている向きもあるかも知れません。
また、予想外にかなり観念的な映画でもあり、観客に解釈を全て委ねるような、想像を搔き立てる、斬新な演出の数々にも釘付けになる作品でした。
例えば、森の中で、EOに照射される大量の緑色のレーザー光線。
真っ赤なフィルターをかけて上空から撮られた、風力発電の施設が立つ森の映像。
或いは、EOに変わって、突然に登場する四足歩行のロボット、またEOがトボトボと渡るダムで放流される水の流れが逆回転で再生されている点など。
それぞれの暗喩や解釈について疑問にも思うことでしょうし、必ずや、鑑賞後にそれらについて語り合いたくなることでしょう。
スコリモフスキ監督が込めた主題。
そこで、イエジー・スコリモフスキ監督へのインタビュー記事を読みますと、今作の主たるテーマは「人間と動物、自然の関係」であり、人類による動物や自然からの搾取。その中でも特に、食肉や毛皮にすることを目的とした「産業的な動物の飼育」を問題視し、そのため、主人公には犬や猫ではなく、あえてロバとして、先ず頭に浮かんだのがロベール・ブレッソン監督の『バルタザールどこへ行く』(1964年)だったそうです。
また本作では、主人公のEOの旅路を追う中、カメラは何度もそのつぶらな瞳を大写しにしますが、イエジー・スコリモフスキ監督曰く、「ロバは、顔の大きさの割には目がとても大きい。何かしら考えているようで、問いかけているようで、観察しているだけのようにも見える。そんな視点を通じて、主人公と観客を同一化させられるかとも思った。」とのこと。
完成作には「現代の現象に対する異議(プロテスト)」。食肉の消費減も訴えかけているという。
私的評価:★★★☆(70点)。
私的な評価としましては、
私には、無垢なロバを目を通して見た人間社会の暴力性、温かさ、滑稽さ、不条理さなどを訴えかけた、あたかもイエス・キリストの苦難の道程を表わしているかのような作品かとは思いましたが、根底には、ビーガン(完全菜食主義者)的発想に近いような主題が込められているとまでは、そこまでには、残念ながら理解が至らなかったです。
昨年5月の第75回カンヌ国際映画祭で審査員賞と作曲賞に輝き、また、今年の第95回米国アカデミー賞でもポーランド代表作品として国際長編映画賞にもノミネートされた逸品ですが、そんな国際的な評価を得ている本作品ですが、私的には無垢なロバの目を通して見た人間社会を捉えたロードムービー的寓話としては程良く出来た映画とは思いました。
ですが、演出に凝ってはいるものの、あまりにも観念的に過ぎて、イエジー・スコリモフスキ監督が意図するような主題までには、生憎と私には理解が至らなかった事などから、五つ星評価的には三つ星半評価の★★★☆(70点)くらいの評価が私的には相応しい作品のように思いました。
京都シネマで俳優・柄本明さんに遭遇。
※また、この映画の内容とは全く関係がない話なのですが、この日、京都シネマで公開中の映画『波紋』での舞台挨拶に来られたのか、他に京都でお仕事があられたのか、それともプライベートでふらっと映画鑑賞に立ち寄られたのかは分からないですが、劇団・東京乾電池の座長である、個性派俳優の柄本明さんが、ちょうど京都シネマで、私と同じ『EO イーオー』の上映回で鑑賞されていましたが、芸能人ということから周りにお気遣いなされてられたのか、最前列の端っこの方の座席に予約を取られて、最も後に座席に着席されて、最も後に劇場を後にされてられたのを観て、人間が出来ているというか、決して横柄にならずに、周囲に気配りをなされる御仁だと感心しましたね。
私には『EO イーオー』は、なかなか難解な観念的な映画にも感じましたので、映画俳優でもある柄本明さんの目には一体どのように映ったのか、出来れば是非感想をお聞きしたかったですね(苦笑)
#京都シネマ で『EO #イーオー 』鑑賞。予想外に観念的な作品でしたが、無垢なロバのEOの目を通して見た人間社会の暴力性や不条理さ滑稽さが良く表れていたと思いました。解釈を観客に委ねた斬新な演出も多かったですがロバのロードムービー的寓話としてはよく出来た映画。 #イエジースコリモフスキ pic.twitter.com/nSswYJlVru
— HALU6700 (@HALU7100) May 30, 2023
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。



















































