もう1ヶ月も前に劇場に観に行った映画の感想になりますが、今更ながらではありますが、あくまでも個人的な備忘録として、拙ブログにも記録として残しておこうかと思います。
先月の2月13日(木)。この日は朝からあいにくの小雨交じりの天気。
しかしながら、イオンシネマ京都桂川では、お目当ての映画『敵』のこの日が上映最終日。それも朝イチの1回上映のみの為、早めにクルマで自宅を出たつもりだったのですが、こんな日に限って思いがけず、事故渋滞で国道1号線が大渋滞。
上映開始時間までに間に合うかどうか気が気でなかった訳ですが、焦りながら抜け道を駆使しながら慌てて運転していた最中、そんな私の心を落ち着かせるかのように、西の空に綺麗な大きな虹が架かっていたのを観て、「焦って運転して事故ったらアカンから、観られなかったら仕方ない。ここは飛ばさずに安全運転で行こう!」と思い直して向かったところ、イオンシネマ京都桂川に到着したのは、なんと上映開始時間を5分過ぎたところでした。
しかし「未だ本編の上映前なので入場可能です。」という劇場スタッフの方の案内で、何とかワタシアター会員カードに貯まっていた6ミタ無料鑑賞サービスにて入場チケットを確保し、無事に観ることが出来た次第でした。
今年度の3本目の劇場鑑賞作品。
(今年度のイオンシネマ京都桂川での1本目の劇場鑑賞作品。)
2024年・第37回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、東京グランプリ/東京都知事賞、最優秀監督賞(吉田大八監督)、最優秀男優賞(長塚京三さん)の主要部門3冠に輝いた映画ということで、予てから一般公開を待望していた作品。
「元・大学教授の老後の日常から、夢と現実とが混沌とした恍惚の世界観を見事に映画化(25.2/13・2D劇場・モノクロ作品)」
ジャンル:SF/人間ドラマ
製作年/国:2023年/日本
制作会社:ギークプロダクション
製作会社:ギークピクチュアズ
配給:ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト:https://happinet-phantom.com/teki
上映時間:108分
上映区分:一般(G)
劇場公開日:2025年1月17日(金)
【スタッフ】
原作:筒井康隆『敵』(新潮文庫刊)
企画・プロデュース:小澤祐治
プロデューサー:江守徹
撮影:四宮秀俊
照明:秋山恵二郎
美術:富田麻友美
録音:伊豆田廉明
フードスタイリスト:飯島奈美
装飾:羽場しおり
衣装:宮本茉莉
ヘアメイク:酒井夢月
音楽:千葉広樹
サウンドデザイン:浅梨なおこ
音楽プロデューサー:濱野睦美
アクション:小原剛
ガンエフェクト:納富貴久男
編集:曽根俊一
助監督:松尾崇
キャスティング:田端利江
ロケーションコーデネーター:鈴木和晶
制作プロデューサー:石塚正悟
アシスタントプロデューサー:坂田航
監督・脚本:吉田大八
【キャスト(配役名)】
長塚京三(渡辺儀助) / 瀧内公美(鷹司靖子) / 河合優実(菅井歩美) / 黒沢あすか(渡辺信子) / 松尾諭(椛島光則) / 松尾貴史(湯島定一) / 中島歩(渡辺槙男) / カトウシンスケ(犬丸健悟) / 高畑遊 / 二瓶鮫一 / 高橋洋 / 唯野未歩子 / 戸田昌宏 / 松永大輔 その他
【解説】
筒井康隆の同名小説を、「桐島、部活やめるってよ」「騙し絵の牙」の吉田大八監督が映画化。穏やかな生活を送っていた独居老人の主人公の前に、ある日「敵」が現れる物語を、モノクロの映像で描いた。
大学教授の職をリタイアし、妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋にひとり暮らす、渡辺儀助77歳。毎朝決まった時間に起床し、料理は自分でつくり、衣類や使う文房具一つに至るまでを丹念に扱う。時には気の置けないわずかな友人と酒を酌み交わし、教え子を招いてディナーも振る舞う。この生活スタイルで預貯金があと何年持つかを計算しながら、日常は平和に過ぎていった。そんな穏やかな時間を過ごす儀助だったが、ある日、書斎のパソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
主人公の儀助役を12年ぶりの映画主演になる長塚京三が演じるほか、教え子役を瀧内公美、亡くなった妻役を黒沢あすか、バーで出会った大学生役を河合優実がそれぞれ演じ、松尾諭、松尾貴史、カトウシンスケ、中島歩らが脇を固める。2024年・第37回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、東京グランプリ/東京都知事賞、最優秀監督賞(吉田大八)、最優秀男優賞(長塚京三)の3冠に輝いた。
(以上、映画.comより、引用抜粋。)
あらすじ
フランス近代演劇史の権威とも言われた元・大学教授の渡辺儀助(長塚京三さん)は妻に先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に独りで暮らす77歳。子もなく、他に家族は居らず、家事は全て自分でこなしているのでした。
散財はしないが、時には友人と酒を酌み交わしたり、かつての大学の元教え子を招いて夕食を振る舞ったりもする。
そんな或る日、儀助のパソコンに「敵がやって来る」という不穏なスパムメールが届くのでしたが・・・。
といったイントロダクションの映画でした。
冒頭は、朝ご飯を用意し、洗濯や皿洗い、掃除、買い物を淡々とこなしていく儀助の日常が、ただただ映し出されていきます。
決まったルーチンワークをこなしつつ、たまの楽しみを満喫する姿は悠々自適な老後にも見え、その規則正しい生活ぶりは、あたかも、役所広司さん主演×ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』(2023年)の主人公の日常の暮らしぶりを観ているかのようでもありました。
時折、家に訪ねに来る大学の元教え子の鷹司靖子(瀧内公美さん)や、また、行きつけのクラブ「夜間飛行」のマスターの姪で、そのクラブで偶然出会った女子大生の菅井歩美(河合優実さん)にも、年甲斐もなく密かな欲望を抱きつつも、亡き妻の信子(黒沢あすかさん)のことを思って自制しているのでした。
ですが、その20年前に先立ったはずの信子が頻繁に夢の中に登場するようになり、やがて幻想と現実の境が曖昧になっていくのでした。
フランスと所縁深い長塚京三さんの配役が奏功した筒井康隆原作作品の映像化!!!
筒井康隆氏の同名小説が原作であり、渡辺儀助の暮らしや思考、夢などが事細かに綴られた原作を吉田大八監督がモノクロ映像で描き、俳優生活50年、12年振りの映画の主演となる長塚京三さんが、儀助からあふれ出る自然な知性を表現。
吉田大八監督が、決してアテ書きではなく、長塚京三さんに主演の儀助役をオファーした後に気が付かれたそうですが、偶然にも、長塚京三さんご自身が、早稲田大学文学部演劇科を中退後、フランスのソルボンヌ大学に6年間留学されていて、同大学留学中に現地のフランス映画、ジャン・ヤンヌ監督作品『パリの中国人』の主役に抜擢されて俳優デビューを果たしたという、フランスとは並々ならぬ関係がお深いという異色の経歴をお持ちということを思い出されたらしく、吉田大八監督曰く、「(長塚京三さんから聞かせていただいた)フランス留学時代のエピソードなども、儀助の劇中には描かれない過去として、キャラクター像の厚みを増してくれていたようにも思えました。」との事でした。
そういったパリとの浅からぬご縁も手伝ってなのか、昨年の第37回東京国際映画祭では今作が、グランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞(長塚京三さん)の主要部門3冠に輝いたのかも知れませんね。
また長塚京三さん扮する儀助がお風呂に入って熱心に身体を石鹸で洗うシーンが何度かあるのですが、77歳の体躯とは思えないほどに、全くお腹も出ず引き締まった細身の体つきの裸体を晒されていたのには驚きでしたし、それが羨ましくもあり、日々スポーツジムか何かしらに通ってられるのかと要らぬ詮索をしてしまうほどでした(汗)💦
映画『ファーザー』を観ているかのような認知症による妄想の恐怖を「敵」と上手く表現。
日常の暮らしぶりについては、講演や雑誌などへの執筆の依頼は減っても、一律10万円の講演料やこれまでの生活水準は落とさないと決め、日々の出費と貯金残高を照らし合わせていつまで生きられるのか計算をする儀助。
「敵」の襲来に備えるように、老いや死への万全な対策をとるのでした。
一見プライドを保って生きているようにも見えますが、鷹司靖子(瀧内公美さん)や菅井歩美(河合優実さん)との逢瀬に浮かれる姿が滑稽で可愛くもあり、面白かったです。
しかしながら、夢の世界では、その下心を亡き妻・信子たちに見透かされ、責められ、情けなく、ただ許しを請うばかり。
果たして、夢を通して、今までの行ないを悔やんでいるのか、それでも許されたいと願う自分自身の甘さを恥じているのか。
まるで「このまま人生の幕を引けるのか」と自問自答しているかのようにも見えなくもない。
過ちや自分が軽んじてきた相手、或いは、夢に表れた過剰なる自意識や、自慰行為といった肉体は老いてもいつまでも”枯れない”女性に対する煩悩なども、儀助の平穏な人生を脅かす「敵」なのかも知れないし、あたかも、アンソニー・ホプキンス主演の映画『ファーザー』(2020年)を観ているかのような認知症による妄想の恐怖を、今作では「敵」として上手く表現しているのでしょうね。
筒井康隆節全開の世界観を見事に映像化
夢とうつつが渾然一体となり、観る側を引き込む終盤の展開は、筒井康隆節が全開に炸裂する原作の混沌とした世界観を見事に映画化することに成功。
あえてモノクロにした狙いが終始効いていて、冒頭から儀助の作る料理がそのせいか、より一層美味しそうにモノクロ映えした風に撮れていたようにも思えました。
私的評価:★★★★☆(90点)。
私的な評価と致しましては、
原作者の筒井康隆氏の言葉を以てしても「実写化不可能」な作品と思われていただけに、今回の実写映像化は見事に成功を収めていたと思いましたし、主演の長塚京三さんならではの演技力は言わずもがなですが、瀧内公美さん、河合優実さん、黒沢あすかさんの御三方の中でも、特に私個人的には、教え子・鷹司靖子役の瀧内公美さんが妖艶で、まさに目を奪われてしまいましたね。
また、演劇の小道具を作る会社を経営している、儀助の友人で、元教え子の椛島光則役の松尾諭さん。また、儀助の友人でグラフィックデザイナーの湯島定一役の松尾貴史さんにしても、劇中なかなか良い味を出していましたね。
私個人的にはなかなか好きな作風の映画でした。
つきましては、五ツ星評価的には、ほぼ満点に近い★★★★☆(90点)の評価も相応しい作品かと思いました次第です。
〇第37回東京国際映画祭 3冠!1月17日(金)公開映画『敵』本予告







































































