『PERFECT DAYS』(2023年) #ユナイテッドシネマ大津 #映画初め #八代亜紀 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

今年の映画初めの作品。

昨年末の12月22日(金)の公開以来、数多くの映画ファンから絶賛評を受け続けている、この『PERFECT DAYS』を、あえて今年の最初の劇場鑑賞作品にと選び、鑑賞する映画館については、CLUBSPICE会員カードが、あと1ポイントで6ポイントが貯まり次回に無料鑑賞出来る事から、久しぶりに、滋賀県大津市のユナイテッド・シネマ大津まで、先日の1月10日(水)に、年老いた父親と共に鑑賞に出向いて来ました。

 

今年度の1本目の劇場鑑賞作品。※今年の映画初め。

(今年度のユナイテッド・シネマ大津での1本目の劇場鑑賞作品。)

 

 

「トイレ清掃員の日常を淡々と描いた小津映画っぽい作品。(24.1/10・2D劇場鑑賞)」

ジャンル:人間ドラマ

原題:Perfect Days

製作年/国:2023年/日本・ドイツ合作

製作:Master Mind(日本) / スプーン(日本) / ヴェンダース・イメージズ(ドイツ)

配給:ビターズ・エンド

公式サイト:https://perfectdays-movie.jp/

上映時間:124分

上映区分:一般(G)

劇場公開日:2023年12月22日(金)

製作:柳井康治

エグゼクティブプロデューサー:役所広司

プロデューサー:ヴィム・ヴェンダース / 高崎卓馬 / 國枝礼子 / ケイコ・オリビア・トミナガ / 矢花宏太 / 大桑仁 / 小林祐介

撮影監督:フランツ・ラスティグ

美術:桑島十和子

スタイリング:伊賀大介

ヘアメイク:勇見勝彦

編集:トニ・フロッシュハマー

リレコーデング・ミキサー:マティアス・ランパート

インスタレーション撮影:ドナータ・ヴェンダース

インスタレーション編集:クレメンタイン・デクロン

キャスティングディレクター:元川益暢

ロケーション:高橋亨

ポスプロスーパーバイザー:ドミニク・ボレン

VFXスーパーバイザー:カレ・マックス・ホフマン

脚本:ヴィム・ヴェンダース / 高崎卓馬

監督:ヴィム・ヴェンダース

キャスト(配役名):

役所広司(平山正木) / 柄本時生(タカシ) / アオイヤマダ(アヤ) / 中野有紗(ニコ) / 麻生祐未(ケイコ:平山の妹) / 石川さゆり(スナックのママ) / 三浦友和(友山:ママの元夫) / 田中都子(竹ぼうきの婦人) / 水間ロン(酔っ払いのサラリーマン) / 渋谷そらじ(子供) / 岩崎蒼維(子供) / 嶋崎希祐(迷子の子供) / 川崎ゆり子(その母親) / 小林紋(赤ちゃん) / 原田文明(神主) / レイナ(旅行客) / 三浦俊輔(銭湯の番台) / 古川がん(銭湯の老人) / 深沢敦(かっちゃん) / 田村泰二郎(常連客) / 甲本雅裕(居酒屋の店主) / 岡本牧子(年配女性) / 松居大悟(レコードショップの店員) / 高橋侃(レコードショップの客) / さいとうなり(レコードショップの客) / 大下ヒロト(レコードショップの客) / 研ナオコ(野良猫と遊ぶ女性) / OL(長井短) / 牧口元美(地元の年配男性) / 松井功(地元の年配男性) / 吉田葵(でらちゃん) / 柴田元幸(写真屋の主人) / 犬山イヌコ(古本屋の店主) / モロ師岡(スナックの常連客) / あがた森魚(スナックの常連客) / 殿内虹風(女子高校生) / 大桑仁(ケイコの運転手) / 片桐はいり(電話の声) / 芹澤興人(タクシー運転手) / 松金よね子(駐車監視員) / 安藤玉恵(佐藤:タカシの代行) その他

 

 

【解説】

「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ビム・ベンダースが、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては「誰も知らない」の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。

東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。

そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく。

東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが改修する「THE TOKYO TOILET プロジェクト」に賛同したベンダースが、東京、渋谷の街、そして同プロジェクトで改修された公共トイレを舞台に描いた。

共演に新人・中野有紗のほか、田中泯、柄本時生、石川さゆり、三浦友和ら。

 

カンヌ国際映画祭では男優賞とあわせ、キリスト教関連の団体から、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

 

あらすじ 

 

東京スカイツリーにもほど近い古びた木造アパートで独り暮らしをする、中年の寡黙な公衆トイレの清掃員・平山(役所広司さん)は、毎朝、近所のご婦人が竹ぼうきで掃き掃除をする音で目覚め、薄い布団を畳んだ後、先ずは、部屋の木々の苗木に水遣りをし、台所で洗顔と歯磨き、髭を整え、清掃のツナギのユニフォームに身をつつみ、車のキーと小銭とガラケーをいつものようにポケットにしまい部屋を出て、お天道様に挨拶をするかの如く、今日も朝の空を見上げるのでした。

そして、家の前の自動販売機でいつも同じ缶コーヒーを買い、社用車であろうワゴン車を運転して仕事場へ向かう。

 

 

行く先は渋谷区内にある公衆トイレ。

それらを次々と回り、隅々まで手際よくただ黙々と磨き上げることを生き甲斐にしている。

 

 

一方、一緒に働く若い清掃員のタカシ(柄本時生さん)は「磨いてもどうせ直ぐ汚れるのだから」と清掃作業は適当にこなし、通っているガールズ・バーのアヤ(アオイヤマダさん)と深い仲になりたいが金がないとぼやいてばかりいる。平山はそんなタカシの言葉は意に介さず、ただ一心に自分の持ち場を磨き上げるのでした。

 

 

トイレ清掃の作業を続けていても、誰からも見て見ぬふりをされるような仕事。しかし平山はそんな事も気にせず、作業を続ける。平山は、作業中は、ほとんど言葉を発する事もない。

 

 

それでも、平山は日々の愉しみを数多く持っているのでした。

それは、例えば、移動中のワゴン車のカーステで聴く古いカセットテープ。どれもこれも、ひと昔前の音楽。

アニマルズ、パティ・スミス、ルー・リード、ニーナ・シモン。平山の部屋にはそんな音楽カセットテープが沢山あるのでした。

 

休憩時に神社の境内のベンチに座ってささやかな昼食を採るときは、境内の樹々を見上げる。そこから見える木漏れ日を見ては笑みを浮かべ、ひと時代前のコンパクトフィルムカメラを取り出しては、モノクロ写真を撮るのでした。

 

 

街行く人々は平山の存在を全く無視しながら忙しく行き交っているが、不思議なホームレス風の老人(田中泯さん)だけが、ときおり平山と目を合わせてくれることも、ずっと気になっているのでした。

 

 

仕事が終わると近くの銭湯で身体を洗ったあと、浅草駅の地下商店街のいつもの定食屋で安い食事をすませる。休日には行きつけの小さなスナックで、客にせがまれて歌うママ(石川さゆりさん)の声に耳を傾けることもある。

 

※尚、劇中のスナックのママ演じる石川さゆりさんが、常連客役の、あがた森魚さんのギター演奏で歌う、アニマルズの曲を、浅川マキ・日本語訳バージョン《The House of the Rising Sun(朝日の当たる家=朝日楼)》で歌ったのが、当然の事ながら、上手過ぎて最高でした!!!

 

 

家に帰ると、ウィリアム・フォークナーの『野生の棕櫚(しゅろ)』、幸田文『木』などの文庫本を眠くなるまで読み耽る。

 

 

そして、眠りに落ちた平山の脳裏には、その日に目にした映像の断片がユラユラと煌めき続けているのでした。樹々の枝葉から漏れる陽光、あの老人の姿などなど。

 

 

とは言え、コインランドリーや銭湯、定食屋に、時々、古本屋、スナックに写真屋と、平山の職場以外の立ち寄り先もほぼ固定され、ほぼ決められた時間に、馴染みの場所に行く。そのルーティンを全うするのが至福の歓びでもあるのでした。

 

そんな平山の築いた完璧な日常を、ある日、かき乱す存在が現れる。

家族と折り合いが悪い姪っ子のニコ(中野有紗さん)が、平山の安アパートに転がり込んで来るのでした・・・。

 

といったイントロダクションの映画でした。

 

 

感想 

 

周りの映画ブロガーさんの反応が、ほぼすべて絶賛評価だったのもあり、期待値のハードルをあまりにも上げすぎたからか、もっと直情的に感情を揺さぶられるような感動作品なのかと思っていましたが、案外、実に小津映画っぽい静かで淡々とトイレ清掃員の日常を描いた映画といった印象でした。

 

 

ただ、主人公の平山役演じる役所広司さんですが、無駄な説明台詞を極力排すなどがなされた脚本の中、その所作や表情だけで表現する名演で、流石に素晴らしかったです。

まさに、今年の第76回カンヌ映画祭の男優賞も伊達ではないと証明するかの様でしたし、あたかも(良い意味で)、役所広司さんのPV映画と言っても良いくらいの趣の作品でした。

 

 

そもそもがこの作品は、あのUNIQLOなどを事業展開するファーストリテイリング社の取締役・柳井康治氏が企画した、東京都渋谷区内17ヶ所の公衆トイレを世界的な建築家やクリエーターが快適なトイレを目指して改修する、《THE TOKYO TOILET PROJECT》のPRのための映画製作に賛同したヴィム・ヴェンダースが監督を担った訳ですが、それにしては単なるPR映画の域に留まらない、すごく芸術性に富んだ映画として完成させてくれて、実に、ヴィム・ヴェンダース監督の小津安二郎監督の作品好きが奏功した作品でしたし、高崎卓馬氏との共同脚本ではありましたが、そのお蔭で役所広司さんの名演技が今年のカンヌ映画祭で男優賞を受賞するに至ったことを鑑みますと、ヴィム・ヴェンダース監督には感謝の一語しかないですね。

 

また、前述した経緯から、東京都渋谷区の芸術性に富んだ新感覚の快適性を重視した公衆トイレばかりを採り上げるPR映画という点は致し方なかった訳ですが、あのようなデザイン性に富んだ公衆トイレは京都市内には、二条城駅前の一角にあるくらいにしか知らないので、風変わりな公衆トイレが珍しかった点もなかなか面白かったですね。

 

役所広司さん扮する平山が、まるで求道者か能楽師かのような、日本の伝統文化の侘び寂びにも通じるような、実に簡潔な所作で日々のルーティンをこなす姿が、あたかも何十年来、同じペースで繰り返されてきたとも一目瞭然で推察されるほどの演技なのが素晴らしかったですし、その日々のルーティンを追う描写は各ショット違う視点や角度から撮られているあたりも心憎かったです。

 

また、その「不動のルーティンが崩れた途端、波紋が生じてドラマも生まれる」。といった効果も、ヴィム・ヴェンダース監督が知り抜いて計算し尽くして演出しているであろう点も素晴らしかったです。

 

(おそらく首都高速道路を「ETC専用レーン」の入口から通過していたので、平山の乗るクルマは、社用車か若しくはマイカーを会社で借り上げして貰っているのだと思うのですが・・・。)、平山のカーステから流れるカセットテープのひと昔前の音楽も、平山のこれまでの育ちの良さまでもをすごく推察できるかのようなハイセンスな選曲でよかったです。

 

 

 

 

そして更に、洋楽や読書の愛好家で育ちの良さがうかがえる平山の生い立ちの一端が、ニコの母親で平山の妹(麻生祐未さん)の登場で明らかになる。

黒塗りの高級車で古びた木造アパートに乗りつけて、トイレ掃除をしている兄に哀れみの視線を注ぐ。平山がどういう家庭に生まれ、どんな人生を歩んできたか。回想シーンや説明台詞を盛り込むでもなく、何気ないシーンのみで観客に諭させるあたりも実に心憎かったですね。

 

 

 

 

この様なトイレの清掃員が主人公の映画は古今探しても見当たらないのではないでしょうか。

仏教ではトイレは精神修行の場ともされるらしいですね。

そういう風に見れば、平山は清貧な求道者にも見えるかも知れない。

理由はともかく、一度定めたら徹底する。樹々に生えた雑草のような苗木を育てるなどの一風変わった行為も一心に貫けば、ある種の《人生の美学》とも成り得るのかも知れません。

 

 

 

 

予告編以外にも、平山が、ほっぺにチューされてやや昂揚するシーンに、ルー・リードの「Perfect Days」が使われていたり、冒頭には、アニマルズの「The House of the Rising Sun(朝日の当たる家)」の原曲を、そして、最後の平山役演じる役所広司さんのどアップの長回しに併せて流れていた曲は、ニーナ・シモンの「Feeling Good」だったかと思うのですが、(私の年代的にリアルに聴いていた世代とは違うので、その程度しか分りませんでしたが)、その選曲の良さにも感服しました。

 

 

私的評価;★★★★(80点) 

 

 

職業に貴賎はないと言いますが、《幸福度》も、決して社会的地位や所得の多寡では測れないはず。

《人生を自ら満たすことができることこそが完成形》

あたかも、ヴィム・ヴェンダース監督と高崎卓馬氏が描き紡いだ、平山の日常がそう教示してくれるかのようでした。

 

 

 

 

ただ、出来過ぎなくらいに芸術性に富んだ良い映画ではありましたが、エンタメ性があまりにも少ない点は、娯楽性に富んだ映画好きで、天の邪鬼な私的には、その点がやや不満にも思えましたので、厳し目の採点評価になるかも知れないですが、世の多くの映画通の皆さんからすれば、映画を見る目が肥えていないと批判や嘲笑を浴びそうですが、五ツ星評価的には、★★★★(80点)の四ツ星評価が相応しい映画かと思いました。

 

 

 

 

※尚、映画『首』の★★★★(80点)と同じ評価ではありません(笑)

あくまでも、★★★★☆(90点)に限りなく近い★4個の評価です(汗)

 

 

○映画『PERFECT DAYS』本予告_ヴィム・ヴェンダース監督作品×役所広司主演

 

 

 

 

○The Animals - House Of The Rising Sun (Music Video) [4K HD]

 

 

 

○ちあきなおみ 朝日のあたる家(朝日楼) Naomi Chiaki - House of The Rising Sun [Live] 1989

 

 

 

 

○Nina Simone - Feeling Good (Official Video)

 

 

 

【追悼】

○八代亜紀さんが歌う「The House of the Rising Sun」(LIVE@TOKYO BLUE NOTE)

 

 

 

所属事務所によりますと、昨年の8月下旬より、複数の病院で検査を行ない「膠原病」と診断され、芸能活動を休止し、闘病生活をを続けておられたそうですが、その甲斐なく、昨年12月30日に、急速進行性間質性肺炎のため死去されていたことが、先日の1月9日(火)に、八代亜紀さんの公式サイトにて発表され判明する。

 

享年73歳。熊本県八代市出身。

 

本当に急過ぎる訃報に接し、茫然自失で、なんと言って良いものかと、言葉も失ってしまいました。

 

故人のご冥福をお祈り申し上げます。合掌。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。