京都市京セラ美術館『ボテロ展ふくよかな魔法』鑑賞。#ボテロ展ふくよかな魔法 #ボテロ展 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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よみうりテレビの深夜のエンタメ情報番組「キューン!」にて、現在開催中のボテロ展については全作品撮影OKな期間は、今月いっぱいの10月30日(日)まで(31日の月曜日が休館のため)という情報を得まして、10月22日(土)に開催される時代祭の行列が実施される前までにと思い、先日の10月20日(木)に、慌てて、京都市京セラ美術館にて現在開催されている、『ボテロ展ふくよかな魔法』、『サンリオ展ニッポンのカワイイ文化60年史』、『アンディ・ウォーホル・キョウト展』の3つの企画展示を弾丸ツアーの如く、一気に鑑賞するべく、年老いた父親と一緒に出向いて来ました。

 

 

今回、美術鑑賞してきた3つの企画展示を順を追ってご紹介したいと思いますが、先ずは、BS日テレの教養バラエティ番組の「ぶらぶら美術・博物館」(通称:ぶら美)の番組の中でも採り上げてられた、『ボテロ展ふくよかな魔法』からご紹介したいと思います。

 

 

2022年の今年、生誕90年の記念すべき年に、南米コロンビア出身の現役の芸術家、南米のピカソとも称される、フェルナンド・ボテロ(1932年~)ご本人による総監修のもと、初期から近年までの油彩ならびに水彩・素描作品など全70作品で構成される美術展を、世界各地で人気を博すボテロ展ですが、日本国内では26年振りの大規模開催として、『ボテロ展ふくよかな魔法』と題し、今回ここ京都においても巡回展示してくれました。

 

 

有り難いことに、3つの企画展示で、このボテロ展においても開催期間中、この10月いっぱいまでは、全作品撮影OKとのことでしたので、素描作品などを除く、殆ど全ての作品を撮影してきましたので、その中から一部をご紹介したいと思います。

 

 

初期作品

 

 

 

ボテロが17歳の時に描いた水彩画「泣く女」。

この初期の頃から既に若くして独自の画風の片鱗をうかがわせていたようでした。

 

独学で描いた絵画によりコロンビアのサロン(展覧会)で2等に入賞した際に得た賞金で、単身ヨーロッパに渡り、武者修行をする。

 

▲庭で迷う少女(1959年)

 

▲馬に乗る少女(1961年)

 

1952年、渡欧の際に、スペインにも逗留し、プラド美術館で目にした16、17世紀のスペイン絵画に魅了され、その中でも、ベラスケスの絵画を気に入って数多くの模写を重ねる。

 

そして、ようやく20歳の時に、ピカソやダリも学んだというマドリードの国立サン・フェルナンド・アカデミーに入学し本格的に絵画を学ぶ機会も得たそうです。

 

▲バリェーカスの少年・ベラスケスにならって(1959年)

 

身体の割りには不釣り合いなくらいに大きな頭部を描くのは、ボテロが古代メキシコ・オルメカ文明の巨石人頭像にインスピレーションを受け、南米色にローカライズさせながら、オマージュの際に、あえてデフォルメさせているのではないかとも言われています。

 

この絵画と同時期、27歳の時に描いた「12歳のモナ・リザ」(1959年)が、あのニューヨーク近代美術館(MoMA)に買い上げをされ画家としての話題や名声をさらったのを機に、翌年、28歳で、ニューヨークに移住することになる。

 

 

静物

 

 

▲楽器(1998年)

 

ボテロが渡欧の際にマドリッドのあと、1953年の21歳の時にフィレンツェでルネサンス絵画を研究していた当時、高名な美術史家・美術評論家のバーナード・ベレンソンの提唱する「触覚値」という考え方に影響を受け、触覚値。即ち、手に取るかのように分かる感覚が高い作品を突き詰めていくと、ボテロの場合には、ふくよかなボリューム感を感じさせる技法に至たり、楽器までもがぼっちゃりと表現されるようになった。

 

ボリューム感とは、あくまでも他の事物との比較による相対的な現象の見え方であって、例えば、ボテロいわく、マンドリンの穴を極端により小さくすることによって、マンドリンの楽器本体自体はあたかも爆発しそうなほどに膨らんで見えてくるなどによっても説明出来るとのこと。

 

▲果物とビンのある静物(2005年)

 

 

▲洋梨(1976年)

 

この241×196㎝もの大きなカンヴァスに描かれた「洋梨」の絵画を考察しますと、虫喰い穴や、かじった痕など、果物の洋梨が今にも熟れて朽ちていく様子をも表現しており、万物はいつかは朽ち果て生命尽きるとされる主題を盛り込むという、ある種の西洋絵画における伝統の「ヴァニタス」という技法といった絵画の知識を加味して、ボテロの独自の様式にも織り込んでいる、シンプルながら計算し尽くされた作品。

 

▲オレンジ(2008年)

 

ボテロいわく、シンプルな色や形にこそ、それぞれの画家の持つ表現力の技量が表れるのであって、そういう意味合いでは、常々、画家の技量は「オレンジの示す基準」にもあるとも述べている。

 

▲室内(2004年)

 

▲黄色の花、青の花、赤の花(3点組・2006年)

 

特に、20世紀後半は抽象絵画の全盛期にある中、あえて静物画を含む具象絵画を描き続けたボテロに対して「時代錯誤」との批判を浴びせる風潮もあり、ボテロにとっては辛い時代だったとも。

 

 

信仰の世界

 

 

▲枢機卿(1998年)

 

▲コロンビアの聖母(1992年)

 

カトリック系の信仰の厚い国・南米コロンビア出身の芸術家であるボテロは、事ある毎に、生まれ故郷のコロンビアが、その当時は、1世紀近くに亘る内線で明け暮れる社会情勢をも垣間見せるべく、この「コロンビアの聖母」では、聖母マリアが汗をかいてるかのように泣きじゃくる姿でその悲哀を涙で表現させていた。

 

▲ヴァチカンのバスルーム(2006年)

 

▲キリスト(2000年)

 

▲守護天使(2015年)

 

ボテロ自身に守護天使が舞い降りる姿を著わしているが、堂々たる肉づきの裸婦として描かれた守護聖人は、かつての宗教画における天使の軽やかさとは全く無縁。

また天使の到来を表わす神々しい光は、ここでは鏡に映った裸電球に取って代わられている。

守護天使と言うより、裸電球の下に表れた「裸のオカン」のようでもあるような実に皮肉めいた作品。

 

 

ラテンアメリカの世界

 

 

▲大統領(1987年)

 

▲バルコニーから落ちる女(1994年)

 

▲寡婦(1997年)

 

▲夜(1998年)

 

▲結婚したて(2010年)

 

 

▲バーレッスン中のバレリーナ(2001年)

 

ボテロの絵画の特徴として、人物画を描くときにも静物画のように描きたいという考えを基本として、彼の描く人物画が無表情にも感じられますが、何故ならば、物自体が持っている色や形に表現を集中したいが為に、あえて、人間などの知性や感情を失くして色や形を持った形体として描いているからです。

 

 

ドローイングと水彩

 

 

※ドローイングと水彩については、ボテロが、2019年からはじめた新たな試み

 

 

サーカス

 

 

▲赤ちゃんライオンと調教師(2006年)

 

▲サーカス(2007年)

 

▲象(2007年)

 

▲楽士たち(2008年)

 

 

変容する名画「バージョンズ」

 

▲ビエロ・デラ・フランチェスカにならって(2点組・1998年)

 

▲アングルによるモワテシエ夫人にならって(2010年)

 

この画家アングルに対するオマージュ作品は、フランス新古典主義の画家アングルの腕前をボテロは絶えず称賛してきたが、同時にこの巨匠の過剰なアカデミズムも見抜いていた。

それ故に、名高い夫人像を元にした本作では、ポーズや花柄のドレスは原作にならうも、女性を男性に置き換え、絵画表現の約束事や慣例から皮肉をもって逸脱しようとした。

一方で、コロンビア社会における女装趣味の男性たちの存在について、ボテロは他の主題と同様に現実として無表情に捉えている。

 

 

▲マリー=アントワネット:ヴィジェ・ルブランにならって(2005年)

 

▲ゴヤにならって(2006年)

 

 

▲フォルナリーナ:ラファエロにならって(2008年)

 

 

今回の展覧会の目玉

 

★世界初公開のモナ・リザの「バージョンズ」

 

▲モナ・リザの横顔(2020年)

 

○ボテロ展ふくよかな魔法|京都市京セラ美術館

 

 

 

 

○【公式】ボテロ展ふくよかな魔法|読売テレビ

 

 

 

 

○ボテロ展ふくよかな魔法|読売テレビ

 

 

 

必聴!山田五郎・オトナの教養講座

 

 

○【ボテロ】なぜモナ・リザをふくよかに!?コロンビアの巨匠の深い意図【パロディじゃない!】|山田五郎・オトナの教養講座

 

 

 

 

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▲クリアファイル(税込価格:495円)

 

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○4/29公開・映画『フェルナンド・ボテロ 豊満な人生』予告編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。