『華氏119』(2018年) #華氏119 #イオンシネマ草津 #マイケル・ムーア #池上彰 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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未だブログ記事化出来ていない劇場鑑賞済みの今年公開の新作映画が16本あまり有りますが、今回は、先日の11/6(火)に、米国の上下院中間選挙が実施された事も鑑みて、先ずは、私の父親のリクエストで、滋賀県草津市のイオンシネマ草津まで鑑賞に行った、マイケル・ムーア監督による、ドナルド・トランプ大統領の誕生を主たる題材としたドキュメンタリー映画『華氏119』を、取り急ぎご紹介させて頂きたいと思います。

 

 

『華氏119』のタイトルは、2004年に公開された、ジョージ・W・ブッシュ政権を批判した映画『華氏911』に因み、<119>はドナルド・トランプ氏が第45代大統領の当選を確実とし勝利宣言をした<2016年11月9日>を暗に意味しています。

しかし、ただ、単に、本作では、共和党やトランプ大統領に対する批判のみを描いている訳でもなく、実際には、アメリカにおける、直接選挙と謳いながらも、事実上は、旧態依然とした大統領選挙人を選出するといった選挙制度上の欠陥や、ビル・クリントン大統領の時代以降には、民主党も企業献金を受け取る先も、ほぼ共和党と同化していく中、大企業や金融業界を優遇し、貧しい者や労働者層を切り捨てていくといったまさに共和党化していく過程で、政治的無関心な無党派層を拡大させて行くに至った歴史的経緯など、トランプ氏を当選させるに至ったアメリカ社会の問題点に対して鋭く切り込んだドキュメンタリー作品となっていました。

 

 

「ムーア節炸裂!!!なるべくして誕生したトランプ大統領(18.11/13・字幕)」

ジャンル:ドキュメンタリー

原題:FAHRENHEIT 11/9

製作年/国:2018年/アメリカ

配給:ギャガ

公式サイト:https://gaga.ne.jp/kashi119/

上映時間:128分

公開日:2018年11月2日(金)

監督:マイケル・ムーア

キャスト:

マイケル・ムーア、ドナルド・トランプ大統領、バーニー・サンダース民主党議員ほか一般市民多数

 

 

【解説】

アメリカの銃社会に風穴を開けた「ボウリング・フォー・コロンバイン」や医療問題を取り上げた「シッコ」など、巨大な権力に対してもアポなし突撃取材を敢行するスタイルで知られるドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアが、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプを題材に手がけたドキュメンタリー作品。

タイトルの「華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)」は、トランプの大統領当選が確定し、勝利宣言をした2016年11月9日に由来。マイケル・ムーア監督の代表作であり、当時のジョージ・W・ブッシュ政権を痛烈に批判した「華氏911(Fahrenheit 9/11)」を暗に呼応するものになっている。

2016年の大統領選の最中からトランプ当選の警告を発していたマイケル・ムーア監督は、トランプ大統領を取材するうちに、どんなスキャンダルが起こってもトランプが大統領の座から降りなくてもすむように仕組まれているということを確信し、トランプ大統領を「悪の天才」と称する。

今作では、トランプ・ファミリー崩壊につながるというネタも暴露しながら、トランプを当選させたアメリカ社会にメスを入れる。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

映画を観た率直な感想としましては、

遥か太平洋を跨いだ海の向こうでも、この国の政権と同じく、忖度(そんたく)がまかり通り、もはや民主主義が崩壊しつつあるのかと憂いてしまうほどの内容でした。

 

字幕監修が、あの池上彰さんでしたので、専門用語もそこそこ解り易かったのも好印象な作品でした。

 

 

この作品は、ちょうど上下院中間選挙の時期を狙ってトランプ政権乃至は共和党に対し、ある種の打撃を与えるべく、この時期に緊急公開されたようでした。

 

しかしながら、既に11/6(火)にアメリカ中間選挙の結果が出ていますので、ご存知の通り、下院では民主党候補の議員が過半数を占めることが出来ましたが、上院では共和党候補が過半数以上の当選を果たし、表面的には「ねじれ」議会という結果を生み、立法府からのある程度の牽制を果たすことも可能な結果の様にも見えますが、大統領の弾劾訴追案件などについては、事実上、共和党の上院の勝利により弾劾訴追案件も廃案・差し戻しとなるため、上院は通過しない見込みとなり、トランプ政権としてはその点では御の字の結果だったかも知れないですね。

 

また、そもそものトランプ大統領の誕生に関しても、大統領選挙において、ここ20年以上に亘り、過去7回の大統領選のうち6回は、左派である民主党候補の方が実質的な総得票数では共和党に圧倒的に勝っているにも拘わらず、直接選挙とは名ばかりな、200年以上前からの奴隷制度時代からの因習に則って、選挙人を選ぶ間接選挙制度という古い選挙制度を残しているため、選挙人を多く獲得した共和党候補が勝利するといった制度的な盲点や欠陥によるところが大きいかとも思います。

 

そして、ビル・クリントン大統領の時代から始まった民主党の<政治的な譲歩(妥協)>も問題点として挙げられます。

潤沢な企業献金で選挙戦を戦っている共和党に勝つために、民主党も、貧しい者や労働者層向けの政策から共和党の様な大企業・金融業界が潤うような諸政策を推し進めていった結果、まさに共和党化してしまい、結果は政治離れを生み、2016年の大統領本選ではトランプに6300万人、ヒラリー・クリントンに6600万人が投票し、約1億人が棄権するといった政治的無関心な無党派層拡大の問題を深刻化させていったのでした。

 

▲バーニー・サンダース民主党議員とマイケル・ムーア監督

 

それとは別に、当の民主党自体も当時の大統領候補をヒラリー・クリントン候補に決定する過程で、当時の民主党予備選で一大旋風を巻き起こしていたバーニー・サンダース民主党議員の方がヒラリー・クリントン民主党議員よりも票が少なかった様に民意を大幅に修正・改竄するべく、中央の議員票を更に上積みし、バーニー・サンダース民主党議員を敗退させたりと、あからさまに民意を踏みにじるような横暴を行ったりと、この事が、しいては、更に民主党本部への不信感を募らす結果となったらしく、この過程や真相については、私も、アメリカの事なので、全く知らなかったのですが、民主主義に対する冒涜的行為が行われたと思い、実に腹立たしくて仕方なかったですね!

 

この辺りは、どこかの国の総裁選挙で、地方票よりも中央の議員票の方が上乗せ加算されてしまうシステムと同様で、本来的な民意を、ないがしろにしていることが良く分かりますね!

 

 

また、それ以上に腹立たしく、また恐ろしい、米国のミシガン州フリントが抱える、高濃度の鉛を含む水道水汚染による健康被害問題に対するオバマ大統領時代の茶番劇のような失態などによっても、民主党離れ、政治的無関心な無党派層拡大に拍車をかけていったとの事でした。

 

 

今回のトランプ大統領の誕生は、確かに選挙制度の欠陥や民主党の不甲斐なさもありますが、実質的な総得票数とは別に、二者択一であれば、夫であるビル・クリントン元大統領と同じく、金融業界などでのパーティ三昧優先で、地方遊説をないがしろにする、ヒラリー・クリントン候補よりも、まだマシという理由でトランプ氏に投票した国民や投票行動自体を棄権をした国民が事実多かったのかも知れないですね。

 

日本人で例えれば、失礼ながら、ホリエモンに投票するか、若しくは、蓮舫議員に投票するかといった、まさに究極の選択の様な選挙戦だったのかもしれないですね(汗)。

 

 

マイケル・ムーア監督は、ドナルド・トランプ大統領のレイシスト(差別主義者)っぷりなキャラや言動から、あの独裁者ヒトラーになぞらえ、そして現在のアメリカも当時のドイツになり得ると警鐘を鳴らしてはいるものの、その当選を早くから予想していたマイケル・ムーア監督ならではの独自の視点での解説を避け、このドキュメンタリー映画では、あちらこちらへと話題を飛ばしながら、観客を振り回しているのは、<考える素材は与えるのであとは自分達で考えなさい。>というスタンスなのかも知れないですね。

 

 

トランプ大統領の誕生にまつわる話題とは別に、頻発する銃乱射事件に対して、全米ライフル協会などから多額の献金を受け取っている共和党議員達に、銃規制強化を求める高校生など若者達の姿や、賃上げなど待遇改善要求のために立ち上がった公立学校教員達のストライキやデモ行進など、草の根での政治活動も起こりつつあるという面も提示してくれていて、その点では、少しは希望の光も見えて来てはいました。

 

 

とは言え、前述した通り、先日のアメリカの上下院中間選挙で下院ではどうにか一応は民主党が過半数を維持しましたが、この映画がトランプ政権の逆風となって、上院まで過半数以上を確保するまでには至りませんでした。

この偉大なる自由民主主義の国のはずたるアメリカ合衆国を、第二のナチスドイツにしてはならないために、トランプ氏を大統領にしたこの国の腐りきった現在のシステムを一掃する必要性を説いているドキュメンタリー映画であり、日本であればその政治的な内容からも到底メジャー映画として配給することなどは困難なくらい衝撃的な題材を提供してくれていました。

 

 

 

アポ無し突撃取材が売りのマイケル・ムーア監督の無茶振りは、汚染水道水の健康被害問題を引き起こした張本人の共和党のリック・スナイダー知事の邸宅にミシガン州フリントの水道水を放水するパフォーマンスくらいに止まっていましたが、その汚染水道水問題を解消してくれると期待して、藁にもすがる思いで待ちわびた市民に対してオバマ大統領が下した行動・衝撃的な対応には呆れ果てました。

その辺りの本当に腐りきったエピソードについてなど詳しくは、どうぞ、とくと映画をご覧下さればと思います。

 

 

私的な評価と致しましては、

私の知らなかった新事実や、アメリカの腐りきっている選挙制度や政治システムが作り上げたと言っても過言ではない第45代大統領ドナルド・トランプの誕生を、早くから予見し警鐘を鳴らしていたマイケル・ムーア監督が身の危険を顧みず、ドキュメンタリー映画として発表し、情報開示をして皆に警告しているこの作品に点数を付けるのはおこがましいでしょうが、あえて話題があちらこちらへと飛ぶような脚本に仕上げてあるのか、論点が飛びまくる脚本は非常に観辛く感じましたので、その点を差し引いても、五つ星評価的には、★★★★(80点)の高評価も相応しい作品かと思いました次第です。

 

どこかの国でも現政権に都合が悪い記事をフェイクニュースと呼んだり、印象操作と言ったり、役人に文書内容を大幅に改竄させたりとやりたい放題で、既存のメディアも右になれ!として機能していない事を鑑みると、マイケル・ムーア監督の様な存在がいたらと思う次第ですね。

 

今後もマイケル・ムーア監督には暗殺されない程度に真相究明に頑張って欲しいですね!

 

 

●【公式】『華氏119』本予告

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回も最後までブログ記事をお読み下さり誠に有り難うございました。